石上優はやり直す   作:石神

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今日はバレンタインデーですね(白目)偶々1話分のネタが浮かんだので、ミコちゃん√に組み込んでみました。ちなみに終始ミコちゃん視点です。
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皇女の御心after③

 

〈伊井野邸〉

 

「……ッ」ドキドキ

 

ドキドキと高鳴る胸の鼓動とペラペラとページを捲る音だけが……部屋の中を満たす。私は部屋の中心でクマのぬいぐるみに身体を預け、少女漫画を読んでいた。

 

「……」ペラ…

 

少女漫画を読みながら、ふと思う……石上と恋人として付き合う様になってから、そろそろ2ヶ月の時間が経とうとしていた。その間、僅かな時間を利用して一緒に奉心祭を回ったり、初詣に行ったり、今までは購入を考えもしなかったベッドを購入したりと色々な事があった……い、石上にもベッドで寝ないと身体に悪いって怒られたし、何かあった時の為(意味深)にも必要だと思ったから買っただけで! 決してやらしい意味があって買った訳じゃない! そんな事を考えながら漫画を読んでいると、あるページで指が止まった。

 

………

 

「なぁ○○、オレ達が付き合う様になってそろそろ3ヶ月だろ? もう、我慢しなくて良いよな?」ギュッ

 

「ひゃんっ!? ま、待ってよ○○君! わ、私! まだ心の準備がっ……!」

 

「もう我慢出来ねぇんだよ……」サワ

 

「アッ…ンンッ! だ、だめぇ……!」ビクンッ

 

………

 

「……ッ!」ドキドキ

 

そうだ、私も石上と付き合い始めて既に2ヶ月……そろそろそういう事をするのも視野に入れておかなければいけない時期に入っているのだ。世間一般的に高校生のカップルは、付き合って3ヶ月で初体験を済ませるのが統計的に1番多いと、そういう系の雑誌に書いてあった。つ、つまり……私もそろそろ覚悟を決めておかないといけないって事だ。藤原先輩が言うには石上は経験者らしいから、そういう事をしたい筈だし……もしかしたら、私の為に我慢してる可能性だってある。石上だって男の人なんだから、抑圧していた欲望がそのうち溢れ出して……

 

………

 

「伊井野……もう我慢出来ない」ギュッ

 

「アッ…やぁっ……!? い、石上待って!? とりあえず落ち着いてっ……!」ビクンッ

 

「我慢出来ないって言ってるだろ?」サワサワ

 

「だ、だめぇっ……!」ビクビクッ

 

………

 

「〜〜〜っ!!」ドキドキ

 

こ、こういう事もあるかもしれない!? で、でも寧ろ良いっ……じゃなくて! い、幾ら石上のお願いでも、生徒会の一員として節度ある行動は必要な訳だからっ……私がちゃんとしないと!

 


 

〈生徒会室〉

 

「暇だな……」

 

「そ、そうね……」ドキドキ

 

今、生徒会には私と石上の2人しか居ない。2年生の先輩達が修学旅行へ行っている為だ。小さい仕事を幾つか終わらせて休憩をしていると、石上がある提案をして来た。

 

「急ぎの仕事は修学旅行に行く前に会長達が終わらせてくれたし、折角だから偶には羽を伸ばさないとな……って事で、伊井野は行きたい所とかしたい事ってないの?」

 

「へ? わ、私のしたい事……!?」

 

「おう、何でもいいぞ」

 

「何でもっ……そ、そんなの言えない!」

 

「え、なんで?」

 

「なんでって……そ、それだったら! 石上だって私と何かしたい事とかあるんじゃないの!?」

 

「遠慮すんなって。伊井野は普段から勉強を頑張ってるし、こういう時くらい好きな事言えって」

 

「そういう事じゃなくて! む、寧ろ石上の方こそ、私としたい事とか何かあるんじゃないかって聞いてるの!」グイグイ

 

「ちょ、ノートを押し付けて来るなよ……っていうか、何か誘導しようとしてない? 伊井野は一体何を言わせたいんだよ?」

 

