魔王と救世主で世界最強   作:たかきやや

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愛子の質問

 

 

「まってください」

 

「ああ?」

 

俺達を呼び止める様に先生が声を上げ、ハジメが答える。

 

「話しはまだ終わっていません。先ず、その三人は誰なんですか?」

 

先生はユエはん達の方を見いてそう聞くと、

 

 

「ユエ。ハジメの側室」

 

「シア・ハウリアですぅ。ハジメさんの女ですぅ!」

 

何ともインパクトのある自己紹介をした。

 

 

「お、女?」

 

先生は衝撃を受けた様に震えた。

 

 

「おい! ユエはともかくシアは違うだろ!」

 

ハジメはそう口を出す。

 

 

 

「そんなっ! 酷いですよハジメさん。私の一族を狂信者にしといて!」

 

「いや、何時までそのこと引っ張るんだよ? あれは…………」

 

その話を聞いていたクラスメイトの男子陣が、

 

 

「おい聞いたか? 南雲の女って言ったぞあの子達」

 

「くっ………何故だ!? 俺達には出会いがないのに何故南雲があんな美人の金髪のロリっ娘とウサ耳美少女に…………!」

 

何やら悔しがっている。

 

 

「いやちょっと待てお前達。それ以前にあの子達は側室と女って言ったぞ?」

 

「「ダニィ!」」

 

「じゃあ正妻は……………」

 

その視線は自然と元からハジメを気に掛けていた少女へと向く。

 

 

その視線に気付くと、白崎さんはドヤ顔で、

 

 

「ハッ君の正妻、白崎香織です」

 

堂々といい放つ。

 

 

「嘘だろぉぉぉぉぉぉぉっ!?」

 

「白崎さんがあああああぁぁぁぁぁぁぁ」

 

「【二大女神】の1人がぁぁぁぁぁぁぁぁっ!?」

 

血涙を流しそうな勢いで叫ぶ男子達。

 

すると、その叫びで愛子先生が我に返ったのか、

 

 

「南雲君…………?」

 

「な、何だ先生………?」

 

「狂信者とはどういう事ですか!そ、それに三股なんて!直ぐに帰ってこなかったのは、遊び歩いていたからなんですか!?」

 

「先生。落ち着いて落ち着いて、どうどう」

 

俺は爆発する愛子先生を宥めようとする。

 

 

「蒼君も何か言っておやりなさい! 複数の女性と付き合う事など不純だと!」

 

「いや、先生。今の俺はあくまで〝ただの執事〟だからそれを言う権利も無いし、別にハジメが決めた事はそれをとやかく言う権利は俺には無い」

 

「い、いやそれでも…………」

 

「まって!今〝執事〟って言わなかった!?」

 

と、『愛ちゃん護衛隊』の園部優花が驚いた様に飛び出てくる。

 

 

「あ、そっか。言ってないっけ?じゃあ」

 

すると俺は姿勢を整え、胸に手を当てて軽く頭を下げる

 

 

「改めまして。ハジメの執事を勤めさせてもらっている蒼 翔と言います。以後お見知りおきを」

 

するとアシストも両手を前で組んで頭を下げる

 

 

「初めまして。蒼 翔を伴侶とし、ハジメのメイドを勤めているアシストと申します」

 

と、二人で自己紹介を済ましたら━━━

 

 

「南雲君…………」

 

重苦しい声でハジメの名を呼ぶ愛子先生。

 

 

「……許しません! ええ、先生は絶対許しませんよ! お説教です! そこに直りなさい、南雲君!」

 

 

 

宿の食堂の一室に雷が落ちた。

 

 

 

 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

 

 

 

先生が一通り騒いだ後、質問を一個づつ返して行く

 

Q.二人は橋から落ちた後、どうしてましたか?

ベストアンサー

香織.超頑張りました

 

Q.蒼君は城を抜けた後、どうしてましたか?

