魔王と救世主で世界最強   作:たかきやや

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回想其の参 ヒュドラ

 

 

 

 ここはオルクス大迷宮の100階層

 

 

 

 

 100層目はその扉以外になにもなくまさに最後の戦いという感じの雰囲気を放ってた。

 

「ハジメくん…」

 

「最高じゃねぇか…ようやくゴールにたどり着いたってことだろ?」

 

 ハジメは不敵な笑みを浮かべて香織、ユエを見た。

 

「何が待ってようとやるしかねぇ」

 

「うん!」 「んっ!」

 

ハジメはそこで目を閉じて息を吸って吐いた。心を落ち着かせ…目を開く

 

「行くぞ!香織!ユエ!」

 

 

 

 オルクス大迷宮最後の戦いへと三人は進む。

 

 

 

 

 豪華な作りの部屋に出た。ハジメ達は油断せずに前を睨む。やがて目の前に召喚の魔法陣が形成される。

 

「来るぞ!」

 

 巨大な魔法陣から生まれたのは六つの首を持つ竜。その姿にハジメは神話に出てくる怪物を思い出して不敵な笑みを浮かべる。

 

 神話の怪物を倒すのが最後とか…上等だ!!

 

 竜の首が放つ攻撃をかわす。ハジメはそのままドンナーの弾丸を首に当てる。

 

―よし…ドンナーでも殺れる―

 

「ユエ!!真ん中の奴を頼む!」

 

「んっ!――緋槍」

 

 炎の槍が真ん中の首に直撃する瞬間に横にいた別の首が前に出て受け止める。さらにそのまま別の首が受け止めた首を回復する。

 

「攻撃に盾に回復に…首ごとに役割が違うってことか…ちっ、バランスがいいこった…だが、うちも中々のバランスの良さだぜ」

 

 盾の首目掛けて香織のドンナーが放たれる。回復しようと別の首が動くがユエの魔法で別の首を攻撃して妨害。

 

「ハッ!!一度で回復しようとするならその首ごと撃ち抜くまでだ!!」

 

ハジメは二人のおかげで比較的命中しやすくなった回復役の首目掛けてドンナーを放つ。だが、他の攻撃を無視して首達は回復役を守る。

 

「チッ、捨て身の守りか…」

 

そのまま回復役が回復しようとするが竜達はミスをおかした。というのも忘れてはいけないのはハジメの放った銃の技量をここ最近で超えてる者がいることを竜達は知らなかっただけのこと…否、気づけなかったのだ。

 

少女、白崎香織の力は異世界召喚時のチートステータスに加えて、ハジメと共に喰らい力を手に経験を積んだ。更にハジメの錬成で現代兵器を作り出し。寝る間を惜しんで一人訓練してた。その存在を…

 

「やっちまえ!!香織!!」

 

香織のドンナーの弾丸は他の首の守りを抜け回復役にヒット。さらに彼女の弾は別々の首を牽制しつつ素早くリロードを行い回復役に致命的なダメージを与える。

 

「ごめん!!…ハジメくん!!倒しきれなかった」

 

「いや、十分だ。…香織のおかげで魔物の動きが少しは鈍るはずだ。」

 

 倒せなくても香織がまた同じ事をすると相手に思わせるだけで相手の動きが鈍る。ハジメはそう考え他の首を見ると黒首の竜の目が怪しく光りユエを見つめる。

 

「いやぁああああ!!!」

 

「!? ユエ!」

 

 

 咄嗟とっさにユエに駆け寄ろうとするが、それを邪魔するように赤頭と緑頭が炎弾と風刃を無数に放ってくる。未だ絶叫を上げるユエに、歯噛みしながら一体何がと考えるハジメ。そして、そういえば黒い文様の頭が未だ何もしていないことを思い出す。

 

 

(違う、もし既に何かしているとしたら!)

