石上優はやり直す   作:石神

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原作更新1ヶ月も空くとかマジかよ……


藤原萌葉は確かめたい

〈藤原家〉

 

「……っていう事があって、私がラブ探偵として助手の石上くんを導いてあげてるんですよ!」

 

「へー、そうなんだー。」

(うーん……?)

 

11月に入り、体育祭の準備に追われている秀知院学園……その忙しい最中であっても、藤原は石上を連れ回し縦横無尽に学園内を駆け回っていた。

 

「それでこの前も、仕方なく石上くんを連れて行ってあげてですね……」

 

「なるほどー。」

(なーんか……無理矢理一緒に居る理由を作った様に見えちゃうんだよねぇ……お饅頭食べられたのをコレ幸いと理由にしたみたいな?)

 

「それでその後……」

 

「ねぇ姉様、随分楽しそうだね?」

 

「え、そう見えますか?」

 

「うん、石上先輩と一緒なのが楽しくて仕方ないって顔してる。」

 

「そ、そんな訳ないでしょー!? 人の恋愛事情を覗き見るのが楽しいからそう見えるだけです!」

 

「いや、それはそれでどうなの?」

 

「石上くんと一緒に行動してるのも、丁度良い助手がいないので仕方なく石上くんで我慢してあげてるだけなんですから!」

 

「ふーん?」

(姉様も素直じゃないなぁ、あれだけ楽しそうな顔してて……そうだ!)

 

………

 

〈秀知院学園中等部〉

 

「……千花姉が恋してる? 」

 

「多分だけどねー。まだ絶対って言える程の確信がある訳じゃないから、それを確認する為に考えてる事があってね?」

 

「ふーん、どうする気なの?」

 

「今度の放課後、石上先輩のトコ行って見るつもりなんだ。」

 

「……それで?」

 

「うん、それで圭ちゃんには姉様をさり気なく誘導して、私達を目撃する様にして欲しいの。」

 

「それで千花姉の不安を煽ろうって訳? でも年上の男の人と2人っきりって……危なくない?」

 

「大丈夫、大丈夫。敷地内のベンチとかでちょっとお話するだけのつもりだし、石上先輩が危ないタイプじゃないって事はリサーチ済みだよ。圭ちゃんも高等部の生徒会に行った時、親切にしてもらったって言ってたじゃん。」

 

「まぁ、それはそうだけど……」

 

「早速、今日の放課後に作戦実行ね!」

 

「はいはい、わかったよ。」

(いいのかなぁ……)

 


 

〈中庭〉

 

あの恐怖のメッセージが届いてから数日……僕は中庭のベンチに1人で腰掛けていた。

 

(いやもう、柏木先輩ホント怖い……この際覗いてた事がバレてたのは置いとくにしても、いつも2人の後をつけているから気付いたのか、僕の行動を常に把握してるから気付いたのかで、大分危機感変わるんだけど……)

 

どちらにせよ、ヤバい事に変わりはなかった。

 

(はぁ、軽々しく覗きなんてするもんじゃないな。そもそもの話、藤原先輩が変な事に興味を持った所為だし……今度からは、むっつリボン先輩って呼ぼう。)

 

「すいませーん、石上先輩ですよね?」

 

「え?」

 

その言葉に伏せていた顔を上げると、中等部の制服を身に纏った少女が此方を窺っていた。

 

「初めまして、藤原千花の妹……藤原萌葉です。今お時間大丈夫ですか?」

 

………

 

〈高等部昇降口〉

 

「あ、千花姉、萌葉見なかった?」

 

「あれ、圭ちゃん?……萌葉? 見てないけど、どうしたの?」

 

「いや、こっちに来てる筈なんだけど……」

 

「そうなの? そんな事特に言ってなかったけど……」

 

「あー、校内デートって言ってた様な……」

 

「デート!? 萌葉がっ!?」

 

姉様が食い付いてくれないと困るから、校内デートとか言っちゃっていいからね!

 

まぁ、萌葉がそれで良いなら……

 

「……うん、そうみたい。」

 

「ど、何処の馬の骨とっ……!いけません! 早過ぎます!!」

(私だってまだデートした事無いのに、妹に先を越されるなんて!)

 

「えーと……そういえば、中庭に行くみたいな事を言ってた気が……」

 

「こうしちゃいられません! 行きますよ、圭ちゃん!」グイグイッ

 

「ち、千花姉っ!?」

 


 

〈中庭〉

 

「……居た! 居ましたよ!! 圭ちゃんこっちに隠れましょう!」

 

「……千花姉、覗きは良くないよ?」

 

「覗きじゃありません! 可愛い妹を姉として心配した故の行動なのでノーカンです!」

 

「……」

 

……とか言い訳しながら、隠れて覗くと思うんだよねー。

 

「そっかー……」

(読まれてるなぁ……)

 

「あんなに楽しげに話してっ……」

 

「いや、普通だと思うけど……」

(萌葉、こっち見ながらニヤニヤしてる……)

 

「それで、ココの部分なんですけど……」ススッ

 

「あぁ、此処は……」

 

「ああぁっ!? あんなにくっついて……」

 

「うーん……?」

(石上先輩、全然普通だなぁ……クラスの男子とか、萌葉と話すだけでもドギマギしてるのに……年上だからかな?)

