魔王と救世主で世界最強   作:たかきやや

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もうここまで来たのか……………早い


オルクス大迷宮

        

 

 

 現在、ショウ達は【オルクス大迷宮】の正面入口がある広場に集まっていた。

 

 

 ショウとしては薄暗い陰気な入口を想像していたのだが、

 

 

「ハハ、テーマパークかよ」

 

 まるでテーマパークの入場ゲートのようなしっかりした入口があり、受付窓口まであった。制服を着たお姉さんが笑顔で迷宮への出入りをチェックしている。

 

 

 なんでも、ここでステータスプレートをチェックし出入りを記録することで死亡者数を正確に把握するのだとか。戦争を控え、多大な死者を出さない措置だろう。 

 

 

 入口付近の広場には露店なども所狭しと並び建っており、それぞれの店の店主がしのぎを削っている。まるでお祭り騒ぎだ。

 

 

 浅い階層の迷宮は良い稼ぎ場所として人気があるようで人も自然と集まる。馬鹿騒ぎした者が勢いで迷宮に挑み命を散らしたり、裏路地宜しく迷宮を犯罪の拠点とする人間も多くいたようで、戦争を控えながら国内に問題を抱えたくないと冒険者ギルドと協力して王国が設立したのだとか。入場ゲート脇の窓口でも素材の売買はしてくれるので、迷宮に潜る者は重宝しているらしい。

 

 

 ショウ達は、お上りさん丸出しでキョロキョロしながらメルド団長の後をカルガモのヒナのように付いていった。

 

 

