「お願いです~見棄てないで~~!!」
ウサミミ少女は助けを求める。それを聞いて、ハジメは舌打ちしてバイクを停め、ホルスターからドンナーを取り出す。
刹那
――ドパンッ!! ドパンッ!!
二発の銃声が峡谷に響いた……
ドンナーの銃弾が双頭ティラノの頭をぶち抜き、地に沈む。ウサミミ少女は、下敷きに成らぬ様に逃げる
振り向くと、双頭ティラノが頭から血を流して息絶えていた……
「死んでる……ダイヘドアを一撃で倒すなんて……」
そう言うと、近付いてきたハジメに抱きつかんと飛び出す
「助けていただき有難うございますぅ! では私の話をきいてk「ハジメくんが誰を助けたって?」あだだだだだ!」
香織は少女の頭にアイアンクローを見舞った。
「ハジメくんは敵が居たから倒しただけだよ。勘違いしないでね」
香織がそう言うと香織は少女から手を離す。少女はというと、アイアンクローの痛みに地面でゴロゴロ転がっている。
「お前ら……あの~、ウサミミはん、さっき〝やっと見つけた〟言ってたけど?詳しく聞かせてもらえるかな?」
ショウの言葉に、ハジメ達は驚く。ショウがこう言うのにはちゃんとした理由がある。取敢えず、話を聞く事に決めた
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このウサミミ少女こと―――『シア・ハウリア』が言うにはだ……
彼女達、兎人族の一つ【ハウリア族】は亜人の国家【フェアベルゲン】のある樹海で暮らしていた。しかし、彼女の存在がハウリア族が追放される原因となった……
亜人族は本来魔力を持たない。しかし、彼女は魔力を持ち、直接操作出来た。更に、固有の魔法である【未来視】――仮定した先の未来を視る力を持っていたのだ これは魔物と同じ力と見られ、一族の存亡に関わる事になる……ハウリア族は樹海を追われ、北の山脈に移住する事にしたのだが………その途中で、人間族至上主義の軍事国家【ヘルシャー帝国】の兵に見つかってしまった
ハウリア族は争いを苦手とする一族……半数以上が捕らえられてしまい、苦肉の策でライセン大峡谷へ逃げ込んだのだ。しかし、今度は魔物に襲われてしまった……
「お願いです! 私達を――私の一族を助けてください!!」
「断る!!」
「嫌よ!!」
ハジメと香織はそれをバッサリ切り捨てた。
「この、バカ夫婦!!」
そしてショウはハジメと香織に拳骨を喰らわせた
「何すんだテメェ!!」
「何するのよ!!」
「お前ら、シアはんが〝見棄てないで〟と聞いて、助けるの決めただろ。それは、お前らが奈落に落ちて、死にかけて、一番言いたかった言葉だろう!」
「「!!」」
「なのにお前らは………変わっちまったのか!?正真正銘の化物に………誰かの為に強かった自分を捨てて、自分達の為だけに一切を切り捨てて生きるのか!?そんな生き方、故郷で出来るのか?」
ハジメと香織は黙りこんでしまった。
次にウサミミ少女に振り返って
「シアはんは『未来視』でそれを見なかったのか? 何故そんな事になってしまったんですか?」
「………貴方の言う通りです」
少女――シアは悔しそうに拳を握る。そして
「頑張りが足りなくて変えられなかった未来もありました。でも、私は今度こそ……貴方達との未来を諦めたくないんです…!」
シアの決意に、ハジメと香織もぐうの音も出ない。それは、何がなんでも生きて帰ると決めた時の決意と同じだったからだ。
「ハジメ。連れて行こう」
ユエもハジメ達に言う
「樹海には案内人が必要。元住人ならちょうど良い」
それに、と続け
「私達は最強」
「……まぁ、お前がそう言うなら」
「私も……ハジメくんが言うなら」
ハジメは溜め息を吐いて、決めた。
「という訳や。助ける代わりにハウリアさん等を樹海の案内に雇うと言うことでいい?」
「それで文句はないな?」
「はい! 勿論です!」
ハジメは【宝物庫】からバイクの追加パーツサイドカーを付ける。その日のうちにまさか追加パーツを使うとはと、ハジメは心中でそうもらす。
「よし、それじゃあ乗れ」
ここでハジメは自分達が名乗ってなかったことに気づいたので名乗ることにした。
「南雲ハジメだ」
「白崎香織」
「………ユエ」
「アオイ ショウだ、よろしく!」
「アシストです。以後お見知りおきを」
「はい!よろしくお願いします!」
シアは嬉しそうに返事をした。
清水どうする?
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殺れ
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助けて