 

「……っ!」ギュッ

 

「……千花姉?」

 

………

 

「うん、だから此処の書式は……」

 

「あー、なるほど! そうすれば良かったんですね!」

 

いきなり話し掛けられた時はどうしようかと思ったし、藤原先輩の妹って事で少し警戒してたけど……特に問題無く会話は進んでいる。藤原萌葉と名乗ったこの少女は生徒会副会長らしく、書類についての質問を僕に聞きに来ただけみたいだ。側から見たら良い子に見えるし、生徒会業務に関する質問を態々しに来るなんて、凄く真面目だなって思う。偶に瞳の奥に見え隠れする、得体の知れない感覚に目を瞑れば……

 

「コラー! 何デレデレしてるんですか!? 石上くんのアホ! あんぽんたん! 根暗ロリコン!! 」

 

暫し思考に意識を割いていると、此方に罵声を浴びせながら歩いて来る藤原先輩が見えた。数歩遅れて後ろには、会長の妹さんも付いて来ている。

 

「あ、姉様と圭ちゃん、どうしたの?」ニマニマ

 

「別に……」

(萌葉楽しそうだなぁ……)

 

「……いきなり来て罵倒って何なんですか? むっつリボン先輩。」

 

「誰がむっつリボン!? いや、それより! 人の妹と何してるんですか、離れて下さい!」グイグイッ

 

「ちょっ!? なんで割り込んで来るんですか、わかりましたよ……」

 

「えー? もっと色々教えて欲しい事あったのにぃ……」

 

「萌葉もです! 男子との距離感考えて下さい!」

 

「それを藤原先輩が言いますか……まぁ、また何かわからない事があったら……」

 

「ガルルルッ!」

 

藤原先輩は、まるで犬が威嚇する様な声で僕を牽制する。

 

「……ごめん、他の人に聞いて。」

 

「少し残念ですけど、わかりました! 石上先輩、色々教えてくれてありがとうございました。」

 

「あぁ、気にしない……」

 

「ガウッガウッ!」

 

「藤原先輩が狂犬化してるから僕はこれで……」

 

「はい、ではまたー!」

 

………

 

「ふぅ……」

(正直……藤原先輩が来てくれて助かったな。話してる最中、妹さんから妙な圧を感じる時があったし……感覚的には柏木先輩に近い感じなんだけど、そこまでヤバい感じはしなかったから大丈夫か。柏木先輩程ヤバい人なんて、そうそう居なっ……)

 

「あら? こんな所で会うなんて珍しいわね。優は今から帰り?」

 

背後から掛けられたマキ先輩の声に振り返りながら答える。

 

「あ、マキ先輩、お疲っ……!」バッ

(マキ先輩が居るって事はっ!?)

 

「……」ニコ

 

「……っかれえええあああっす!!」バッ

 

マキ先輩の隣で……黙って笑う柏木先輩が視界に映った瞬間、無意識に僕は腰を直角に曲げて挨拶をしていた。

 

「なんで体育会系風?」

 

「ふふ、石上君たら変なの。」

 

「ハハハ、スイマセン。ツイ……」

(胃が痛い……)

 


 

〈藤原家〉

 

「ふふ……」ニヤニヤ

 

「……萌葉、言いたい事があるならハッキリ言って下さい。」

 

「えー? じゃあ遠慮なく……嫉妬しちゃうなんて、姉様可愛いー!」

 

「あああぁあっ!? 違うんですよおぉー!! アレは嫉妬とかじゃなくて、萌葉がっ……そう! 萌葉が悪い男に引っかからない為に行動した故の結果というかっ……」

 

「ププッ、悪い男って……そんな事思ってない癖に。素直じゃないなぁ……でもちゃんと自覚はしたみたいだし、後は自分で頑張ってね姉様。」

 

「じ、自覚って何の事かわかりませんねぇ!?」ぷひゅーぷひゅー

 

「またまたー、わかってる癖にー!」

 

「うあああ! 知りません、知りません!!」

 

「あははは! 姉様顔真っ赤だよー?」

 

「ただいま〜……アレ? なんか楽しそうだね〜、どうしたのぉ?」

 

「あ、豊姉様! 聞いて聞いてー! なんと、千花姉様が……」

 

「萌葉ー!?」

 

「え〜? 千花ちゃんがどうしたの?」

 

「それがねー……」

 

「だから違うんですってばあああっ!!」

 

本日の勝敗、藤原千花の敗北

この後、姉と妹に散々イジられた為。

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