魔王と救世主で世界最強   作:たかきやや

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南無三


終わりの始まり

 

 月曜日。それは一週間の内で最も憂鬱ゆううつな始まりの日。きっと大多数の人が、これからの一週間に溜息を吐き、前日までの天国を想ってしまう。

 

「ハジメ~ねみーよー学校いきたくね~」

「それは僕も同じだよ、ショウ。でも人生に保険と退路は必要だよ。」

「だな~」

 

 

黒髪の少年――南雲 ハジメと蒼髪の少年――蒼 翔(アオイショウ)は、なんてどうとでもない会話しながら学校に向かった。

 

ハジメ達は、いつものように始業チャイムがなるギリギリに登校し、徹夜でふらつく体でなんとか踏ん張り教室の扉を開けた。

 

 

 その瞬間、教室の男子生徒の大半から舌打ちやら睨みやらを頂戴する。女子生徒も友好的な表情をする者はいない。無関心ならまだいい方で、あからさまに侮蔑の表情を向ける者もいる。

 

 

 そんなハジメを見たショウはクラス中を睨んだ。そしたら生徒達はハジメから、否!ハジメの後ろにいるショウから目をそらしたのだ!

 

 

「よぉ、キモオタ! また、徹夜でゲームか? どうせエロゲでもしてたんだろ?」

 

「うわっ、キモ~。エロゲで徹夜とかマジキモイじゃん~」

 

 

 一体何が面白いのかゲラゲラと笑い出す男子生徒達。

 

 

 声を掛けてきたのは檜山大介(ひやまだいすけ)といい、毎日飽きもせず日課のようにハジメに絡む生徒の筆頭だ。

近くでバカ笑いをしているのは

斎藤良樹(さいとうよしき)、

近藤礼一(こんどうれいいち)、

中野信治(なかのしんじ)

の三人で、大体この四人が頻繁にハジメに絡む。

 

 

「あれ?お前らまだ生きてたのかよ、そもそも何で生きてるのかな~この変態」

 

 

ショウから放たれる殺気に檜山達が後退り道ができる。

 

 

 なぜ檜山達がショウを恐れるかと言うとさかのぼることだ半年前……………

 

 

 檜山達がハジメに危害を加えた。→それにショウが切れた。→檜山達をフルボッコにした挙げ句、全裸で体育館裏に3時間放置した。のである。

 

 

 事情を知った学友達はショウを「決して怒ら

せてはならない者」と認識し、高校も、1度は彼を退学処分にしようとしたが...ハジメが檜山達に危害を加えられた証拠を叩き付け、不問にさせたのだ

 

 

 それ以来檜山達はショウに逆らえなくなった…

 

 

「南雲くん、おはよう! 今日もギリギリだね。もっと早く来ようよ」

 

 

 ショウが作った道をニコニコと微笑みながら一人の女子生徒がハジメのもとに歩み寄った。このクラス、いや学校でもハジメにフレンドリーに接してくれる数少ない例外であり、この事態の原因でもある。

 

 

 名を白崎香織(しらさきかおり)という。学校で二大女神と言われ男女問わず絶大な人気を誇る途轍とてつもない美少女だ。腰まで届く長く艶やかな黒髪、少し垂れ気味の大きな瞳はひどく優しげだ。スッと通った鼻梁に小ぶりの鼻、そして薄い桜色の唇が完璧な配置で並んでいる。

 

 

 そんな彼女はなぜかよくハジメを構うのだ。

 

 

ハジメは、彼女からの好意で、檜山や多くの者から敵意を向けられている 。

「何でゲームオタクの彼奴が白崎さんと仲良くしてるんだ!?」

「白崎さんに面倒かけておいて何で直そうとしないの?」

そんなやっかみをだ。

 

 

ハジメは「趣味の合間に人生を」....と、座右の銘を掲げている 彼の父親はゲーム会社の社長。母親は人気少 女漫画家---筋金入りのオタクなのだ。ちなみに俺もそこでお手伝いとして、働いている。

 

 

「あ、ああ、おはよう白崎さん」

 

 

 すわっ、これが殺気か!? と言いたくなるような眼光に晒さらされながら、ハジメは頬を引き攣つらせて挨拶を返す。

 

 

 ショウはハジメに殺気を向ける奴等に殺意を向け、皆一斉に黙らせる。

 

 

―鬱陶しい。いっそ拉致しようか― 

「蒼くんもおはよう」

「! ああ、おはようさん」

 

 

なんてことを考えていたら香織がショウに気づき挨拶してきたので軽く挨拶を返した。

 

 

 ハジメ達が会話を切り上げるタイミングを図っていると、三人の男女が近寄って来た。

 

「南雲君。蒼くん。おはよう。毎日大変ね」

 

「香織、また彼の世話を焼いているのか? 全く、本当に香織は優しいな」

 

「全くだぜ、そんなやる気ないヤツにゃあ何を言っても無駄と思うけどなぁ」

 

 

 三人の中で唯一朝の挨拶をした女子生徒の名前は八重樫雫(やえがししずく)。香織の親友だ。ポニーテールにした長い黒髪がトレードマークである。切れ長の目は鋭く、しかしその奥には柔らかさも感じられるため、冷たいというよりカッコイイという印象を与える。

