明朝。ハジメ達六人は旅支度を終えて北門へと向かう。北門へ到着すると、門の傍に複数の気配――――――畑山と生徒六人の姿だった
「…………一応聴こうか。なにしてんだ?先生」
「私達も行きます。行方不明者の捜索ですよね?人数は多いほうがいいです」
「却下よ。一緒に行って私達に何のメリットがあるの?」
「その様子から見るに、先生達の移動は馬だろ?単純に足の速さが違う。先生達に合わせてチンタラ進んでなんていられないんだ」
「はっきり言って、足手まといを越えてお邪魔虫」
ハジメ達は、「こいつら乗馬出来るの?」と真っ先に疑問が思い浮かんだが、至極どうでもいいのでスルーする事にした。そんな二人の様子にカチンと来たのか、園部が強気で食って掛かる
「ちょっと、そんな言い方ないでしょ?蒼が私達の事をよく思ってないからって、愛ちゃん先生にまで当たらないでよ」
ハジメはため息を吐いて、宝物庫から魔力駆動二輪(サイドカー付き)を取り出し、ショウは『ディスティバーンフォーム』に変身する。突然、何もない所から大型のバイクが出現したり、SFアニメみたいに変身したりでギョッとなる畑山達
「理解したか?お前等の事は昨日も言ったが心底どうでもいい。だから、八つ当たりをする理由もない。そのままの意味で、移動速度が違うと言っているんだ」
マジマジと魔力駆動二輪を見ている畑山達の中の一人、バイク好きの相川が若干興奮したようにハジメに尋ねる
「こ、これ南雲が作ったのか?」
「ああ、ショウの翼もな。それじゃあ俺等は行くから、そこどいてくれ」
しかし、畑山はそれでもハジメに食い下がる。理由は色々とあるが、一番の理由は現在失踪中の清水という生徒の安否だ
「南雲君、蒼君、白崎さん、先生は先生として、どうしても二人からもっと詳しい話を聞かなければなりません。だから、きちんと話す時間を貰えるまでは離れませんし、逃げれば追いかけます。二人にとって、それは面倒なことではないですか?移動時間とか捜索の合間の時間で構いませんから、時間を貰えませんか? そうすれば、二人の言う通り、この町でお別れできますよ・・・一先ずは」
「・・・本当に先生って教師なんだな」
ハジメは尚も食い下がる畑山の視線から逃れる様に空を見上げると、徐々に明るくなってきていた。これ以上の門答は時間の無駄だと判断して、諦めて畑山に向き直る
「わかったよ。同行を許そう。といっても話せることなんて殆どないけどな・・・」
「構いません。ちゃんと二人の口から聞いておきたいだけですから」
「はぁ、全く、先生はブレないな。何処でも何があっても先生か」
「当然です!」
ハジメが折れたことに喜色を浮かべ、むんっ!と胸を張る畑山。どうやら交渉が上手くいったようだと、生徒達もホッとした様子だ
「・・・ハジメ、連れて行くの?」
「ああ、この人は、どこまでも"教師"なんでな。生徒の事に関しては妥協しねぇだろ。放置しておく方が、後で絶対面倒になる」
「ほぇ~、生徒さん想いのいい先生なのですねぇ~」
ハジメが折れた事に驚くユエとシア
「でも、このバイクじゃ全員は乗れないでしょ?どうするの?」
園部がもっともな事実を口にする。しかし、ハジメは慌てる様子無く魔力駆動二輪一台を収納して魔力駆動四輪を取り出す
「それじゃあ、さっさと行くぞ。乗れない奴は荷台な」
呆然とする畑山達を傍目にして、そそくさと運転席に移動するハジメ。助手席には香織とユエ、後部座席にシアと畑山達女性陣で、男子は大人しく荷台へと座り、俺とアシストは自分で飛んで出発した。
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前方に山脈地帯を見据えて真っ直ぐに伸びた道を、ハマーに似た魔力駆動四輪と蒼夫婦が爆走する。香織とユエとシアは女性陣同士でハジメの関係性について根掘り葉掘り聞かれたり、アシストは俺との関係を聞かれている。
「え?何でハーレムを容認しているか?」
「うん。長年南雲に片思いだったのに、何で認めたのか気になって!」
ハジメのハーレムについて物凄く気になる男子達も聞き耳を立てる
「それなんだけどね~ハッくん今モテ期でね。それに私一人じゃハッくんに耐えられなかったからよ」
「「何があったの?」」
「ハッくんのハッくんが化け物って事よ。いや、むしろ魔王ね。この呼び方もハッくんに沢山やられて一回壊れてからね~」
「す、凄いわね………南雲…………」
「一回壊れたって……………」
「皆さん!?」
「生々しすぎんだろっ!」
「南雲の息子が魔王!?」
「畜生!!オルクスから落ちた後、また堕ちてたのかよ!」
ハジメの事でスッゴい混沌としているが当の本人は知らんぷりして運転に集中する
「ねえ!アシストさんは何処で蒼と出会ったの?」
「え?私ですか?」
「うん。気になって!」
