魔王と救世主で世界最強   作:たかきやや

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海上都市エリセン

 

 

「やっふぅーーーーーーーー!」

 

 と『波乗り海賊』フォームで砂の波に乗るショウ。その前を先行する魔力駆動四輪ブリーゼ。

 

 

「楽しそうだな。ショウ」

 

「あっちもね」

 

 そう言ってハジメが香織の指差す方に視線を向けると──

 

 

「ヒャッハーーーーーーーーー!ですぅ!」

 

「ほんっと、楽しそうだよな………」

 

 魔力駆動二輪シュタイフに乗って世紀末みたいな事をしているシアにハジメは表情を引き吊らせる。

 

 

「シアも逞しくなりましたね…………さて、これで良いでしょうかね」

 

 と、後部座席で香織のガントレットに技能を付与していたアシストさん。出来上がった物を【フォームチェンジャー】に仕舞って香織に渡す。

 

 

「私達と同じ『反射』を付与しました。これで攻撃は届かないと思います」

 

「ありがとう。アシストちゃん」

 

「……………もうこのぐらいじゃ驚かない自分が怖いわ」

 

「妾ももう慣れたのう………これでも力の一部なのじゃろう?」

 

 アシストの説明を聞いてぶっ壊れでもいつもの事と思っている辺り自分に染まってるなと自覚する雫とこれがまだ片鱗であることに呆れているティオ。

 

 

「でも、この先の戦いが今までみたいに楽には行かない。だからみんなだけじゃなくて俺も強くならないとな………」

 

 波を調整してブリーゼと並走し、窓の外から話すショウ。その言葉にアシスト以外の全員が驚く

 

 

「おいショウ。それ以上って何があんだよ…………」

 

「そりゃあもちろん、作しy「待て待て待て待て待て!」え?」

 

ショウの口から不穏な言葉が出そうだったので全力で止めにかかるハジメ。

 

 

「その力はダメだ!なんか、こう……………ダメだ!」

 

「なして」

 

「色んな意味でアウトだ!メリットよりデメリットの方が大きすぎる!」

 

「むー…………」

 

 と何とか説得するハジメ。

 

 

「まあ、仕方ない。ハジメが言うならそうするよ」

 

 引き下がるショウを尻目に安堵するハジメは話題を変えようと前を向いて全員に告げる。

 

 

「そろそろ見えてきたぞ!」

 

視線を向けふと、確かに海上に浮かぶ大きな町が見え始めた。

 

 

「あ、そうだハジメ。ギルドの方には俺が話しとくからさ、ハジメはミュウはんと一緒に車の中で待っててくんね?」

 

「そいつはいったいどういう事だ?」

 

「さっき『全事象把握』で町を見てみたらミュウはんってかなり顔が広くて海人族の皆さんすんごいピリピリしてる。無駄ないざこざを起こすよりミュウはんを母親の元にスムーズに送るにはこれが最適解」

 

「分かった。先に行ってこい」

 

ハジメは【宝物庫】イルワからの依頼書の他、事の経緯が書かれた手紙も取り出し、ショウの『異空間収納』に突っ込む。これはエリセンの町長と駐在兵士のトップに宛てられたものだ。

 

 

「失くすなよ?」

 

「なわけ。じゃ、行ってきまーす」

 

ショウは【フォームチェンジャー】を潜り抜け、『運命灼熱』の姿で電光石火の如く飛んでいく

 

 

 

 

 

 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

 

 

 

 

 

 ショウが飛翔してから数分後、話がついた事をハジメに『念話』し、ハジメ達はミュウの案内の元、車を運ぶ。

 

 

『そうそう。ハジメ、現地の人に聞いたんだけどさ、ミュウちゃんのお母親さん、結構酷い事になってるらしいわ』

 

「『ああ、わかった。精神の方はミュウがいれば問題ない。怪我の方は香織でも無理そうなら詳しく見てやってくれ』」

 

『りょ』

 

 ショウはそう言って『念話』を切る

 

 

「さて、ついたぞー」

 

 そう言ってハジメは車を止め。降りると通りの先で騒ぎが聞こえだした。若い女の声と、数人の男女の声だ。

 

 