 

 

 ハジメは『縮地』と『空力』で必死に攻撃をかわしながら黒頭に向かってドンナーを発砲した。射撃音と共に、ユエをジッと見ていた黒頭が吹き飛ぶ。同時に、ユエがくたりと倒れ込んだ。その顔は遠目に青ざめているのがわかる。そのユエを喰らおうというのか青頭が大口を開けながら長い首を伸ばしユエに迫っていく。

 

 

「させるかぁああ!!」

 

 

 ハジメはダメージ覚悟で炎弾と風刃の嵐を〝縮地〟で突っ込んで行く。致命傷になりそうな攻撃だけドンナーの銃身と『風爪』で切り裂き、ギリギリのタイミングでユエと青頭の間に入ることに成功した。しかし、迎撃の暇はなく、ハジメは咄嗟に『金剛』を発動する。『金剛』は移動しながらは使えない。そのため、どっしりとユエの前に立ち塞がる。魔力がハジメの体表を覆うのと青頭が噛み付くのは同時だった。

 

 

「クルルルッ!」

 

「ぐぅう!」

 

 

 低い唸り声を上げながら、青頭がハジメを丸呑みにせんと、その顎門を閉じようとするが、ハジメは前かがみになりながら背中と足で踏ん張り閉じさせない。そして、ドンナーの銃口を青頭の上顎に押し当て引き金を引いた。

 

 

 射撃音と共に噴火でもした様に青頭の頭部が真上に弾け飛ぶ。力を失った青頭をハジメは〝豪脚〟で蹴り飛ばす。次いでに、〝閃光手榴弾〟と〝音響手榴弾〟をヒュドラに向かって投げつけた。

 

 

「香織!少しの間頼む!」

 

「任せて!」

 

 

 二つの手榴弾が強烈な閃光と音波でヒュドラを怯ませ、香織が時間稼ぎをし、その隙にハジメはユエを抱き上げ柱の陰に隠れた。

 

 

「おい! ユエ! しっかりしろ!」

 

「……」

 

 

 ハジメの呼びかけにも反応せず、青ざめた表情でガタガタと震えるユエ。黒頭のヤツ一体何しやがった! と悪態を付きながら、ペシペシとユエの頬を叩く。〝念話〟でも激しく呼びかけ、神水も飲ませる。しばらくすると虚ろだったユエの瞳に光が宿り始めた。

 

 

「ユエ!」

 

「……ハジメ?」

 

「おう、ハジメさんだ。大丈夫か? 一体何された?」

 

 

 パチパチと瞬きしながらユエはハジメの存在を確認するように、その小さな手を伸ばしハジメの顔に触れる。それでようやくハジメがそこにいると実感したのか安堵の吐息を漏らし目の端に涙を溜め始めた。

 

 

「……よかった……見捨てられたと……また暗闇に一人で……」

 

「ああ? そりゃ一体何の話だ?」

 

 ユエの様子に困惑するハジメ。ユエ曰く、突然、強烈な不安感に襲われ気がつけばハジメに見捨てられて再び封印される光景が頭いっぱいに広がっていたという。そして、何も考えられなくなり恐怖に縛られて動けなくなったと。

 

 

「チッ、バッドステータスか…」

 

「……ハジメ」

 

 敵の厄介さに悪態をつくハジメに、ユエは不安そうな瞳を向ける。よほど恐ろしい光景だったのだろう。ハジメと香織に見捨てられるというのは。何せ自分を三百年の封印から命懸けで解き放ってくれた人物であり、吸血鬼と知っても変わらず接してくれるどころか、日々の吸血までさせてくれるのだ。心許すのも仕方ないだろう。

 

 

 そして、ユエにとってはハジメの隣が唯一の居場所だ。一緒にハジメの故郷に行くという約束がどれほど嬉しかったか。再び一人になるなんて想像もしたくない。そのため、植えつけられた悪夢はこびりついて離れず、ユエを蝕む。ヒュドラが混乱から回復した気配にハジメは立ち上がるが、ユエは、そんなハジメの服の裾を思わず掴んで引き止めてしまった。

 

 

「……私……」

 

