魔王と救世主で世界最強   作:たかきやや

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ハロウィンでも平常運転!最強降臨!


やがて最強は一つになる

 

 

 

 荒れ狂う様に溢れ出る光の奔流。その中心の大きな魔力の塊がまるで開花する華の様に開く。ソコには、鮮やかな〝〟のラインが入った白黒の左右色ちがいのロングコートに右腕には蒼いブレスレット、左手には紅いガントレットを身に付けた紅と蒼のオッドアイの青年が立っていた。

 

 

「ど、どちら様ですか………?」

 

 明らかに異常な事態に戸惑う愛子先生の疑問に答えるかの様に上げられたのは〝二人からの祝福だった〟

 

 

「「祝え!ひれ伏せ!刮目せよ!彼等こそ最高にして最強!無敵にして不敵!私達の(魔)王にして(救世)主!その名はハジメXショウ!世界最強が降臨した瞬間である!」」

 

 そう。アシストと香織が祝福した通り、彼は『魔王』南雲ハジメと『救世主』蒼翔が一つになった。只の最強なのだ!

 

 

『………ホントに何があったーーーー!?』

 

 一同の綺麗にハモったツッコミはほっといてショウとハジメの融合態は清水達の方を向いた。

 

 

「「かかって来いよ、勇者(笑)俺達は強いよ?」」

 

 中指を立てて挑発する融合態。先ほどの事もあって、清水は敵意MAXで魔法を放つ。

 

 

「死ねえええ!『蒼天・十連』」

 

 蒼い炎が迫って来るが融合態は右手に呼び出した【ブルーファング】で空間ごと切り捨てる。

 

「な!?」

 

「「『紅雷龍』」」

 

 

 清水が驚愕するなか、彼等が左手を付き出し魔法名を唱える。すると紅い雷で形成された五体の龍が放たれ、使徒達を喰い荒らしていく。

 

 

 更に、ブルーファングをシュラーゲンと交換し、『瞬光』と『革新者』を同時発動させ、クロスビット等のオールレンジ兵器とエクステンドを併用し〝複数照準(マルチロック)〟からの〝精確&神速射ち(ピンポイント・クイックドロウ)〟で次々と使徒の核を破壊する。

 

 

 この間約三秒。ほとんどの使徒を撃☆滅!し、更にソコへ『マテリアルセイバー』を清水に向かって放つ!

 

 

「うわぁああああ!」

 

「危ない!」

 

 

 残った使徒達が集まって結界を張るが、無☆意☆味♪だって核を越える程の威力持つ『マテリアルバースト』に指向性を持たせて、一点突破型にしたんだ。並みの結界で防げる訳が無い。

 

 

 そうして、残りの使徒はそのままエネルギーに飲まれ、跡形も泣く消えて行った。

 

 

 が、その時!後ろから清水が融合態の首を狙って大剣を振るう。

 

 

「これで俺が勇者だぁぁあああ!」

 

 と酷く淀んだ瞳の奥に殺意を滾らせ。勝った事を確信したのか、口元が三日月の様に割け笑みを浮かべている。

 

 

 そして、首に刃が当たろうとするその時!

 

 

 大剣が振るった方とは逆の方向に動き、勢いで骨が折れる。

 

 

「へ?は?え?…………………ぁぁぁあああああああああああああああああああああ!!!!!!!」

 

 あり得ない現実に戸惑いながらも、折れた骨から伝わる痛みに現実を突き付けられ、叫ぶ。

 

 

「腕がぁ!何で腕がぁああああ!「『黙れ』」ッ!」

 

 喧しい時に毎度お世話になっている『言霊』で黙らせて融合態は清水の疑問に答える。

 

 

「俺への攻撃は全て反射される。よくラノベとかにあるだろ?って、喋れないかw」

 

 清水はその場でのたうち回りながら融合態を睨む。憤怒、嫉妬、憎悪、屈辱、様々な負の感情が入り交じった様な表情をしていた。

 

 

―駄目だなもう救い様が無い―

 

 そう判断した融合態はブルーファングを掲げる。愛子は融合態が何をするつもりなのか察したようだ。血相を変えて、止めようと飛び出した。

 

 

「ダメェ!」

 

 が、融合態の方が圧倒的に早かった。

 

ザシュゥン

 

「ッ!?」

 

 息を呑む音。それは誰のものだったのか。『纏雷』を纏わせて焼き切ったその首からは血は流れず、断面は焼き固まった血で見えず、清水に確実で覆しようのない死を与えた。

 

 

乾いた斬撃音の余韻が響く中、誰も言葉を発せず、リボルバーソードを片手に黙って物言わぬ死体を見下ろす融合態を、唯々呆然と見つめた。静寂が辺りを支配し、誰もが動けない中、ポツリと言葉がこぼれ落ちた。

 

 

「……どうして?」

 

