石上優はやり直す   作:石神

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石上優はダラけたい

夏休み! それは学生達のオアシス! 毎日の勉学や部活動、早起きからの登校など、日々の抑圧された欲望を全開で解放出来る期間。ある一定以上の仲の良い男女であれば、この期間の内に関係を一歩進める事も可能である。そんな解放と発展を秘めた夏休みに石上は……

 

「あー……」

 

ダラけていた! 本来この石上優という男、陰キャ界の申し子と言って差し支えない男である。逆行してからの3ヶ月、勉学に励み部活動に精を出し、風紀委員の助っ人としてデータ処理から雑用と多忙を極めていた。故に……

 

「うー……」

 

反動でこの様な状態になるのは自明の理であった。とは言え、石上にとって毎日の勉強は最早習慣となっており、キッチリと勉強の時間は取っていた。現在も午前分の勉強を済ませてダラけていただけである。

 

(うーん、中3の夏休みって何して過ごしてたっけ……ネットとゲームしてた記憶しかないな。)

 

本来なら中学3年の夏休み〜冬休みは受験に向け勉学に精を出す時期である。しかし!秀知院学園は内部進学者数を増やす為、秀知院高等部への進学試験は比較的緩く設定されている。対して外部進学する者にはまるで当て付けと感じるかの如く、その期間にイベントを盛り込んでいる。体育祭、クラスマッチ、文化祭等……高等部程露骨ではないが中等部に関してもそういった事が行われていた。

 

(……そういえば最近新作ゲームが発売されてたな、予約してないけどあったら買おうかな。)

 

石上は外着に着替えると、最近はご無沙汰していたゲームショップへ向け歩み始めた。

 

………

 

〈ゲームショップ〉

 

自動ドアを抜けると全身を覆う冷気に、先程まで体を纏っていた熱気が吹き飛んだ。

 

「ふぅ……」

(あー、生き返る……)

 

僕は新作ゲームが陳列された棚の前に陣取ると、目当ての商品を探し始める。

 

「うーん……あぁ、あったあった。」

 

「……石上?」

 

「え?……あ、龍珠先輩、どもっす。」

 

「ん、石上そのゲーム買うのか?」

 

「はい、暇を持て余してまして……先輩も何か買いに来たんですか?」

 

「いや、ぶらぶらしてただけ。それよりも石上……私もそのゲームやってんだよ、協力プレイしようぜ。」

 

「あ、いいっすね……でも、僕始めるの今日からですよ?」

 

「別にいいよ。あっちに長居しても文句言われない喫茶店があってさ、そこ行こうぜ。」

 

「はい、じゃあすぐ買って来ますね。」

 

「おう。」

 

僕は会計を済ますと、喫茶店へと向かう龍珠先輩の背中を追った。

 

………

 

「ミコちゃん、暑くて溶ける……何処か涼めるトコ入ろうよ。」

 

「うん、じゃあ喫茶店見つけたら入ろっか。」

 

「……ん? アレ、石上じゃない?」

 

「えっ、嘘!? どこ!?」

 

「ミコちゃん、慌て過ぎだよ。あの喫茶店に入って行ったよ。」

 

「ふ、ふーん……元々喫茶店に入るつもりだったし、丁度良いよね?」

 

「素直じゃないなぁ……」

 

「え、何?」

 

「んーん、なんでも。」

 

伊井野と大仏の2人は、降り注ぐ熱気から逃げる様に喫茶店へと入って行った……

 

………

 

カランカランと来客を告げる鐘の音に迎えられ、石上と龍珠は向かい合う形で席へと着く。注文を取りに来た店員にドリンクを注文し、懐からゲーム機を取り出す。

 

「じゃ、とりあえずキャラメイクしますね。」

 

「おう、あんま待たせるなよ。」

 

「僕、結構凝るタイプなんですけどね。」

 

「ふーん、キャラメイクねぇ……」

 

「居た! 石上、女の人と一緒にいる!?」

 

「ミコちゃん、とりあえず隣の席に行こ。仕切りがあるから、私達の事は見えないはずだし。」

 

伊井野と大仏は店員に注文を告げると、バレない様に素早く席へ着く。

 

「石上ってどういうタイプが好みなんだ?」

 

((っ!?))

 

龍珠の発言に、伊井野と大仏に衝撃が走る。

 

「そうですねぇ、やっぱり女性(タイプ)選んじゃいますね。」

 

「ふーん、やっぱりな。」

 

「石上は男なんだから当たり前でしょ!」

 

「ミコちゃん、それは偏見だよ。男×男も今の時代では、全然珍しい事じゃないんだよ?」

 

「今その話はいいでしょ!?」

 

「そりゃそうですよ、色んな服(装備)を着せる楽しみもありますからね。」

 

「コスプレ!?」

 

「男子ってそういうの好きそうだよね……ミコちゃんはコスプレするなら何が良い?」

 

「うーん、するならバニーとか……ってしないよ!?」

 

「ふーん、私はあんまり服(装備)は重視してないんだよ。最悪無くてもいいし、とりあえず強力な武器持ってたら良いって感じ。」

 

「いや、服は着てないとダメでしょ! 何その恋愛観!?」

 

「まぁ、そこらへんは人それぞれだから……」

 

「それも有りですね。」

 

「有りなの!?」

 

「……ん? なんか違和感が?」

 

「男は腰に布でも大丈夫でしょうけど、女(キャラ)だとそれだけじゃダメですからね。」

 

「いや当たり前でしょ! っていうか男だって腰布だけは、倫理的にアウトよ!」

 

「うーん……?」

 

「まぁ出来てバニーとか、水着着せるくらいですねー。」

 

「へ、変態!! こばちゃん、石上が変態!」

 

「ミコちゃんもさっきバニーコスプレしたいって……」

 

「別にしたいとは言ってない!! あぁもう! 石上がこんな変態だったなんて……」

 

「ねぇミコちゃん、多分この話の内容って……」

 

「……よし、準備出来ました。龍珠先輩、早速やりましょう。」

 

「おう、随分待たせやがって……よし行くぞ。」

 

カチカチとボタンを連打する音が仕切り板の向こう側から2人の耳に届いた。

 

「ゲームの話だと思うよ?」

 

「……へ?」

 

3時間後……

 

「ふぅ……結構やったな、石上も始めたばっかなのに中々やるじゃねぇか。」

 

「アハハ、それ程でもないっす。」

(前回やり込みまくってたし……)

 

「またやろうぜ、コレ私の連絡先な。ゲームの情報交換とかオンラインで待ち合わせとかし易いし、ちゃんと登録しとけよ。」

 

「うっす。じゃあ、なんか良い裏テクとかあったら教えますね。」

 

「おう、またな。」

 

「はい、また。」

 

カランカランと鐘の音を残し、龍珠は店を出ていった。

 

「……!」

(……僕にゲーム友達が!)

 

石上優、龍珠桃(ゲーム友達)の連絡先ゲット。

 

………

 

「……」

 

「……」

 

「ミコちゃんてさ……」

 

「言わなくていいからっ……」

 

「結構頻繁に恥ずかしい勘違いするよね。」

 

「うあぁん! 言わなくていいって言ったのに! こばちゃんのイジワル!」

 

 

 




こういうネタ難しい_:(´ཀ`」 ∠):

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