 

 泣きそうな不安そうな表情で震えるユエ。ハジメは何となくユエの見た悪夢から、今ユエが何を思っているのか感じ取った。そして、普段からの態度でユエの気持ちも察している。今更、知らないフリをしても意味がないだろう。

 

 

 ―ただ、いつまでもユエの相手をしている時間はない―

 

 

 慰めの言葉でも掛けるべきなのだろうが、今は時間がない。それに生半可な言葉では、再度黒頭の餌食だろう。ハジメがやられる可能性もあるのだから、その時はユエにフォローしてもらわねばならない。そんなことを一瞬のうちに、まるで言い訳のように考えると、ハジメは、ガリガリと頭を掻きながらユエの前にしゃがみ目線を合わせる。

 

 

 そして……

 

 

「? ……!?」

 

 

 首を傾げるユエを抱き締めた

 

 

 ほんの少しだけだったが、ユエの反応は劇的だった。マジマジとハジメを見つめる。

 

 

 ハジメは若干恥ずかしそうに目線を逸らしユエの手を引いて立ち上がらせた。

 

 

「ヤツを殺して生き残る。そして、地上に出て故郷に帰るんだ。……三人で」

 

「んっ!」

 

 ハジメは咳払いをして気を取り直し、ユエに作戦を告げる。

 

「ユエ、シュラーゲンを使う。連発できない

 

から援護を頼む」

 

「任せて!」

 

 

「香織!援護を頼む!!」

 

「うん!わかった!」

 

 香織とユエはそれぞれドンナーと魔法により竜を牽制。ハジメは背負ってた袋から錬成により作り出した。新たな武器 電磁加速式対物ライフル「シュラーゲン」 を構える。

 

 

「くらいやがれ!!」

 

 真紅の魔力をスパークさせて放たれた弾丸は首達の守りを抜け回復役ごと貫く。

 

「…『天灼』」

 

 ユエの雷の魔法を追加で放ち六つ合った首は完全に消え去った。

 

 

 

「はぁはぁ…やった?」

 

 ユエは魔力を使いきったのかその場に座り込み息を整える。香織もそんなユエに労いの言葉をかけ。ハジメも思わずそんな二人のやり取りを見て気を抜いた。

 

 

 だからこそ六つ首からもう一つの首が出てくることに気づくのが遅れてしまった。 竜の首は口に光を溜めて放った。狙いはハジメや香織ではなく。魔力を使いきって座っていたユエだった… 香織はユエの前に立ち魔物から手に入れた技能を使い魔力を全身に流して防御力を上げる。光属性魔法の結界を使用する暇がないために香織はダメージを覚悟でユエを守ろうとする。…だが、香織に光が届くことはなかった。ハジメが香織やユエを庇う位置に香織と同じ方法でシュラーゲンを盾に前に立った。

 

「ハジメくん!!!」

 

 

 光が収まると全身に酷い火傷を浴びたハジメが倒れた。あの固かったサソリの魔物の鉱石を使用して出来た「シュラーゲン」はボロボロでハジメの右目は沸騰したように焼け落ちてた。

 

「は、…ハジ、メ…くん?」

 

「ハジ、メ?…ハジメ!?」

 

呆然とする二人に竜首は光のレーザーを弾幕のように放つ。香織は光属性魔法の結界を使用してその攻撃を防ぐ。

 

「ユエ!今のうちにハジメくんを!!」

 

「わ、わかった!」

 

ユエはハジメの肩をつかみ自身の肩に担いで運ぶ、身長差もあるせいでゆっくりだが一つの柱にハジメと共に避難する。 それを見届けた香織は技能〝縮地〟でユエ達の元に続く。

 

 

 

「ハジメくん…飲んで」

 

神水をハジメの口に入れるが直ぐに吐き出してしまい。香織は自身の口に神水を含みハジメにそのまま口移しをする。

 

「香織…ハジメは?」

 

「…傷がヒドイ…神水の回復も何かに邪魔されてるのかいつもより回復が遅い…それに…ハジメくんの右目は…もう、…」

 