 それは先生だった。呆然と、死出の旅に出た清水の亡骸を見つめながら、そんな疑問の声を出す。融合態は二人に分かれ、元のハジメとショウに戻ると、清水から視線を逸らして愛子を見た。同時に、愛子もまた二人に視線を向ける。その瞳には、怒りや悲しみ、疑惑に逃避、あらゆる感情が浮かんでは消え、また浮かんでは消えていく。

 

 

「敵だから………ですよ、先生」

 

 そんな愛子の疑問に対するショウの答えは実に簡潔だった。

 

 

「そんな! 清水君は……」

 

「悪いが、アイツは!………ハジメに殺意と敵意を向けた!その刃を向けた!俺が殺すには………十分な理由です」

 

「だからって殺す事なんて! 王宮で預かってもらって、一緒に日本に帰れば、もしかしたら……可能性はいくらだって!」

 

「生徒思いの貴方には納得出来ないかも知れません。それなら恨んでも構いません。憎んでも構いません。」

 

「……そんなこと」

 

「〝寂しい生き方〟。先生の言葉は昔のハジメを少しは取り戻させてもらえた。でも、人の命が酷く軽いこの世界で、ハジメに敵対した者には容赦しないという考えは……変えられそうもない。〝あの日〟決めたんだ。二度とハジメを失いたくない。だから、俺はこの刃を振るう」

 

「蒼君……」

 

「これからも俺は、同じことをする。必要だと思ったその時は……いくらでも、何度でも破壊と殺戮を繰り返す。それが間違っていると思うなら……先生も自分の思った通りにすればいい……ただ、覚えておいてくれ。例え先生でも、クラスメイトでも……敵対するなら、俺は全てを叩き潰す……それが罪と言うなら、俺はそれを背負って行きます」

 

唇を噛み締め、俯く愛子。〝自分の話を聞いて、なお決断したことなら否定しない〟そう言ったのは他でもない愛子なのだ。言葉が続かない。ショウは踵を返し、先に皆と合流していたハジメと肩を並べてその場を去ろうとしたその時!『全事象把握』が何かをとらえた

 

「!? しまっ──」

 

 「しまった」そう言おうとしたが事態が動く方が早かった。

 

 

 蒼色の水流が、先生の胸を貫通して、レーザーの如く通過した。

 

 

「「先生!」」

 

ショウは何も言わずとも望んだ通りの行動をしてくれた南雲夫婦に内心で感謝と称賛を送りながら、転移で水流の出元の近くに向かう。ソコには黒い服を来た耳の尖ったオールバックの男が、大型の鳥のような魔物に乗り込む姿が見えた。

 

 

おそらく、あれが清水の言っていた魔人族なのだろうとショウは推測した。そしてショウは『マッドハックサイコ』にフォームチェンジし、ガントレットを前に突きだして、唱える

 

 

「『ハック』」

 

 すると、ガントレットの指先からコードの様な物が伸び、魔人族の男に突き刺さる。

 

 

「ぐああぁ!」

 

 男が呻き声を上げるが、ショウはそのまま作業を進める。

 

 

すると男の体が膨れ上がり、みるみるその姿を変えていく。顔は蜥蜴の様に前に出て、蛙の様な三本指先。胴体は只の肉の塊と、一般人が見たらSAN値直葬の異形へと姿を変えた。そして、脳内と臓器を少し弄り、到着した頃には自爆するように設定した。

 

 

これは『ハック』と言い。変成魔法を使い、ガントレットから放たれたコードを通して、肉体構造に干渉し異形の化け物へと作り替えるマッドハックサイコの十八番とも言える技だ。

 

 

鳥の魔物は、自身の主がそんな事になっているとも気づかずにそのまま飛び去って行った………

 

 

 

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 一仕事終えて戻ると、ハジメに抱き抱えられている先生が香織の回復魔法による治療が終わった所だ。

 

 

「先生。大丈夫か?」

 

「あ、はい!おかげさまですが………その………そろそろ下ろしてもらえませんか………?」

 

「ああ、そうだったな」

 

 ハジメが、先生を下ろすと先生は香織に向かって頭を下げる

 

 

「白崎さん、回復魔法ありがとうございました」

 

「大丈夫ですよ先生。このくらい何ともありません」

 

 と、やりとりを見届けた後、俺は声をかける。

 

 

「ハジメ、戻った」

 

「おう。お疲れさん」

 

 ショウは全員が居ることを確認し今度こそ、フューレンへと出発

 

「さ、行くか」

 

 ショウはゲートを開き、ウィル達を引き連れて移動するその時。ハジメは、少し立ち止まると肩越しに愛子に告げる。

 

 

「……先生の理想は既に幻想だ。ただ、世界が変わっても俺達の先生であろうとしてくれている事は嬉しく思う……出来れば、折れないでくれ」

 

 そして、今度こそ立ち止まらずゲートを越えて行く……………

 


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