「私はショウがレベル2に発現した技能で。その後色々あってこの姿になりました」
「は?技能!?そんなことあるの!?」
「おう。これステータスにも書いてあるが見るか?」
と言って、ショウはステータスプレートを車の中に投げ渡す。
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蒼 翔 17歳 男 レベル:100
天職:救世主
筋力:アノス
体力:サトシ
耐性:イージス
敏捷:光何て亀と一緒
魔力:-∞
魔耐:ハイパームテキー
技能:全属性適性[+分解魔法][+想像構成][+複数同時構成][+遅延発動][+自動発動]・回復魔法[+想像構成][+複数同時構成][+遅延発動][+自動発動]・結界術適正[+想像構成][+遅延発動][+自動発動]・魔力反転[+魔力操作][+魔力放射][+魔力圧縮][+遠隔操作][+身体強化][魔力効率上昇][+魔力武装][+魔力譲渡]・全攻撃無効化[+魔法吸収][+状態異常反転][+反射]・複合魔法[+派生魔法][+派生魔法一覧:融合:構築:蘇生:捕食:浮力:時間:力:言霊:植物:分離]・戦闘術[+我流流派][+唯我独尊][+透き通る世界][+超越者]・武器召喚[+瞬間装備][+武器保管][+装備一式召喚]・地拳[+豪腕][+金剛][+一拳][+飛撃][+五指強化][+無我]・天歩[+空力][+縮地][+爆縮地][+重縮地][+無拍子][+震脚][+豪脚][+破踏][+真速][+瞬光][+革新者]・演算領域[+未来予測][+平行思考][+空間認識]・魔力変換[+衝撃変換][+治癒力][+体力][+反魔力]・気配操作[+幻踏]・全事象把握[+魔力探知][+気配探知][+魂魄探知][+悪意探知][+熱源探知][+ベクトル探知][+特定関知]・限界突破[+持続時間上昇][+戦鬼][+覇潰][+フィーバー]・成長促進[+技能習得]・家庭術[+料理][+掃除][+洗濯][+修理][+時短術][+家庭の知恵]・アシスト[+特定念話][+思考共有][+ステータス共通][+技能共有][+お楽しみ(意味深)]・偽装[+外見変化][+力量操作][+光学迷彩][+隠業][+証拠隠滅]・作者使役・神代魔法[+概念魔法]・言語理解[+念話]
・もう全部コイツ一人でいいんじゃないかな?
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「「「「「「「…………なにこれ?」」」」」」」
と疑問の眼で問いかけられたが、俺は笑って
「自分でもわからない事だらけだ。まあ、問題ない。俺がハジメの執事で有る限りな」
と、豪快に答えた
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珍事もあったがハジメ達は、麓に四輪を止て、四輪を宝物庫にしまい込んで千機の鳥型の模型を取り出した。それをショウに渡し、次々と空へ放って行く
「あの、あれは・・・」
「無人偵察機よ。現代風に言うならドローンが良いわね」
「処理能力は俺よりもショウの方が良いから多く操れるんだよ」
と、ショウの方を向くとショウの目が虹色に輝く。これは『革新者』の効果の副作用的な物だが、先生達からしたら未知との遭遇みたいな感じになっていたが………
それはさておき。ハジメ達は、冒険者達も通ったであろう山道を進む。魔物の目撃情報があった山道の中腹より少し上、六合目から七号目の辺りをドローンを先行させて重点的に捜索する。ハジメ達は念の為に先頭を、ショウ達は一番奥という感じで手分けをして探しながら尋常じゃない早さで山道を進んだ
約一時間程で六合目に到着したハジメ達は、一度そこで立ち止まった。理由は、そろそろ辺りに痕跡がないか調べる。そしてもう一つは・・・・
「はぁはぁ、きゅ、休憩ですか・・・けほっ、はぁはぁ」
「ぜぇー、ぜぇー、大丈夫ですか・・・愛ちゃん先生、ぜぇーぜぇー」
「うぇっぷ、もう休んでいいのか?はぁはぁ、いいよな?休むぞ?」
「・・・ひゅぅーひゅぅー」
「ゲホゲホ、南雲達は化け物か・・・」
先生達の休憩の為だ。彼らをこの世界の一般人と比較すると、普通であればこの程度では息切れはしない。だが、ハジメ達の進行速度が予想以上に早かった為に、気がつけば体力を消耗しきってフラフラになっていたのである。
一応、ついてきてもらう為に、アシストがバフをかけていたが。まあ、元々の差が理由だろう。
四つん這いで息を整えている彼等を放置して、周辺状況を確認をするハジメとショウと香織とアシスト。ユエとシアは、近くに流れている小川で軽く休憩を取っている。素足になってパチャパチャと遊んでいる。各自水分補給をすませ、先に進む。上流にたどり着くと
「これは・・・砕けた盾に鞄かしら?しかも、真新しいわね」
「当たりだな」
「ああ」
