石上優はやり直す   作:石神

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感想ありがとうございます(゚∀゚)
石上が神った事を匂わせる描写がありますが、それが受け入れられない人はこの話は無視して下さい。言ってしまえば、石上が石神になってます。あと、帝が微妙にキャラ崩壊してます。
コレで本当に終わりです。


柏鬼の角折りafter②

〈柏木渚は見せつけたい〉

 

「わーっ! サクランボのゼリーだ!」

 

冬休みが終わり、3学期が始まった。生徒会長選挙に体育祭、更には文化祭と忙しかった2学期とは違い、3学期のイベントは1月下旬に予定されている2年の修学旅行くらいだ。だから最近の生徒会は仕事に追われる事も無く、余裕のある雰囲気が漂っている。今日は、柏木先輩が校長からの頂き物を生徒会室へと持って来てくれている。

 

「校長先生から皆さんへって……」

 

「わーい! 皆で食べましょう!」

 

「先輩もどうぞ。」

 

「……」

 

「……先輩?」

 

「……」ツーン

 

「……な、渚先輩?」

 

「うん、じゃあ私も頂こうかな♪」

 

「オヤオヤ、見せつけてくれますねー? なんか熱っつい! 暖房無いのに熱っついですよ!」

 

「ぐっ……」

 

「藤原、ウザ絡みしてやるなよ……」

 

「はいはい、わかりましたよ……ところで皆さん、サクランボの茎を口の中で結べますか?」

 

「……茎? あぁ……結べるとキスが上手いっていうアレか。」

 

「……藤原先輩は、なんで彼氏も居ないのに無謀な勝負を仕掛けるんですか?」

 

「はー!? じゃあ石上くんは私よりも早く結べるって言うんですか!? はーはー、そうですよねぇ? 彼女持ちですもんね!? 彼氏も居ない私より遅いなんて、そんな事ある訳無いですよねー!?」

 

「またわかりやすい挑発を……石上がそんな挑発に乗る訳っ……」

 

「逃げるなら止めませんよ? 柏木さん(彼女)の前でキャンキャン逃げ帰っても恥ずかしく無いのなら!」

 

「やってやらぁ! このリボン女ぁ!」

 

「乗るのかよ。」

 

「では、同時に食べますよ!……はい!」ムグッ

 

「吠え面かいても知りませんからね!」モグッ

 

「……私もやろうかな?」ンッ

 

「やれやれ、騒がしい事だ。大体、サクランボの茎とキスの上手さに相関性なんて無っ……」

 

「あっ、結べました。」

 

「……ん、僕もっすね。」

 

「」

(絶対あるやん……)

 

「えっ、もう!?」

 

「早っ!? 2人共早過ぎです!」

 

「んで、言い出しっぺの藤原は出来たのか?」

 

「…………?」モゴモゴモゴ

 

「出来てねぇな、これ。」

 

「フッ……藤原先輩は自信満々に話振っておいて、全然なんですね?」

 

「あー! 石上くん、今見下しましたね!? 今日は舌のグリップ力が悪いだけです!」

 

「舌のグリップ力とか初めて聞いたぞ。」

 

「はぁ……私も全然出来る気がしません。どうすれば良いんでしょう……」

 

「伊井野さんは、柏木さん(上手な人)に教えてもらったらどうかしら?」

 

「あ、そうですね……」クイッ

 

「……ん?」

 

袖を引かれる感覚に振り向くと、伊井野と視線がぶつかった。

 

「ねぇ石上、私に上手なキスの仕方……教えて?」

 

「」

 

「伊井野さん、聞くの石上君(そっち)じゃないわよ。」

 

「……み、見ーちゃったぁ、見ーちゃった! 石上くんの浮気現場を目撃しましたよ! 柏木さん、コレどうします!?」

 

「藤原、ここぞとばかりに……」

 

「藤原さん、変に煽らないの。」

 

「……優君、こっち来て。」

 

「へ? な、渚先輩、藤原先輩の妄言なんて信じてませんよね?」

 

「いいから……ね?」

 

「……はい。」

 

「伊井野さん、ちゃんと見ててね?」

 

「へ?」

 

「……先輩?」

 

先輩はスッと僕の首に両腕を回すと、目を閉じて顔を近付けて来っ……

 

「ンムッ…チュルッ……レロ…ンチュッ……」

 

「ンンッ!?…ン、ンム……」

 

突然のキスに驚き逃れ様とするも、首に手を回されてガッチリ固定されている為逃げられない……こうなってしまうと先輩は止まらない為、諦めて受け入れる事にする。

 

「チュル…ンンッ……ン、ハァ……伊井野さん、上手なキスの仕方……わかった?」

 

「」

 

「」

 

「」

 

「」

 

先輩のその言葉に返事が出来る人間は居なかった。

 

本日の勝敗、柏木&石上の勝利

経験の差を見せつけた。

 


 

○○√after? の続き……

 

「……っていうのが、私と優君の馴れ初めなの。」

 

「そう、そんな事が……」

 

「はい、眞妃は私と優君が付き合って半年って言ってくれたけど……本当の意味で付き合う事になったのは、12月に入ってからだったんです。」

 

「12月……柏木さん、具体的にはいつ頃?」

 

「えぇと、その……生徒会室で優君とキスしてる所を見られた日……です。」

 

「っ! 愛さん、聞きました!? 付き合うと同時にディープキス(おさしみ)をしてる人も居るのよ? 散々私の事、異常性欲者とか色々言ってくれたけど、私は至って普通で正常って事がわかったでしょう!?」

 

「いや、絶対少数派だから!!」

 

「はぁ……」

(これだから、ディープキス(おさしみ)未経験の生娘は……)

 

「今滅茶苦茶失礼な事考えてるよね? ぶっ叩いて、常識を説いてあげよっか?」

 

「……」

(つ、付き合う事になって直ぐにディープキス(おさしみ)!? 早い! 早いわ!!)