ベストアンサー

ショウ.ハジメ達を追いかけました。十日で攻略はキツかったです

 

Q.なぜ二人はその姿になったんですか?

ベストアンサー

ショウ.話しによると魔物を食べたり仕立てたりしたらしいです。

 

Q.蒼君は何故執事になったんですか?

ベストアンサー

ショウ.機会があっておもいっきりジョブチェンジしました

 

Q.何故戻らないのですか?

ベストアンサー

ショウ.俺達に戻る場所は無い。けど辿り着く場所ならある。だから俺達は止まらない。止まる分けには行かない

 

 

「三人とも真面目に答えて下さい!何ですかベストアンサーって!」

 

と先生が机を叩いて吠えるが

 

 

「旨いな、この異世界カレー。ほとんど日本と変わらない」

 

「ああ、ほんと凄いよな。なあ、香織?」

 

「だね!ハッくん♪ねえ、次これ食べない?」

 

と先生を無視して、飯を食べてると護衛騎士のデビットがこちらに来て睨みながら机を叩き

 

 

「おい、貴様ら!愛子様が質問しているんだぞ!真面目に答えろ!」

 

と突っ掛かって来るがハジメは、チラリとデビッドを見ると、はぁと溜息を吐いた。

 

 

「食事中だ。行儀悪いぞ」

 

と適当に返す。すると

 

 

「行儀が悪い?なら言わせてもらおう。貴様こそ獣風情を店に入れるのがマナー違反だ」

 

 侮蔑をたっぷりと含んだ眼で睨まれたシアはビクッと体を震わせた。ブルックの町では、宿屋での第一印象や、キャサリンと親しくしていたこと、ハジメの存在もあって、むしろ友好的な人達が多かったし、フューレンでも蔑む目は多かったが、奴隷と認識されていたからか直接的な言葉を浴びせかけられる事はなかった。

 

 

 つまり、ハジメと旅に出てから初めて、亜人族に対する直接的な差別的言葉の暴力を受けたのである。有象無象の事など気にしないと割り切ったはずだったが、少し、外の世界に慣れてきていたところへの不意打ちだったので、思いの他ダメージがあった。シュンと顔を俯かせるシア。

 

 

 よく見れば、デビッドだけでなく、チェイス達他の騎士達も同じような目でシアを見ている。彼等がいくら愛子達と親しくなろうと、神殿騎士と近衛騎士である。聖教教会や国の中枢に近い人間であり、それは取りも直さず、亜人族に対する差別意識が強いということでもある。何せ、差別的価値観の発信源は、その聖教教会と国なのだから。デビッド達が愛子と関わるようになって、それなりに柔軟な思考が出来るようになったといっても、ほんの数ヶ月程度変わる程、根の浅い価値観ではないのである。

 

 

「デビットさん!」

 

「だが、愛子。教会から聞いてるだろうコイツらは亜人なんだ」

 

先生が反論しようとするが、その前にショウが口を開く

 

 

「くだらない」

 

「なに?」

 

デビットは眉を寄せて反応する

 

 

「亜人だの人間だのくだらないってんだ。おっさんの汚い面のほうが非常識だわ」

 

「貴様!神殿騎士にたてつくのか!?」

 

デビッドを、副隊長のチェイスは諌めようとするが、それよりも早く、ユエの言葉が騒然とする場にやけに明瞭に響き渡った

 

 

「…………小さい男。絶対モテない(笑)」

 

とユエは嗤った。もちろん、デビットは完全にキレた

 

「……異教徒め、なら今ここで「『頭を垂れて這いつくばえ、平服せよ』」ッ!!」

 

いつもの『言霊魔法』で、殺戮待機ポーズ(ショウ命名)にして黙らせる

 

 

「デ、デビットさん!?」

 

デビットの土下座姿に慌てる愛子先生後ろではクラスメート達が

 

 

「お、おい、今のって」

 

「ああ、檜山にも使った何かだ」

 

「しかも前より強くなってない?」

 