「レミア、落ち着くんだ! その足じゃ無理だ!」

 

「そうだよ、レミアちゃん。ミュウちゃんならちゃんと連れてくるから!」

 

「いやよ! ミュウが帰ってきたのでしょう!? なら、私が行かないと! 迎えに行ってあげないと!」

 

 どうやら、家を飛び出そうとしている女性を、数人の男女が抑えているようである。おそらく、知り合いがミュウの帰還を母親に伝えたのだろう。

 

 

 そのレミアと呼ばれた女性の必死な声が響くと、ミュウが顔をパァア! と輝かせた。そして、玄関口で倒れ込んでいる二十代半ば程の女性に向かって、精一杯大きな声で呼びかけながら駆け出した。

 

 

「ママーー!!」

 

「ッ!? ミュウ!? ミュウ!」

 

 ミュウは、ステテテテー! と勢いよく走り、玄関先で両足を揃えて投げ出し崩れ落ちている女性──母親であるレミアの胸元へ満面の笑顔で飛び込んだ。

 

 

 もう二度と離れないというように固く抱きしめ合う母娘の姿に、周囲の人々が温かな眼差しを向けている。

 

 

 レミアは、何度も何度もミュウに「ごめんなさい」と繰り返していた。それは、目を離してしまったことか、それとも迎えに行ってあげられなかったことか、あるいはその両方か。

 

 

 娘が無事だった事に対する安堵と守れなかった事に対する不甲斐なさにポロポロと涙をこぼすレミアに、ミュウは心配そうな眼差しを向けながら、その頭を優しく撫でた。

 

 

「大丈夫なの。ママ、ミュウはここにいるの。だから、大丈夫なの」

 

「ミュウ……」

 

 まさか、まだ四歳の娘に慰められるとは思わず、レミアは涙で滲む瞳をまん丸に見開いて、ミュウを見つめた。

 

 

 ミュウは、真っ直ぐレミアを見つめており、その瞳には確かに、レミアを気遣う気持ちが宿っていた。攫われる前は、人一倍甘えん坊で寂しがり屋だった娘が、自分の方が遥かに辛い思いをしたはずなのに、再会して直ぐに自分のことより母親に心を砕いている。

 

 

 驚いて思わずマジマジとミュウを見つめるレミアに、ミュウは、ニッコリと笑うと、今度は自分からレミアを抱きしめた。体に、あるいは心に酷い傷でも負っているのではないかと眠れぬ夜を過ごしながら、自分は心配の余り心を病みかけていたというのに、娘はむしろ成長して帰って来たように見える。

 

 

 その事実に、レミアは、つい苦笑いをこぼした。肩の力が抜け、涙も止まり、その瞳には、ただただ娘への愛おしさが宿っている。

 

 

 再び抱きしめ合ったミュウとレミアだったが、突如、ミュウが悲鳴じみた声を上げた。

 

 

「ママ! あし! どうしたの! けがしたの!? いたいの!?」

 

 どうやら、肩越しにレミアの足の状態に気がついたらしい。彼女のロングスカートから覗いている両足は、包帯でぐるぐる巻きにされており、痛々しい有様だった。

 

 

 これが、エリセンに来る道中でハジメがショウから聞いていたことだ。ミュウを攫ったこともだが、母親であるレミアに歩けなくなる程の重傷を負わせたことも、海人族達があれ程殺気立っていた理由の一つだったのだ。

 

 

 ミュウは、レミアとはぐれた際に攫われたと言っていたが、海人族側からすれば目撃者がいないなら誘拐とは断定できないはずであり、彼等がそう断言していたのは、レミアが実際に犯人と遭遇したからなのだ。

 

 

 

 レミアは、はぐれたミュウを探している時に、海岸の近くで砂浜の足跡を消している怪しげな男達を発見した。嫌な予感がしたものの、取り敢えず娘を知らないか尋ねようと近付いたところ……男は「しまった」という表情をして、いきなり詠唱を始めたらしい。

 

 

 レミアは、ミュウがいなくなったことに彼等が関与していると確信し、何とかミュウを取り返そうと、足跡の続いている方向へ走り出そうとした。

 

 