 

「……」

(異常性欲者……)

 

「ハッ!生娘(愛さん)の相手をしてる場合じゃなかったわ。」

 

「本気で引っ叩くよ?」

 

「そ、それで、眞妃さんと柏木さんには……その、どういった流れで最後まで行ったのかお聞きしたくて……」

 

「ねぇ無視?」

 

「え、えぇとっ……ふ、普通よ、普通! 偶々そういう雰囲気になっちゃって……付き合い始めて1年近く経ってたし、そろそろかなって……」

 

「な、なるほど、付き合った期間は大事ですね。」

 

「うーん、私はそういう雰囲気になる様に誘導したかなぁ……」

 

「ゆ、誘導!? 柏木さん、それはどの様に!?」

 

「……バレンタインデーの時に、ホワイトデーのお返しは飴をリクエストしたんです。」

 

「……!」フムフム

 

「……!」フムフム

 

「……」フム…

 

「優君は何で飴をリクエストしたか、わかってなかったんだと思うけど……コレくらいの可愛い瓶に、沢山入った飴をプレゼントしてくれてね?」

 

「……」ドキドキッ

 

「……」ドキドキッ

 

「……」ドキドキッ

 

「それで2人っきりになった時に、その飴を食べるんだけど……優君とキスをしながら、舌で少しずつ溶かして食べるの♪」

 

「」

 

「」

 

「」

 

「フフッ♪……5つ目くらいで、優君が我慢出来なくなってそのまま……って感じかな? どうでした? 少しは参考に……ってあれ?」

 

「」

 

「」

 

「」

 

「眞妃ー? 四宮さーん? 早坂さーん?」フリフリ

 

本日の勝敗、柏木渚の1人勝ち

レベルが段違い(ダンチ)だった為。

 


 

時間は少し巻き戻る……

 

〈階段踊り場〉

 

「っていうか、なんで俺には彼女が居ないんだよ!? 自分で言うのもアレだけど、俺結構優良物件だと思うんだけど!?」

 

「本当にアレだな……」

 

「……そういうのを自分で言っちゃう所じゃ無いですか?」

 

「うるせぇぞ、彼女持ち共!」

 

「でも本当、なんで居ないんだろうね?」

 

「翼君、マジなトーンで返すのやめて……」

 

「女子を紹介出来るのなら、紹介してやりたいがな……」

 

「将来的に垂れそうな人でも良いなら、1人紹介出来ますけど……」

 

「うぅむ、しかし藤原はなぁ……」

 

「家柄的には大丈夫でも、結局は本人の気持ちが大事だしねぇ……」

 

「誰も将来的に垂れそうな人が藤原先輩とは言ってませんよ。」

 

「藤原千花か……いやぁ、無理だろ。姫様の親友って時点で難易度跳ね上がるわ。はぁ、彼女欲しい……あー! 青春してえなぁ!」

 

「まぁまぁ、帝先輩落ち着いて下さい。もし僕が、おばっ…熟女と知り合う事になったら、ちゃんと紹介してあげますから。」

 

此奴(こいつ)ホント、一回シバこうかな……」

 

「み、帝君、落ち着いて……」

 

「……ん? ちょっと待って? 石上お前……渚ちゃんと付き合ってるんだよな?」

 

「え? はぁ、そうですけど……」

 

「えっ、じゃあお前……あのおっぱい、ぐにゅんぐにゅんしたの?」

 

「っ!」バッ

 

「っ!」バッ

 

帝先輩のその言葉に、会長と翼先輩が勢いよく此方に振り向いた。

 

「まぁまぁまぁ……僕の話はいいじゃないですか。それより、明日の天気の話をしましょう。」

 

「いや、その反応絶対ヤッてんじゃん!! 揉みしだいてんじゃん!!」

 

「帝! 揉みしだくとか生々しい言い方するな!」

 

「そ、そうだよ、帝君!」

 

「石上も何か言っ……!?」

(ちょっと待てよ? もしかして、アレってそういう意味があったのか?)

 

………

 

〈某日、生徒会室〉

 

「ふぅ……」

 

「どうした石上、何か悩み事か?」

 

「いえ、何と言いますか……世界の在り方について考えてただけです。」

 

「え、なんて?」

 

「……この世界に人類が生まれ落ちてから、現代に至るまで……多くの人達が愛を捧げ、想いを繋いで来たからこそ今の僕達が居るんだなと……」

 

「お、おう……?」

 

「僕は世界の一部であり、世界は僕の一部だったんだなって……」

 

「……なるほど?」

(なんか悟った事言い出した……)

 

「例えば……戦国時代にはその時代の僕が居たし、室町、鎌倉、平安にも、その時代の僕が居た……そうやって命を繋いで来たんです。」

 

「……」

 

「マザーテレサの言った、永遠の命ってこの事だったんだなって……」

 

「それ言ったの手塚治虫だろ。」

 

………

 

「……」

(なんか達観した事言ってんなと思ったら、そういう事だったのか……)

 

「帝先輩、とりあえず落ち着きましょう。」

 

「前から!? 後ろから!? どっち!?」

 

「……」

 

「……」

 

帝先輩だけじゃ無く、会長と翼先輩も固唾を飲んで僕の言葉を待っている。無言の圧力に屈した僕は、ついポロッと……

 

「……両方。」ボソッ

 

「いやあああっ!? 爛れてるうっ!!」ドゴォッ

 

「ぐっほおーっ!?」

 

「石上ー!?」

 

「石上君ー!?」

 

本日の勝敗、帝の敗北

色々な面で、年下に先を越された為。

 

 


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