ハジメの右手を握り回復魔法も行使する香織にいつもの明るい姿はなく。ユエはそれだけでどれだけ絶望的なのかわかってしまった。さらに竜首の攻撃は続いてる。誰かが引き止めないと全員全滅だと、

 

「香織…ハジメをお願い」

 

ユエは覚悟を決める。自分を助けてくれた二人に代わり、竜首を倒す覚悟を…

 

「ユエ…でも!!」

 

ユエはただでさえ魔力がほとんど残ってなく、その状態であの激しい攻撃のなか動くのは不可能に近かった ユエもそんなことはわかってた。それでも彼女にとって大切なのは二人の命でそれを守るためなら自分の命も厭わない。それに…

 

「んっ。…私は香織達よりもお姉さんだから…二人を守るのは…当然」

 

そのユエの言葉に香織は思わず涙を流した。ユエを止めるまもなくハジメのドンナーを片手にユエは竜首に向かっていた。

 

 

──────────────────────

 

 

 ―あぁ、…まただ…また…私は…ハジメくんを守れなかった…―

 

 ―それだけじゃなく…ユエを…大切な仲間も止めることが出来なかった…―

 

 ―私は…なんて…弱いんだろう…―

 

 

 

 ―守るって誓ったのに大切な人を!―

 

 

 ―私は…私は…―

 

 

 

「…泣いて、るのか?」

 

 ハッと香織は自身の涙を拭う手の持ち主を見る。意識がまだ不完全なのか呆然とこちらを見るハジメ

 

「…ハジメくん?」

 

「…泣くな、香織…お前を泣かす…ヤツは…俺が……す…約束…した、…香織が俺を…俺が…香織を…」

 

 ―守るって―

 

 その言葉を最後にハジメはまた意識を失った。

 

 言葉に意味はない。それでも、その言葉一つで人は立ち上がれる。香織は回復魔法の行使をやめてドンナーを握りしめてユエが戦ってる戦場を見据える。

 

「そう…だよね…私が…ハジメくんを…ユエを守らないと、嘘つきになっちゃうよね。私達は…最強なんだから。」

 

 香織も再び、戦場に降り立つ。約束を守るために…

 

 

 

 

 

 

 

 ユエは身体強化でなんとか攻撃をしのいでいた。それでも時間がたつにつれて自分の体に攻撃が当たるのをわかってた。ハジメのドンナーは魔物の技能で力を上げてたがユエにはそれはない。なので少ない魔力を使い雷の魔法をドンナーの弾丸に流し込み放つ。

 

「効いてない!?」

 

 確かに弾は竜に当たったが当たる前に竜自身の攻撃が放つ光の弾幕にかき消されのだ。もう一度、攻撃をしようと構えるユエ。だがそれよりも早く竜の攻撃がユエに入る。始めは右肩、次に左腕…一度の攻撃がどんどんユエに入っていきついには倒れてしまう。

 

「う、…」

 

 止めをさすように竜が大きな溜めのモーションを始める。ユエはもはや、動くことが出来ずにその攻撃を睨み付けるしかなかった

 

 ―ごめん…香織…ごめん…ハジメ―

 

 悔しくて涙を浮かべるユエに竜は容赦なく光のレーザーを放った。

 

「泣くにはまだ早いよ。…ユエ」

 

 光の膜がレーザーを受け止める。香織の放った光魔法の結界だ。ユエはそれを確認すると同時に自分が香織に持ち上げられてることに気づく。

 

「…香織?…」

 

「うん。」

 

 香織が此処に居ることに唖然として直ぐに治療してたハジメはどうなったのか香織に問う。

 

「…まだ、完全ではないけど…やるだけ回復はしたよ。」

 

「それなら…私を置いてハジメと逃げて」

 

「ううん。それは出来ないよ。…だって、ハジメくんと約束したから守るって…だから…ハジメくんの…ううん。私達の大切な仲間を守らないと」

 