「な、ナニって……」

 

「……?」

 

「そんなの、そんなのっ……!」

 

「伊井野?」

 

「言えないもん!」ダッ

 

「ちょ、伊井野!?」

 


 

〈伊井野邸〉

 

2月に入って数日が経過した。先輩達も修学旅行から帰って来て、表面上は今まで通りの日常を送っている……そう、表面上はだ。2月に入った事で、とうとう私と石上の交際期間も3ヶ月目に突入した。つ、つまり、いつ石上とする事になったとしても、不思議では無いって事だ……私はいつそんな雰囲気になっても動揺しない為に、寝る間を惜しんで色々調べたりしている。その証拠に……スマホの検索欄には、そっち方面の単語が色々と並んでいる。

 

「……ッ」

(男子高校生の平均……)

 

何気なく筆箱の中から定規を取り出して、下腹部に当てる……

 

「……これくらい?」スッ

 

あ、でも高校ならまだ伸び代がある可能性もあるって書いてある。だ、だったら……これくらい?

 

「〜〜〜っ!?」パッ

 

ひっ……と小さく息を飲み定規を落とす。こ、これって大丈夫なの!? だってこんなっ……!

 

「も、もっとちゃんと調べないと!」

 

そんな事をしながら、夜は更けていった……

 

………

 

〈ピンポーン〉

 

「ンン……誰ぇ?」

 

次の日……玄関から聞こえて来る呼び鈴に目を覚ました。誰だろう? 今日は休みだし……そこまで考えて、スマホがメッセージの着信を伝えて来た。

 

〈伊井野ちゃーん! 寝てるのー?〉

 

〈ミコちゃん、来たよ〉

 

「……あっ!」

 

そ、そうだった! 今日はこばちゃんと大友さんの3人で、バレンタインのチョコを作る約束をしていたんだった! 私は急いで身支度を整えると、玄関に向かい2人を迎え入れた。

 

「ごめんね!? ちょっと寝坊しちゃって……」

 

「うぅん、気にしなくても大丈夫だよー」

 

「でもミコちゃんが寝坊なんて珍しいね?」

 

「あ、あはは、まぁね……」

(い、言えない……深夜まで色々調べてた所為で寝坊しちゃったなんて……)

 

「じゃ、早速チョコ作ろーよ!」

 

「だね、私達だと時間が掛かるかもしれないし」

 

「麗ちゃんは来れないんだっけ?」

 

「うん、何か親戚関係の用事があるんだって」

 

「そっかぁ、残念だね……」

 

「本当にね……」シミジミ

(私1人でミコちゃんと大友さんのお世話をしないとダメなのか……頑張ろ)

 

………

 

(平均値は13.5㌢……石上はどれくらいなんだろ? も、もし平均値以上だったら……!)

「……ッ」ボーッ

 

「……ミコちゃん?」

 

「伊井野ちゃーん? 次は何するの?」

 

「え、あっ……ご、ごめん! えーと……」

 

2人の声に、私は手元にあるチョコ作りのレシピへと視線を移した。ダメダメ! 石上は平均以上なのかとか、こんな時に考えるべきじゃないのだ……次の工程は溶かしたチョコに生クリームを投入し、テンポ良くかき混ぜると書いている。ボウルに視線を向けると既に生クリームが入れられていたので、最初の部分は端折った説明を口にする。

 

「次は……○ンポ良くかき混ぜるんだって」

 

「ふむふむ、○ンポ良く……」

 

「かき混ぜる……」

 

「……」

 

「……」

 

「……」

 

「「……って、えええええっ!!?」」

 

「ミコちゃん!?」

 

「伊井野ちゃん!?」

 

「「何言ってんの!?」」ガビーン

 

「あ、違っ!? 言い間違っちゃっただけだから!! ティンポ良く……そ、そう! テゥンポ良く!!」

 

「まだちょっと変だよ!?」ガビーン

 