「もしかしてアシストって人もアレで………」

 

「何!ならここで助けたら俺達………」

 

とアホな妄想を吐いてたので無視した。

 

 

「シア。〝外〟ではこれが当たり前なんだ。いちいち気にしていたら切りがないぞ」

 

「アレは【ブルック】が特殊だったからねー」

 

「はぃ、そうですよね……わかってはいるのですけど……やっぱり、人間の方には、この耳は気持ち悪いのでしょうね」

 

 

 自嘲気味に、自分のウサミミを手で撫でながら苦笑いをするシア。そんなシアに、ユエが真っ直ぐな瞳で慰めるように呟く

 

「まあ、そんなこともある。気にするなアイツらは洗脳じみた教育を受けてきたからそうなってるだけだ」

 

とフォローするハジメ。

 

 

「そ、そうですか?………ハジメさんはどう思いますか?私のウサ耳?」

 

ハジメの言葉が慰めであると察して、少し嬉しそうなシアは、頬を染めながら上目遣いでハジメに尋ねる。ウサミミは、「聞きたいけど聞きたくない!」というようにペタリと垂れたまま、時々、ピコピコとハジメの方に耳を向けている。

 

「気味悪がってたらいちいちモフモフしてない」

 

と誉めながらモフる

 

 

「ねー。とっても気持ちいいよね~」

 

と、香織もモフる

 

「ン。触り心地はすごくいい」

 

さらにユエもモフる

 

「そ、そうですか!ならよかったですぅ!」

 

とウサミミをパタパタさせて喜ぶシアとそれを囲んでモフモフするハジメ達。たちまち、ラブコメ空間が展開され、空気中の成分が砂糖に変わる

 

 

「な、なんなんだあの甘い空気は…………」

 

「畜生、畜生!何で南雲ばっかり!」

 

「しかもショウも、嫁さんとか爆ぜればいいのに」

 

「どうしてあいつらばっかり」

 

と、嫉妬の怨嗟を放つ男子三人

 

「「「「「「ごちそう」さん」」さま」」さまですぅ」

 

「さ、今日はもう休んで明日頑張るぞ」

 

「だな」

「だね」

「はい」

「ンッ」

「です」

 

と二階に向かおうとする一同

 

「ちょっと、南雲君!」

 

ハジメ達を止めようとする先生だが、『絶対的主人公』と『威圧』で圧倒的なプレッシャーを放つハジメ。そして、自分の立ち位置と愛子達に求める立ち位置を明確に宣言する。

 

 

「俺はお前らに関わってほしいとも関わりたいとも思わない。俺達の邪魔をするなら殺す。例え相手がクラスメートであってもな」

 

そう言い残して二階へと消えて行った。

 

 

残された愛子達の間には、何とも言えない微妙な空気が流れる。

 

片方は死んだと思っていたクラスメイトが生きていたのは嬉しい。だが、当の本人は、自分達の事などまるで眼中になかった。しかも、以前とは比べ物にならないほど強者となっており、〝無能〟と呼んで蔑んでいた頃のように上から目線で話すなど出来そうもない。

 

もう片方は、ハジメの為なら人殺しを躊躇わない殺人者。しかも自ら無能を演じていた為、格下と思って見下してたのが本来は足元にも及ばないと言う信じられない事実。

 

 

二つの出来事に考えさせられる中

 

「南雲………生きてたんだ…………お礼、言えなかったな………………」

 

 

小さな部屋に呟かれた言葉に一同は顔を見合せた。ハジメや香織の変貌や、ショウの殺人や謎の力など、そこに感心を向ける前に、自分達にはするべき事があったのでは無いか………優花の様にハジメに直接救われて無くても、あの時二人はクラスメートの為にベヒモスと真っ正面から立ち向かったのは事実だ。

 

 

「南雲君…………」

 

一同は「ハジメが生きてる」事に深く考えさせられたのだった

清水どうする?

  • 殺れ
  • 助けて

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