 いままでに此処に来るまでに香織とユエは喧嘩をしたりした。それはユエがハジメを好いてるとお互いに自覚してたからだ。だからこそ香織はユエに嫉妬から意地悪をするし喧嘩もする。だが、だからこそ、ユエにはそれが一つの絆の形であり自分を認めてる証明だった…そして、…ユエは香織をライバルであると同時に大切な仲間と思ってた。そんな想いがあるからこそ香織が…ハジメ以外に興味がない顔をしてたあの、香織が自分を仲間と認めてくれた。大切だと言ってくれた。それが何よりもユエには嬉しかった。

 

「もう、…また…泣いてるの?」

 

 どことなく優しい香織の問いにユエは目をぬぐい。自身か好いてる男と同じ不敵な笑みを浮かべる。

 

「…泣いてない。…これは、汗」

 

 そんなユエに香織も自身の最愛の恋人と同じように不敵な笑みを浮かべて…

 

「…そっか…じゃあ…もう一汗かこうか?」

 

 自らの殺すべき敵を見据える。

 

 ―香織…ユエ…?―

 

 ―何してるんだ…?―

 

 ―戦ってるのか…?―

 

 ―俺は…何をしてる?―

 

 

 

 ―こんなところでくたばるのか?―

 

 

 

 ―一緒に帰るって…誓ったじゃねぇか…―

 

 ―一緒に連れて帰るって…約束したじゃねぇか…―

 

 

 

 ―だから…

 

 

 

いつまでも…寝てるわけにはいかねぇんだ!!!―

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 香織はユエを庇いながら光線を捌きユエも香織の持ってた神水で魔力を回復させて香織のサポートをしてた。光線の弾幕のせいで攻撃が届かずさらには光線の速さと量により防御するしかなかった。

 

「この…光線を越えれば…」

 

 香織は後少し何か変化が有れば敵の命まで届くとわかってるもののその後少しが届かなかった。

 

 

 ユエに巨大な魔法を行使するにしても私一人じゃ…あの弾幕から逃げることは出来ない。…かと言って、結界を張ろうにも この攻撃回数だとユエの魔法発動までにこちらに届いてしまう…

 

 

 何度目かの光線をしのいでる時に香織は攻撃の余波で発生した瓦礫の破片が後頭部に当たる。…普段の香織なら気にしなかったダメージだが今の香織はユエを担ぎ敵への攻撃を考え、なおかつハジメに被害がいかないようにすべて計算して考えてた。故にその少しの刺激が香織の集中力を解いてしまった。

 

 

「しま…!!」

 

 光線の弾幕が香織とユエに届く瞬間に香織は愛しい人の気配を感じとり。安堵のため息をはいた。

 

「…おかえり、…ハジメくん」

 

 

いくつもの光線をくぐり抜け、香織とユエの元にたどり着いたハジメは彼女達を抱えて後方に移動してた。

 

「二人とも…待たせたな」

 

「ハジメくん!!」 「ハジメ!!」

 

ハジメはいつものように不敵な笑みを浮かべる。

 

「この戦いはお前達の勝ちだ。」

 

光線がハジメ達に放たれる。ハジメはユエを右手に香織を背中に担いですべての光線を避ける。

 

 

 

 全てが色あせて見える。何もかもがゆっくり動いてる。

 

 

 

『天歩』最終派生技能『瞬光』

 

 

 

 知覚能力を最大まで上げて肉体の限界を超えた動きを可能にする。「天歩」の最終派生技能「瞬光」香織達のピンチの土壇場でハジメが目覚めさせた最終派生技能である。

 

「勝つぞ。俺達三人で」

 

グオォォオオオオ!!