「ミコちゃんて、本当にアレだよね……」ヒキ

 

………

 

「って事があったんだよねー」

 

「いや、ドン引きなんだけど……」ヒキ

 

「あはは、大丈夫大丈夫……おさちゃんと私もしっかり引いたから!」

 

「何が大丈夫なの?」

 

小野寺はドン引きした。

 


 

※オマケ話

 

〈伊井野ミコの闇〉

 

※時は巻き戻り、3学期最初の生徒会……

 

新学期になり最初の生徒会……私と石上が一緒に生徒会室に入ると、禿頭姿の藤原先輩と白銀会長が腕を組んでいた。

 

「え、えええええっ!? 藤原先輩、その頭どうしちゃったんですか!?」ガビーン

 

「ミコちゃん……えっとね、私と会長……冬休みから付き合い始めたの」テレテレ

 

「っ!? そ、そうなっ……!?」

 

「そんなハゲヅラ女と付き合う男が居てたまりますか。会長も大変っすね、ハゲ原先輩の悪ふざけに付き合わされて……」

 

「あ、あぁ、まぁな……」

(石上は藤原の生態を完璧に熟知してるなぁ)

 

「誰がハゲ原先輩ですか! 石上くんはレディに対して失礼過ぎますよ!?」

 

「文句は鏡を見てから言って下さい」

 

「あーあ、石上くんが何も言わなければミコちゃんは騙せたままだったのに……」パカッ

 

「あ、カツラだったんですね……良かった」ホッ

 

「もしかして……ミコちゃんは私が本気で丸刈りにする様な人間だと思ってます?」

 

「い、いえっ! そんな事はっ……」

 

「やりかねない……というか、やってもおかしくないとは思ってるんじゃないですか?」

 

「石上くんはシャラップ!」

 

「そ、それで、何で藤原先輩と白銀会長は……」

 

「あぁ、実はな……」

 

………

 

「四宮先輩にドッキリですか……」

 

「あぁ、伊井野は何をすれば四宮が驚くと思う?」

 

「そうですね……例えば、普段の和やかな空気の中で仕事をしているとします。その時に石上が……何の前触れも無く、私を思い切りビンタするとかどうですか?」

 

「「なんで!?」」ガビーン

 

「石上が彼女()に手を上げる様な人間だと知ったら、四宮先輩は相当驚くと思うんです!」

 

「そんなん誰だって驚くに決まってんだろ!」

 

「実際に手ぇ上げてる時点でドッキリじゃないじゃん! そんなドッキリ、僕は絶対嫌だからな!?」

 

「そんなぁ……」シュン

 

「そんなぁ……じゃねぇんだわ!」

 

「別に私は叩かれても平気なのに……」

 

「だから謎のDV耐性見せつけて来るのやめろ」

 

「……」

(もしかして、伊井野監査ってヤバい子なのか?)

 

………

 

「ね、ねぇミコちゃん? ミコちゃんは本気で、石上くんに叩かれたいって思ってるんですか?」

 

「はい、でも石上は優しいから……」シュン

 

「た、叩かれたいっていうのは例えですよね? 強引にされたいとか、強気に来て欲しいとか……そ、そういう感じの意味ですよね!?」

 

「強引って言うよりは……無理矢理されたいって表現が適切かもしれません」

 

「む、無理矢理……?」

 

「はい……アザが出来るくらい強く手を押さえ付けられたり、無理矢理組み伏せられたり……そういうのに対する憧れって、女の子なら皆持ってるんじゃないですか?」ハイライトオフ

 

「アー、ワタシハソユノハマダワカラナイデスネ……」ヒキ

 

「そうですか……藤原先輩も彼氏が出来たらきっとわかると思います!」フンスッ

 

「ベツニワカリタクハナイデスネ、ハイ……」ヒキ

 

伊井野のヤバさが周知され始めた。

 




あれ? 書いた後に思いましたが、これじゃミコちゃんがエロい事しか考えてない闇深いヤベー奴みたいやん……

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