拝啓、お父さん。お母さん。お婆ちゃんへ
私は今、異世界にいます。先日、お墓の前で『にぃに達の帰る場所は私が守る』と言いましたが、叶いそうにありません。更に最悪な事に私は異端者の処刑。つまり人を殺すために呼ばれました。正直、あのクソジジイとクソ勇者にワンパンぶちかまそうと思いましたが、この世界の仕組みを知らずに動くのは危険だと判断いたしました。とりあえず反逆の準備を整え次第、逃げて帰る方法を探します。
敬具
蒼 真空
「………はぁ」
大きなため息を吐きながら、私は布団の上に寝転がり、手紙のようなあらすじを思い浮かべる。
憂鬱な気分を堪えながら体を起こし、私は部屋を出る。今日から訓練が始まる。
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訓練場に足を運ぶと、沢山の人が私の事を待っていた。
「やあやあ、皆さんお揃いで。そんなに気になるのかい私の事?」
注目の中、私はおざなりな態度で軽く挨拶をする。
「当たり前だ、君はアイツらを倒す為の希望なんだ。もう少し自覚を持ったらどうなんだ」
と最初に反応したのはクソ勇者だ。相変わらずな正義感の押し付けが鬱陶しい。
「正直、平和な世界で生きてた少女に人殺しなんてハードルの高い要求を、ましてや勇者様でも倒せない化物を倒せとかクソゲーより難題を強制させられてるんですから、心も荒みますよ。戦う決心を付けられた事を称賛しても良いぐらいですよ」
「っ………それでも「よせ、光輝」メルドさん!」
「その子の言ってる事は間違ってはいない。」
クソ勇者の後ろから騎士団のメルド団長が仲裁し、ようやく話が進む。
私は、メルド団長から銀色のプレート──「ステータスプレート」と呼ばれるRPGに良くある能力を可視化するアイテム(アーティファクトって言うんだね)を受けとる。
「プレートの一面に魔法陣が刻まれているだろう。そこに、一緒に渡した針で指に傷を作って魔法陣に血を一滴垂らしてくれ。それで所持者が登録される。 〝ステータスオープン〟と言えば表に自分のステータスが表示されるはずだ」
「へぇ………」
そう聴いて私は親指を噛み、血の滲んだ指を押し込む。回りは若干驚いていたが、知ったこっちゃない。
魔法陣に視線を戻すと魔法陣は蒼く光り、ステータスが表示される。
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蒼 真空 13歳 女 レベル:1
天職:無し
筋力:1,000,000
体力:1,000,000
耐性:1,000,000
敏捷:1,000,000
魔力:1,000,000
魔耐:1,000,000
技能:全戦闘適正・視認学習・言語理解
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『全戦闘適正』
物理、魔法、両方に適正を持つ。また、それに関連する全ての技能を内包する。
『視認学習』
あらゆる物を1度見ただけで習得出来る
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─うん。つっよ!一回見ただけで何でも出来るは強い。いや、初見技で殺せば良いんだろうけど、それでもチートやチーターやん。上の数値は平均知らんけど、強いことは間違い無いよね?何も知らなくても絶対ヤッッッッヴァいわよ!─
「おおお!神の御使いよ………!」「これで異端者を討ち取れる!」「エヒト神様、感謝いたします………」「やったぁ!これで俺達の勝ちだぁ!」
─あーもうめちゃくちゃだよみんなはしゃいでるじゃん。いや、勇者とかめちゃくちゃ睨んで来てんじゃん。嫉妬かな?嫉妬だよね?小娘に数値抜けれて嫉妬してるヤツだよね?とりま一番落ち着いてそうな団長に聞いてみるか─
「………メルド団長、この世界の平均はどのくらいですか?」
「あ、ああ。そうだな、この世界の普通の人間が平均で10ぐらいだが…………この数値は見たこと無いな…………」
あまりの出来事に若干フリーズしていたメルド団長はすぐさま意識を取り戻して真空の質問に歯切れを悪くしながら答える。
「え?一般人の10万倍?ヤバ」
あまりの衝撃に語彙力が死ぬ私。嫌でも他にも召喚された方々も………
「先に召喚されたみんなもそうなんですか?」
「それは…………」
─あ、私がヤバいんだわ─
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一方その頃神域にてエヒトは有頂天になっていた。
「来た………イレギュラーを打ち取れる力が来たぞ!やはり私の考えは正しかった!」
そう叫びながら歓喜するエヒト。真空を召喚する時に仕込んだコピー装置が上手く機能し、真空の技能をコピー出来たようだ。
「これならあの忌まわしい奴を処分出来る………早速使徒に組み込まなくては、待っていろイレギュラー………次が貴様の最後だ………フフフフフ、フハハハハハハハハハハ!」
気持ち悪い笑い声をあげるエヒト。果たして、この先のショウ達の運命やいかに…………