 

 

 百七十二センチメートルという女子にしては高い身長と引き締まった体、凛とした雰囲気は侍を彷彿とさせる。

 

 

 事実、彼女の実家は八重樫流という剣術道場を営んでおり、雫自身、小学生の頃から剣道の大会で負けなしという猛者である。現代に現れた美少女剣士として雑誌の取材を受けることもしばしばあり、熱狂的なファンがいるらしい。後輩の女子生徒から熱を孕んだ瞳で〝お姉さま〟と慕われて頬を引き攣らせている光景はよく目撃されている。

 

 

 次に、些いささか臭いセリフで香織に声を掛けたのが天之河光輝(あまのがわこうき)。いかにも勇者っぽいキラキラネームの彼は、容姿端麗、成績優秀、スポーツ万能の完璧超人だ。

 

 

 サラサラの茶髪と優しげな瞳、百八十センチメートル近い高身長に細身ながら引き締まった体。誰にでも優しく、正義感も強い。

 

 

 小学生の頃から八重樫道場に通う門下生で、雫と同じく全国クラスの猛者だ。雫とは幼馴染である。ダース単位で惚れている女子生徒がいるそうだが、いつも一緒にいる雫や香織に気後れして告白に至っていない子は多いらしい。それでも月二回以上は学校に関係なく告白を受けるというのだから筋金入りのモテ男だ。

 

 

 だがショウはそう思わない。正義感ではなくただ思い込みが激しい、ハリボテみたいな男だ。

 

 

 最後に投げやり気味な言動の男子生徒は坂上龍太郎(さかがみりゅうたろう)といい、光輝の親友だ。短く刈り上げた髪に鋭さと陽気さを合わせたような瞳、百九十センチメートルの身長に熊の如き大柄な体格、見た目に反さず細かいことは気にしない脳筋タイプである。

 

 

 龍太郎は努力とか熱血とか根性とかそういうのが大好きな人間なので、ハジメのように学校に来ても寝てばかりのやる気がなさそうな人間は嫌いなタイプらしい。現に今も、ハジメを一瞥いちべつした後フンッと鼻で笑い興味ないとばかりに無視している。古典的な馬鹿だ。

 

 

「は~めんどいのが増えた」

 

「なんだと………どういう事だ、ショウ?」

 

「言葉のまんまだよ。自分の事ばっかりで周りを見ないトラブルメーカーやハジメに嫉妬して危害を加える雑魚を相手にするのも、薄っぺらい正しさを詰め込んだだけの小言に古典的な脳筋。そういうのの相手をするのがめんどいと言ったんだ」

 

「なんだと!テメェ!!」

 

 

 龍太郎がショウに襲いかかろうとするが光輝が押さえる。

 

 

「やめろ、龍太郎!蒼も謝って!」

 

「俺は悪くない」

 

「ちょ、ショウ謝ろう。ね、ね!」

 

「え~、・・・『すまんかった』、これで満足か?」

 

「ちょっと、蒼君!?」

 

「というか、ハジメもハジメだ。意見が通らないかどうかなんて言って見ないとわかんないぞ」

 

「それはごもっともだけど!」

 

「ちょっと南雲くん!私何かしたかな!かな!」

 

「香織落ち着きなさい!今はそれどころじゃないでしょ!」

 

 

 そんなこんなで言い争いしてたら急に教室のドアが開いた。

 

 

「皆さん何やってるんですか!?ケンカはダメですよー」

 

 

 出てきたのはこのクラスの社会担当の畑山愛子先生、愛称 愛ちゃんだった。

 

 

「龍太郎君拳を納めて翔くん早く離れて」

 

「問題ない。この程度なら避けられる」

 

「何だとこのやろう!」

 

「騒ぐな。俺は徹夜明けで眠いんだ」

 

「今はそれどころではありません!」

 

 

そんな感じでクラスは混沌としてきたその時、事態は起きた。

 

 

 光輝の足元に純白に光り輝く円環と幾何学模様が現れたからだ。その異常事態には直ぐに周りの生徒達も気がついた。全員が金縛りにでもあったかのように輝く紋様――俗に言う魔法陣らしきものを注視する。

 

 

 その魔法陣は徐々に輝きを増していき、一気に教室全体を満たすほどの大きさに拡大した。

 

 

 自分の足元まで異常が迫って来たことで、ようやく硬直が解け悲鳴を上げる生徒達。未だ教室にいた愛子先生が咄嗟に「皆! 教室から出て!」と叫んだのと、魔法陣の輝きが爆発したようにカッと光ったのは同時だった。

 

 

 数秒か、数分か、光によって真っ白に塗りつぶされた教室が再び色を取り戻す頃、そこには既に誰もいなかった。教室の備品はそのままにそこにいた人間だけが姿を消していた。

 

 

 この事件は、朝の高校で起きた集団神隠しとして、大いに世間を騒がせるのだが、それはまた別の話。

 

 

 




おつかれっしたー!

檜山いつ殺す?

  • ハジメを落とした後
  • 原作通り
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