 しかし、もう一人の男に殴りつけられ転倒し、そこへ追い打ちを掛けるように炎弾が放たれた。幸い、何とか上半身への直撃は避けたものの足に被弾し、そのまま衝撃で吹き飛ばされ海へと落ちた。レミアは、痛みと衝撃で気を失い、気が付けば帰りの遅いレミア達を捜索しに来た自警団の人達に助けられていたのだ。

 

 

 一命は取り留めたものの、時間が経っていたこともあり、レミアの足は神経をやられていて、もう歩くことも今までのように泳ぐことも出来ない状態になってしまった。当然、娘を探しに行こうとしたレミアだが、そんな足では捜索など出来るはずもなく、結局、自警団と王国に任せるしかなかった。

 

 

 そんな事情があり、レミアは現在、立っていることもままならない状態なのである。

 

 

 レミアは、これ以上、娘に心配ばかりかけられないと笑顔を見せて、ミュウと同じように「大丈夫」と伝えようとした。しかし、それより早く、ミュウは、この世でもっとも頼りにしている〝パパ〟に助けを求めた。

 

 

「パパぁ! ママを助けて! ママの足が痛いの!」

 

「えっ!? ミ、ミュウ? いま、なんて……」

 

「パパ! はやくぅ!」

 

「あら? あらら? やっぱり、パパって言ったの? ミュウ、パパって?」

 

 混乱し頭上に大量の〝?〟を浮かべるレミア。周囲の人々もザワザワと騒ぎ出した。あちこちから「レミアが……再婚? そんな……バカナ」「レミアちゃんにも、ようやく次の春が来たのね! おめでたいわ!」「ウソだろ? 誰か、嘘だと言ってくれ……俺のレミアさんが……」「パパ…だと!? 俺のことか!?」「きっとクッ○ングパパみたいな芸名とかそんな感じのやつだよ、うん、そうに違いない」「おい、緊急集会だ! レミアさんとミュウちゃんを温かく見守る会のメンバー全員に通達しろ! こりゃあ、荒れるぞ!」など、色々危ない発言が飛び交っている。

 

 

 どうやら、レミアとミュウは、かなり人気のある母娘のようだ。レミアは、まだ、二十代半ばと若く、今は、かなりやつれてしまっているが、ミュウによく似た整った顔立ちをしている。復調すれば、おっとり系の美人として人目を惹くだろうことは容易く想像できるので、人気があるのも頷ける。

 

 

 刻一刻と大きくなる喧騒に、「行きたくねぇなぁ」と表情を引き攣らせるハジメ。ミュウがハジメをパパと呼ぶようになった経緯を説明すれば、あくまでパパ〝代わり(内心は別としても)〟であって、決してレミアとの再婚を狙っているわけではないと分かってもらえるだろうと簡単に考えていたのだが、どうやら、誤解が物凄い勢いで加速しているようだ。

 

 

 だが、ある意味僥倖かもしれないとハジメは考えた。ミュウは母親の元に残して、ハジメ達は旅を続けなければならない。【メルジーネ海底遺跡】を攻略すれば、ミュウとはお別れなのだ。故郷から遠く離れた地で、母親から無理やり引き離されたミュウの寄る辺がハジメ達だったわけだが、母親の元に戻れば、最初は悲しむかもしれないが時間がハジメ達への思いを薄れさせるだろうと考えていた。周囲の人々の、レミア達母娘への関心の強さは、きっと、その助けとなるはずだ。

 

 

「パパぁ! 〝叔父ちゃん!〟 はやくぅ! ママをたすけて!」

 

「叔父ちゃん………?」

 

ミュウはもう1人の頼りにしている〝叔父ちゃん〟に助けを求めるも周囲から「俺か?」「いや、俺だ!」「おめぇじゃねぇ!スッ込んでろ」と更に混沌を極める中、ハジメ達を巻き込んで、人混みを掻き分けてミュウの元へ駆けていく何かが高らかに叫ぶ。

 

 

 

 

 

 

「どけ!俺は叔父ちゃんだぞ!」

 

 

 

 

 

 

 

──ショウは両腕にハジメと香織を垂直に抱えてミュウの元に現れる。

 

 

周囲が『ポカーン』と口を開く中、ミュウはハジメをしっかりと捉える。

 