 

 竜首は六つ首すべてから光線があふれでる。先程の攻撃の倍以上の魔力。敵の方も本気だとハジメ達にはわかった。

 

「ぐっ…」

 

 ハジメは倒れそうになるが香織が支えてくれてなんとか保つ。

 

「ハジメくん…大丈夫?」

 

「あぁ、大丈夫だ。」

 

復活したとはいえ長くは持たねぇか…

 

ハジメは香織から離れてユエに向き合う。

 

「…ユエ…魔力は?」

 

「あと少しだけなら…」

 

「なら、あのサソリを倒した魔法…『蒼天』は?」

 

「…足りない…」

 

 ユエは落ち込んだ、と思ったら次の瞬間、目を丸くした。

 

 

「ならユエ、血を吸え」

 

 

 静かな目、静かな声でユエに促す。ユエはただでさえ血を失っているのにと躊躇ためらう。ひらりひらりと光弾を交わしながら、ハジメはユエをきつく抱きしめ首元に持ち上げる。

 

 

「最後はお前の魔法が頼みの綱だ。……やるぞ、ユエ。俺達三人が勝つ!」

 

「……んっ!」

 

 

 ハジメの強烈な意志の宿った言葉に、ユエもまた力強く頷いた。ハジメを信じて首元に顔を埋め牙を立てる。ハジメの力が直接流れ込むかのようにユエの体を急速に癒していく。二人は光弾の嵐の中を抱き合いながらダンスを踊るようにくるくると動く。

 

 

 やがて、ユエが吸血を終え完全に力を取り戻した。

 

 

「ユエ、奴の攻撃は俺が全て避ける。...ユエは『蒼天』の準備を.…俺の合図で奴にぶちかませ。...香織は足止めを」

 

「…んっ」

 

「うん、わかった!」

 

「頼む、…行くぞ!!」

 

 香織を背中に、ユエは左側から首に抱きつき「瞬光」を発動。香織は「縛光刃」を敵に発動。光の十字架を飛ばして対象を捕縛する光属性の魔法である。だがそれだけでは敵を止めることが出来ないのをわかってる香織は更に「縛煌鎖」を使用する。無数の光の鎖を伸ばして対象を捕縛する光属性の魔法。 それらを使用して数秒敵を止める香織。

 

「今だ!!ユエ」

 

「んっ!!――蒼天!!」

 

蒼い炎の塊を竜首に当て放つ。ハジメは自分に向かってくる光線を避け。ユエの魔法でわずかに閃光が消え去ってる間に狙いをつけドンナーで最後の首目掛けてうち放つ!

 

 

「ここで…終わっとけ!!!」

 

 

今度こそ、辺りに静寂が満ちる。ハジメ達は揃って床に座り込み。一緒に倒れた。

 

「今度こそ…もう、限界…」

 

三人とも気絶するように眠りについた。だが三人ともどこかやり遂げた顔であった。

 

 

 

 

 

──────────────────────

 

 

 

「ハジメ、マジ主人公だな!にしてもヒュドラってそんなに強かったのか?」

 

「強いだろ、そうゆうお前はどうやって倒したんだよ」

 

「アシストと『融合』したあと、斬撃と弾丸とレーザーと槍の雨を降らせた」

 

「………は?すまんが言ってる意味がわからん。特に『融合』?レーザー?一体何があった!」

 

「ああそっか、そういえば説明していなかったな。それはだな………」

 

 こうして俺はハジメ達に事の説明をした。ハジメ達のツッコミが吹き荒れたのは言うまでもない………

 

 

 

おまけ

 

「ところで、白崎はん、話に出てこなかったが、『ハッくん』って呼び方はいつからなん?」

「ハッくんと一夜を越えて1日過ごした後だよ♪」

「ハス゛ィメ……」

「ヤり過ぎた。反省はしているが後悔はしていない」

「………ハジメ、意外と気に入っている?」

「あ、ああ」

「さいですか………」

奈落でのとある会話でした

 




俺の自由か…………よし!全部やろう!

気分転換用の小説書きたいけどどれがいいかな?

  • 防振り×ウルトラマンZ
  • 魔王学院×仮面ライダーディケイド
  • ありふれ4種
  • その他(コメントにて受付)
  • 作者の自由な意思の元にあらんことを

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