石上優はやり直す   作:石神

118 / 210
感想ありがとうございます(゚ω゚)


石と龍のエピローグ

あの騒動から数日が経過した。桃先輩を見る周囲の目は新しく広まった噂により、以前よりもかなり良い方へと改善された。まぁ、友人との話題も特定の人物に対する悪口や陰口よりも、恋話の方が精神的にも良いという事だろう……チラチラと見られるくらいは甘んじて受け入れよう。

 

そういえば、意外……でもなく、1番反応がデカかったのは、藤原先輩だった。

 

「なんで私には付き合ってる事内緒にしてたの!? 会長やかぐやさんには言ってたのに!」

 

「ちょっと面倒くさかったので。」

(すいません、忘れてました。)

 

「こらぁ! 今絶対思ってる方言ったでしょ!」

 

「でも、藤原先輩には感謝してるんですよ?」

 

「え?」

 

「あの方法を思い付いたの……藤原先輩見てると、色んな事が馬鹿馬鹿しくなるって思ったのがキッカケでしたから。」

 

「なにそれ!?」

 

「……流石は藤原だな、普通にしてるだけでいいんだもんな。」

 

「流石ね、藤原さん。」

 

「複雑なんですけど!!?」ガビーン

 


 

……犯人については、翌日に桃先輩と小島の所へ詳しい話を聞きに行った。僕個人としては、面と向かって文句の1つでも言ってやりたかったけど、桃先輩の……

 

「どーでも良い……優も気にすんな。」

 

という言葉に矛を収める形となった。その後、1人の時に小島を捕まえて、犯人は誰かだけ聞こうと思ったのだが……

 

「やめておけ、まともな会話が出来るかどうかわからんぞ?」

 

という、物騒な言葉が飛んで来た。

 

「お前……何したんだよ?」

 

「……本当に聞きたいか?」

 

……聞かない方が精神衛生上良い気がしたので、潔く辞退する事にした。まぁ、次やったら僕も容赦しない……と無理矢理自分を納得させる事にした。犯人の事を考えるくらいなら、桃先輩の事を考えていたほうが断然有意義だし。

 


 

桃先輩のクラス内での対応も少し変わった様だ。今までは全くなかったらしいが、最近は挨拶をされる事が増えたと言っていた。僕の言葉が少しでも周りの人達が持つ、桃先輩への認識を変える役に立ったのなら嬉しい限りだ。中でも、同じクラスの紀先輩と巨瀬先輩は挨拶だけでなく、偶に話す事もあるという……一体どんな話をしているのか気になったので聞いてみたら……

 

「か、会長と1年生の時、同じ生徒会だったのでしょう? その時の会長はどんな感じでした?」

 

とペンを片手に聞いて来るらしい……歪みないな、あの人。巨瀬先輩は紀先輩の付き添いみたいな感じらしいが、良く話し掛けて来るらしく……

 

「ね、龍珠さんから会計君に頼んでよ……かぐや様の行きつけの喫茶店教えてって。」

 

「知るか、自分で聞けよ。」

 

「えー、彼女持ちの男子と出掛けるのってちょっと申し訳ないんだけど……」

 

「なんで一緒に喫茶店行く事になってんだ!」

 

「嫉妬? 今の嫉妬だよね!? ……龍珠さんも女の子だねー。」ペチン

 

「そうですわねー。」ペチン

 

「ハイタッチすんな! 違うから!!」

 

という遣り取りもあったらしい……桃先輩は少し困った様に愚痴を洩らしていたが、満更でもなさそうだった。

 


 

そして、ある意味1番困ったのが……

 

「石上君は、私を置いて……自分だけ、幸せになるんだね……」

 

「」

 

桃先輩と一緒に居る時に、瞳の澱んだ柏鬼先輩に本気かどうか判断しづらい台詞を投げ掛けられた事だ……胸の辺りがヒュンッてなった。

 

「……優、どういう事だ?」

 

「い、いや……桃先輩が考えてる様な関係じゃないですよ!?」

 

「……そうだよね。石上君にとっては、そうなんだよね……」

 

目を伏せ、如何にもな雰囲気で柏木先輩は爆弾を落とし続ける。ホント勘弁して下さい……

 

「おい、優……どういう事だ。」

 

「や、やだなぁ柏木先輩……何深刻な空気出してるんですか……」

 

「私の初めての(デート)相手は石上君だったのに……」

 

「言い方ぁ……」

 

「優!」

 

「違います! 誤解ですから!!」

 

平静を失った桃先輩に詰め寄られ、弁明を繰り返していると……クスッと笑った柏木先輩と目が合った。

 

「なーんちゃって……2人があまりにも幸せそうだから、イジワルしちゃった。ゴメンね?」

 

最終的には冗談だと謝ってくれたが、滅茶苦茶心臓に悪かった……

 


 

でも、1番変わった事と言えば……

 

「お、今日も一緒か、全く……アツアツだな!」

 

「団長、どもっす。」

 

「おう、じゃあな。」

 

それだけ言うと、歩いて去って行く団長の背中を見送る。

 

「……お前の所為で話し掛けて来る奴が増えた、謝れ。」

 

「はは、すいません。」

 

1番変わった事、それは僕と桃先輩が一緒に居る所を見た人が偶に一声掛けて行く事だ。秀知院一のバカップル、龍を手懐けたヤベー奴、龍珠桃にべた惚れの会計君などなど……僕達を評する言葉は色々あるけど、もう桃先輩を悪意の篭った目で見る人はいなくなった。まぁ桃先輩本人は……

 

「はぁ……最近は睨みつけても、全然怖がられないし……」

 

と、少し困り気味だ。まぁ、凄んでもその度に……うんうん、わかってる。彼氏との時間を邪魔されて嫌なんだね。みたいな視線を向けられ続けたら諦めもするだろう。僕的には嬉しいんだけど……

 

「それもこれも、優……お前の所為なんだからな!」

 

「はい、すいません!許して下さい!」

 

「……ぜーったい許してやんねぇ!」

 

そう言って、少しだけ笑う桃先輩を……僕はこれからも見続けるだろう……ゲーム好きで、優しくて、素直じゃないけど可愛らしい所もある、龍珠桃という大好きな人の隣で。

 

ー完ー

 




これにて、龍珠ルート完結です。後は龍珠アフターを投稿したら終わりにしようと思います。

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。