一行はその場の物を集めていると、遺留品と思われるロケットペンダントが見つかった。
「遺留品で間違いないが、肝心の死体が見付からないって事は・・・生きている可能性は少なからずあるって事か」
「魔物との戦闘跡からして上流か下流に沿って移動したのかな?」
「体力や精神面から予想すると、下流の方ですかね?」
ハジメ達はドローンを上流へと飛ばして、下流へと降りて行く。すると、大きな滝を発見した瞬間にアシストが反応した
「この滝壺の奥に気配がある。一人だけだけど」
滝横の崖を急いで降りて、ショウに一言掛ける
「ショウ、ユエ、頼む」
「了解」
「………ん。『風壁』」
そう言ってファングを振るうと滝と滝壺の水が、紅海におけるモーセの伝説のように真っ二つに割れ始め、更に、飛び散る水滴は風の壁によって完璧に払われた。ユエの魔力を無駄に消費させる訳にはいかないので、呆然としている畑山達を促して中へ入り奥へ続く道を進んで行くと、横倒しになっている男を発見した
寝ているのか、ハジメ達が近づいても気付く様子がない。さっさと確認を取る為、ハジメは男の額にデコピンをしようとしたが、ショウがそれを止め、回復魔法をかける
「んん……んぁああ……」
回復魔法で意識を取り戻した男性。ハジメは、そんな事を気にせずに近づいて尋ねる
「お前が、ウィル・クデタか?」
「いっっ、えっ、君達は一体、どうしてここに・・・」
「質問に答えろ」
「えっ、えっ!?」
「お前は、ウィル・クデタか?」
「えっと、うわっ、はい!そうです!私がウィル・クデタです!はい!」
どうやら、ハジメ達が探している張本人で間違いないそうだ
「そうか。俺はハジメだ。南雲ハジメ。フューレンのギルド支部長イルワ・チャングからの依頼で捜索に来た。(俺の都合上)生きていてよかった」
「イルワさんが!?そうですか。あの人が・・・また借りができてしまったようだ・・・あの、あなたも有難うございます。イルワさんから依頼を受けるなんてよほどの凄腕なのですね」
寝惚けも覚めたのか、ハキハキと答えるウィルに何があったのかを要約して聞き出す
彼等は五日前にハジメ達と同じ様に山道に入って、中腹辺りでブルタールというオークの様な魔物と遭遇して戦闘。倒しても倒しても増え続けるブルタールの群れ。包囲網を突破する際に二人の冒険者が犠牲になり、森を抜けた先に黒い竜が居たとの事。開幕早々のドラゴンブレスで一人が消されて、ウィルは川へと吹っ飛ばされた。残った二人の冒険者は、挟撃される形で亡くなった。一人残されたウィルは、流されるままこの滝まで下り、この滝壺の奥へと身を隠したのだという
「わ、わだじはさいでいだ。うぅ、みんなじんでしまったのに、何のやぐにもただない、ひっく、わたじだけ生き残っで・・・それを、ぐす・・・よろごんでる・・・わたじはっ!」
誰も何も言えなかった。顔をぐしゃぐしゃにして、自分を責めるウィルにどう声をかければいいのか見当がつかなかった。生徒達は悲痛そうな表情でウィルを見つめ、先生はウィルの背中を優しくさする。ユエは何時もの無表情、シアは困ったような表情だ。だが、ここで意外な―――――ハジメが動いた
「生きたいと願うことの何が悪い?生き残ったことを喜んで何が悪い?その願いも感情も当然にして自然にして必然だ。お前は人間として、極めて正しい」
「だ、だが・・・私は・・・」
「それでも、死んだ奴らの事が気になるなら・・・生き続けろ。これから先も足掻いて足掻いて死ぬ気で生き続けろ。そうすりゃ、いつかは・・・今日、生き残った意味があったって、そう思える日が来るだろう」
「・・・生き続ける」
「誰しもが生きたいと思うのは当たり前の事だ。死んだら最後――――――生きて欲しいと願っている人達も傷つくぞ」
「そう・・・ですよね・・・」
ハジメは、ウィルの自らの生を卑下した言葉が、まるで「お前が生き残ったのは間違いだ」と言われているような気がして、つい熱くなってしまった。ハジメの心情に気付いた香織は
「大丈夫。ハッくんの言った事は間違って無いよ」
「香織………」
「生きて……最後まで……」
「……ああ。絶対にお前を一人にはしない」
少しばかり暗い雰囲気と桃色の甘い空気が漂うが、ずっと静観する訳にもいけないので早々に下山する事にした。ユエが再び魔法で滝壺から出ると、一行を熱烈に歓迎するものが居た
「グゥルルルル」
漆黒の鱗で全身を覆い、翼をはためかせながら空中より金の眼で見つめる竜だった
魔王と救世主で世界最強 次回
「ハジメ!ボルメテウス作ろうぜ!」
乞うご期待
清水どうする?
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殺れ
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助けて