 

「パパ、ママが……」

 

「大丈夫だ、ミュウ……ちゃんと治る。だから、泣きそうな顔するな」

 

「はいなの……」

 

 

 ハジメが、泣きそうな表情で振り返るミュウの頭をくしゃくしゃと撫でながら、視線をレミアに向ける。レミアも、ポカンとした表情でハジメを見つめていた。(主にショウのせいで)無理もないだろうと思いつつも、ショウの登場で益々騒ぎが大きくなったので、ハジメは、取り敢えず、治療のためにも家の中に入ることにした。

 

 

「取り敢えずショウ。下ろせ」

 

「御意」

 

とショウが手を離すとハジメ達は足を地面につけ、立ち上がり

 

 

「悪いが、ちょっと失礼するぞ?」

 

「え? ッ!? あらら?」

 

 ヒョイと全く重さを感じさせずにレミアをお姫様抱っこすると、ミュウに先導してもらってレミアを家の中に運び入れた。レミアを抱き上げたことに、背後で悲鳴と怒号が上がっていたが、無視だ。当のレミアは、突然、抱き上げられたことに目を白黒させている。

 

 

 家の中に入ると、リビングのソファーが目に入ったので、ハジメはそこへレミアをそっと下ろした。そして、ソファーに座りハジメのことを目をぱちくりさせながら見つめるレミアの前に香織がかしずく。

 

 

「香織、どうだ?」

 

「ちょっと見てみるね……レミアさん、足に触れますね。痛かったら言って下さい」

 

「は、はい? えっと、どういう状況なのかしら?」

 

 

 突然、攫われた娘が帰ってきたと思ったら、その娘がパパ(+おじちゃん)と慕う男が現れて、更に、見知らぬ美女・美少女が家の中に集まっているという状況に、レミアは、困ったように眉を八の字にしている。

 

 

 そうこうしているうちに、香織の診察も終わり、特に問題無く香織の回復魔法できちんと治癒できることが伝えられた。

 

 

「ただ、少し時間がかかります。デリケートな場所なので、後遺症なく治療するには、三時間ほど掛けてゆっくり、少しずつ癒していくのがいいと思います」

 

「あらあら、まあまあ。もう、歩けないと思っていましたのに……何とお礼を言えばいいか……」

 

「ふふ、いいんですよ。ミュウちゃんのお母さんなんですから」

 

「えっと、そういえば、皆さんは、ミュウとはどのような……それに、その……どうして、ミュウは、貴方のことを〝パパ〟と……」

 

 

 香織が、早速、レミアの足を治療している間に、ハジメ達は、事の経緯を説明することにした。フューレンでのミュウとの出会いと騒動、そしてパパと呼ぶようになった経緯など。香織に治療されながら、全てを聞いたレミアは、その場で深々と頭を下げ、涙ながらに何度も何度もお礼を繰り返した。

 

 

「本当に、何とお礼を言えばいいか……娘とこうして再会できたのは、全て皆さんのおかげです。このご恩は一生かけてもお返しします。私に出来ることでしたら、どんなことでも……」

 

 気にするなとハジメ達は伝えたが、レミアとしても娘の命の恩人に礼の一つもしないでは納得できない。そうこうしているうちに、香織の治療を終えたところで、今日の宿を探すからと暇を伝えると、レミアはこれ幸いと、自分の家を使って欲しいと訴えた。

 

 

「どうかせめて、これくらいはさせて下さい。幸い、家はゆとりがありますから、皆さんの分の部屋も空いています。エリセンに滞在中は、どうか遠慮なく。それに、その方がミュウも喜びます。ね? ミュウ? ハジメさん達が家にいてくれた方が嬉しいわよね?」

 

「? パパ、どこかに行くの?」

 

 

 レミアの言葉に、レミアの膝枕でうとうとしていたミュウは目をぱちくりさせて目を覚まし、次いでキョトンとした。どうやら、ミュウの中でハジメが自分の家に滞在することは物理法則より当たり前のことらしい。なぜ、レミアがそんな事を聞くのかわからないと言った表情だ。

 

 

「母親の元に送り届けたら、少しずつ距離を取ろうかと思っていたんだが……」

 

