石上優はやり直す   作:石神

180 / 210
○○√プロローグ

……家が金持ちだとか、生まれつき才能があるとか関係ない。動くべき時に動けるか、それが出来る人間は……たとえ泥にまみれても、綺麗だ

 

俺にはお前に告らせるより、お前と付き合うより、切実で重要な願いがある

 

それは……お前とずっと一緒にいる事だ

 

わかるか、四宮……これが俺の気持ちだ

 

自分とは違い、才能、家柄、頭脳、全てに恵まれた少女に……恋をした男がいた

 


 

大勢で歩く時……列から離れて歩く人がいると、ちらりと振り向く横顔が好き。心配になる位眠そうな目元とか、難題にぶつかった時のひきつり笑いとか、嫌味な位実直で、地味に負けず嫌いで……人は頑張れば、何にでもなれるって思わせてくれる姿が好き……前に進もうとする会長が好き

 

私は……あなたにずっと側に居て欲しくて、あなたに告白してもらいたい

 

あなたが私に告白してくれれば……成功率100%なのは間違いないのに

 

……これが私の気持ちです

 

自分とは違い、誠実で他者に優しく出来る男に……恋をした少女がいた

 


 

俺は……とっくに恋に落ちていた

 

好きよ……私は、白銀御行が好き

 

俺はお前から(もとめ)られて、初めて対等だと思える気がする

 

もし告白なんてして拒まれたら、きっと今の関係は壊れてしまう

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

だから俺は告らせたい

だから私は告らせたい

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

人を好きになり

 

「貴方が好き。」

 

告白し

 

「私と恋人になって……」

 

結ばれる

 

それはとても素晴らしい事だと誰もが言う

 

だが……それに振り回され続ける人間は、たまったものではないのも事実である。

 


 

「早坂!! 今すぐ来て!!」ガラッ

 

「早坂すぐ来て!!」バンッ

 

「早坂!! すぐ来て!!」ズバーンッ

 

「いい加減にして下さい!!」ザパァッ

 

早坂愛……四宮かぐやの近侍(ヴァレット)として仕える、四宮家の使用人である。

 

四宮かぐやにとっての早坂愛は、信頼出来る近侍(ヴァレット)であり、姉の様な存在であり、対等な関係になる事を願っている少女である。

 

四宮家にとっての早坂愛は、使用人であり、影に徹するべき存在であり、利用価値のある小娘である。

 

物事には必ず二面性が有り、どちらも早坂愛を表す言葉としては正しく、それ故に早坂愛の持つ二面性は常人よりも複雑なモノとなった。

 

しかし、自らの意思で歩む人生に於いて……その様な言葉の羅列は、些細なモノである。誰もが自身が歩む人生の主役であり……我儘を言い、願い、想う権利がある。それは、早坂愛とて例外では無く……

 

 

 

 

 

「私もしたい青春っぽい事!」

 

 

我儘を言う権利がある

 

 

「私も欲しい! 男友達!」

 

 

願う権利がある

 

 

「一度位、私もあれ位誰かを好きに……」

 

 

想う権利がある

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

早坂愛もまた、主役(ヒロイン)なのである!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

Next√I.愛の真影

 




……需要ありますかね?(震え声)

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。