 

~~~~~~~~~~~~~~~~~~

 

 

 

 迷宮の中は、外の賑やかさとは無縁だった。

 

 

 縦横五メートル以上ある通路は明かりもないのに薄ぼんやり発光しており、松明や明かりの魔法具がなくてもある程度視認が可能だ。緑光石という特殊な鉱物が多数埋まっているらしく、【オルクス大迷宮】は、この巨大な緑光石の鉱脈を掘って出来ているらしい。

 

 

 一行は隊列を組みながらゾロゾロと進む。

 

 

 天之河達が魔物達を国から支給された【アーティファクト】で倒す中、俺たちは………

 

 

ドパンッ!ドパンッ!ドパンッ!

 

「くそ、外した。ショウ、八重樫さん、そっちに二匹いった」

 

「おう!セイハ!」

 

「任せて!ハァ!」

 

 そういいながら、ショウは魔物を串刺しにしながら弾丸を撃ち込み、雫は魔物を輪切りにした。

 

 

「やっぱこの武器スゲーわ。流石はハジメ」

 

「この切れ味、流石ね。南雲君」

 

「いやいや、二人ともの方がぜんぜんすごいよ」

 

「なにをいってるの、南雲くんそんなすごい人の武器を作ったのは南雲くんだよ!」

 

 そう、ショウと雫。二人が使っているのはハジメが作った武器だ。

 

 

 ―ここから先はわたくし、アシストが解説します―

 

 

 ―まずハジメ様が持つ全長約三十五センチ。六連の回転式弾倉。 長方形型のバレル。燃焼石という可燃性の鉱石を粉末状にして圧縮して入れてある鉱石製の弾丸。即ち、大型のリボルバー式拳銃。 その名も【雷霆銃・ドンナー】。この世界に初めて誕生した現代兵器です―

 

 ―次にショウ様が使っているのはSFチックなライフルに、刀のような刃がついたいわゆる、リボルバーソードと言う物です。その名も【ブルー・ファング】。この世界に2番目に誕生した兵器でございます―

 

 

 ―最後に八重樫さんが使っている刀。彼女のもつ刀はまるで光を吸収するような漆黒の刀身を持ち。刃紋はなく、僅かな反りが入っており、先端から少しの間は両刃になっています。所謂、小鳥丸造りと呼ばれる刀に酷似しています。ハジメ様は日本刀自体には詳しくないが、雫から聞かされた日本刀の話を元に作り上げた一品であります―

 

 

「これならハジメも十分チートじゃね?」

 

「そんなに謙遜しなくていいわよ、南雲君。この刀ほんとすごい切れ味なんだから」

 

「そうだよ、南雲くんはスッゴいんだよ!」

 

「いや~、あはは~」

 

 そんな会話をしてると、後ろの方から、驚愕の声が上がった。

 

 

「刀に………銃!?」

 

「何だ? あれは【アーティファクト】か?」

 

 驚くクラスメイト達。メルドはショウ達の持つ

それを【アーティファクト】なのかとクラスメイト達に問うた

 

 

「あ、あれは俺達の世界の武器です....でも、何 で南雲達があんなものを!?」

 

 檜山がメルドの疑問に答えた。そして、ショウが口を開く。

 

 

「こいつはな、ハジメが作ったんだよ。お前達が無能呼ばわりしたハジメがな!!」

 

 そう言いながらショウはクラスの奴等を冷たい目で見た。そしたら変態組が「ヒイィ」と怯えていたが、クラスの男子生徒が、

 

 

「でも、お前は無能だろ!魔力無いし!!ちょっと強い武器があるくらいで威張ってんじゃねえよ!!!」

 

 そう言うとクラスの奴等が「そうだ、そうだ!兵器に頼ってばっかじゃねえか!」と文句を言うから仕方なくちょっとだけ力を示した。

 

 

「そうか、なら見せてやろう俺の力を!!」

 

 そういうと俺はマイナスの魔力………長くかっこ悪いから反魔力でいくか。そして、俺は反魔力を纏い魔物に近づいた。

 

 

「おいよせ!怪我するぞ!!」

 

 メルド団長からの警告。だが遅かった。

 

 

「グゥガガガァァァァアアアアーーーー!!」

 

 魔物が咆哮がショウを襲うが全く効いていない。

 

 

 本来ならあの魔物の固有魔法“威圧の咆哮”による魔力を乗せた咆哮で一時的に麻痺させるのだが、ショウには全く効いていない。ショウが纏った反魔力が魔物の固有魔法を打ち消している。

 

 

 原理はわからないが魔物の咆哮の中スムーズに動けるショウを見て驚いている。

 

 

 そんなの知らんとばかりにショウは魔物に近づき、首を跳ねる。そして、クラスの方を振り向き、言いはなった。

 

 

「あらゆる魔法を無効化する。それが俺の力だ!俺は無能じゃねえんだよ。わかったか?特に変態四人!」

 

 そう宣言し、ショウは無能のレッテルを返上した。

 

 

 

 一行は二十階層を探索する。

 

 

 そんな中、香織がなにかを見つけた。

 

「……あれ、何かな? キラキラしてる……」

 

 

 その言葉に、全員が香織の指差す方へ目を向けた。

 

 

 そこには青白く発光する鉱物が花咲くように壁から生えていた。まるでインディコライトが内包された水晶のようである。香織を含め女子達は夢見るように、その美しい姿にうっとりした表情になった。

 

 

「ほぉ~、あれはグランツ鉱石だな。大きさも中々だ。珍しい」

 

 

 ―アシスト、グランツ鉱石について教えて―

 

 

 ―了解。グランツ鉱石とは、言わば宝石の原石みたいなものです。特に何か効能があるわけではないですが、その涼やかで煌びやかな輝きが貴族のご婦人ご令嬢方に大人気であり、加工して指輪・イヤリング・ペンダントなどにして贈ると大変喜ばれるらしい。求婚の際に選ばれる宝石としてもトップ三に入るらしいです―

 

 ―流石はアシスト、いい解説だ。―

 

 

「素敵……」

 

 

 香織が、ハジメの簡単な説明を聞いて頬を染めながら更にうっとりとする。そして、誰にも気づかれない程度にチラリとハジメに視線を向けた。もっとも、俺と雫ともう一人だけは気がついていたが……

 

 

「だったら俺らで回収しようぜ!」

 

 

 そう言って唐突に動き出したのは檜山だった。グランツ鉱石に向けてヒョイヒョイと崩れた壁を登っていく。それに慌てたのはメルド団長だ。

 

 

「こら! 勝手なことをするな! 安全確認もまだなんだぞ!」

 

 

 しかし、檜山は聞こえないふりをして、とうとう鉱石の場所に辿り着いてしまった。

 

 

 メルド団長は、止めようと檜山を追いかける。同時に騎士団員の一人がフェアスコープで鉱石の辺りを確認する。そして、一気に青褪めた。

 

 

「団長! トラップです!」

 

「ッ!?」

 

 

 しかし、メルド団長も、騎士団員の警告も一歩遅かった。

 

 

 檜山がグランツ鉱石に触れた瞬間、鉱石を中心に魔法陣が広がる。グランツ鉱石の輝きに魅せられて不用意に触れた者へのトラップだ。美味しい話には裏がある。世の常である。

 

 

 魔法陣は瞬く間に部屋全体に広がり、輝きを増していった。まるで、召喚されたあの日の再現だ。

 

 

「くっ、撤退だ! 早くこの部屋から出ろ!」

 

 

 メルド団長の言葉に生徒達が急いで部屋の外に向かうが……間に合わなかった。

 

 

 部屋の中に光が満ち、ハジメ達の視界を白一色に染めると同時に一瞬の浮遊感に包まれる。

 

 

 ハジメ達は空気が変わったのを感じた。次いで、ドスンという音と共に地面に叩きつけられた。

 

 

 尻の痛みに呻き声を上げながら、ハジメは周囲を見渡す。クラスメイトのほとんどはハジメと同じように尻餅をついていたが、メルド団長や騎士団員達、光輝達など一部の前衛職の生徒は既に立ち上がって周囲の警戒をしている。

 

 

 どうやら、先の魔法陣は転移させるものだったらしい。現代の魔法使いには不可能な事を平然とやってのけるのだから神代の魔法は規格外だ。

 

 

 ハジメ達が転移した場所は、巨大な石造りの橋の上だった。ざっと百メートルはありそうだ。天井も高く二十メートルはあるだろう。橋の下は川などなく、全く何も見えない深淵の如き闇が広がっていた。まさに落ちれば奈落の底といった様子だ。

 

 

 橋の横幅は十メートルくらいありそうだが、手すりどころか縁石すらなく、足を滑らせれば掴むものもなく真っ逆さまだ。ハジメ達はその巨大な橋の中間にいた。橋の両サイドにはそれぞれ、奥へと続く通路と上階への階段が見える。

 

 

 それを確認したメルド団長が、険しい表情をしながら指示を飛ばした。

 

 

「お前達、直ぐに立ち上がって、あの階段の場所まで行け。急げ!」

 

 

 雷の如く轟いた号令に、わたわたと動き出す生徒達。

 

 

 しかし、迷宮のトラップがこの程度で済むわけもなく、撤退は叶わなかった。階段側の橋の入口に現れた魔法陣から大量の魔物が出現したからだ。更に、通路側にも魔法陣は出現し、そちらからは一体の巨大な魔物が……

 

 

 その時、現れた巨大な魔物を呆然と見つめるメルド団長の呻く様な呟きがやけに明瞭に響いた。

 

 

まさか……ベヒモス……なのか……

 

 

 

 

 

 




ベヒモスさんちーす

檜山いつ殺す?

  • ハジメを落とした後
  • 原作通り

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