「あらあら、うふふ。パパが、娘から距離を取るなんていけませんよ?」

 

「いや、それは説明しただろ? 俺達は……」

 

「いいじゃねぇかハジメ。そんぐらい、俺はもう叔父ちゃんだぞ」

 

「いや、意味わかんねぇよ」

 

「私はお姉ちゃんだよ」

 

「お前ら、その叔父を語る不審者と姉を語る不審者ムーヴ止めよ」

 

 といつの間には挟まる漫才にレミアはクスッと笑い、話を戻す。

 

 

「いずれ、旅立たれることは承知しています。ですが、だからこそ、お別れの日まで〝パパ〟でいてあげて下さい。距離を取られた挙句、さようならでは……ね?」

 

「……まぁ、それもそうか……」

 

「うふふ、別に、お別れの日までと言わず、ずっと〝パパ〟と〝叔父ちゃん〟〝お姉ちゃん〟でもいいのですよ? 先程、〝一生かけて〟と言ってしまいましたし……」

 

 そんな事を言って、少し赤く染まった頬に片手を当てながら「うふふ♡」と笑みをこぼすレミア。おっとりした微笑みは、普通なら和むものなのだろうが……ハジメの周囲にはブリザードと若干ピンクな闇のオーラに挟まれている。

 

 

「そういう冗談はよしてくれ……空気が冷たいだろうが……」

 

「あらあら、おモテになるのですね。ですが、私も夫を亡くしてそろそろ五年ですし……ミュウもパパ欲しいわよね?」

 

「ふぇ? パパはパパで叔父ちゃんは叔父ちゃんだよ?」

 

「うふふ、だそうですよ、パパ?」

 

「全力で叔父ちゃんを遂行する」

 

「ショウ。ちょっとお前黙ってろ」

 

 ブリザードが激しさを増す。何な四人が結託している。異質な空気に気が付いているのかいないのか分からないが、おっとりした雰囲気で、冗談とも本気とも付かない事をいうレミアは意外に大物なのかもしれない。

 

 

 結局、レミア宅に世話になることになった。部屋割りで「夫婦なら一緒にしますか?」とのたまうレミアとシア達が無言の応酬を繰り広げたり、「パパとママと一緒に寝る~」というミュウの言葉に場がカオスと化したりしたが、一応の落ち着きを見せた。

 

 

 明日からは、大迷宮攻略に向けて、しばらくの間、損壊、喪失した装備品の修繕・作成・強化や、新装備に対する試行錯誤を行わなければならない。しかし、残り少ないミュウとの時間も、蔑ろにはできないと考えたハジメは「アイディアはショウに任せるか」と思考を放棄して、ベッドに入ったハジメの意識は微睡んでいった。

 

 

 

 

 

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 それから三日。

 

 

 妙にハジメとの距離が近いレミアに、海人族の男連中が嫉妬で目を血走らせたり、ハジメに突っかかってきたり、ショウが海に犬神家しといたり、ご近所のおばちゃん達がハジメとレミアの仲を盛り上げたり、ショウ達が雰囲気を盛り上げたり、それにシア達が不機嫌になってハジメへのアプローチが激しくなったり、夜の香織達が殊更可愛くなったり、ショウの【波乗り海賊】が波を得たサーファーの如くリゾートしたりしたが、準備を万全にしたハジメは、遂に、【メルジーネ海底遺跡】の探索に乗り出した。

 

 

 しばしの別れに、物凄く寂しそうな表情をするミュウ。ショウに抱っこされながらミュウが手を振りながら「パパ、いってらっしゃい!」と気丈に叫ぶ。そして、やはり冗談なのか本気なのか分からない雰囲気で「いってらっしゃい、あ・な・た♡」と手を振るレミア。そして「「ファイト!」」と声を揃えて親指を立てる蒼夫婦。

 

 

 傍から見れば仕事に行く夫を見送る妻と娘(+息子夫婦)そのままだ。背後のシア達からも周囲の海人族からも鋭い視線が飛んでくる。迷宮から戻って来ることに少々ためらいを覚えるハジメであった。

 

 

次回、魔王と救世主で世界最強『蒼キ者、来訪』

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