石上優はやり直す   作:石神

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感想、評価ありがとうございます(`・ω・´)


早坂愛は語りたい

〈中庭〉

 

「うーん……」

 

会長の誕生日から数日後……僕は唸りながら、ポチポチとスマホで検索ページを捲り続けていた。理由は昨日の夜、翼先輩からある相談をされたからだ。

 

「やっぱり無難なトコになっちゃうな……」

 

「会計君、どうしたし〜?」

 

中庭のベンチに座り頭を悩ませていると、通り掛かった早坂先輩に話し掛けられた。

 

「何か悩みがあるなら聞いてあげるよ? とりあえず、ケーキ食べながら話そっか☆」スッ

 

「そのケーキ、まだ無くならないんですか?」

 

………

 

渡されたケーキを完食すると、早坂先輩へと向き直る。まぁ、そこまで深刻な悩みという訳では無いけど……都合が良いと言うべきか、周囲に人気は無く落ち着いて話しをする事が出来る。

 

「……えーとですね、翼先輩(友達)に恋人と行くデート先は何処が良いか相談されてまして……結構色んな所行ってて、候補が少なくなって来てるからって。」

 

「へー? それで、会計君は何て答えたの?」

 

「それが……まだ答えられてないんですよ。僕は無難にディズ○ーかなって思ってるんですけど……」

 

「……全っ然ダメ! 論外だし!!」くわっ!

 

「え、マジすか?」

 

「デートにディズ○ーは鬼門って有名な話だよ? ディズ○ーはアトラクションの待ち時間が平気で30分は超えるから、その間は会話を途切れさせないスキルが必要になるし、それが出来なかった所為で気まずい感じになったカップルが別れるなんてよくある話だし!」

 

「そ、そうなんですか……」

 

「そもそも……ディズ○ーは恋人の仲を深める場所じゃなくて、純粋にディズ○ーを楽しむ場所だし! イチャイチャする暇があったら、世界観を楽しむ事に全力を注ぐべきだと思うな私!!」

 

「……もしかして、早坂先輩ってディズ○ーにうるさいタイプですか?」

 

「はー? 全然そんな事無いし! そもそも、ディズ○ーは一回行けば殆どの人がリピーターになってるんだよ? ディズ○ーのリピーター率は90%を超えててね? これはディズ○ーを訪れた人の殆どが、その世界観に魅了されたって事を裏付けてると思うの! ディズ○ーなんて子供しか楽しめないとか言う人も居るけど、ディズ○ーの入り口近くにはカフェがあって、ミッ○ー型のパンやサンドウィッチ、チーズケーキがあるんだけど、天気が良い日はテラス席でのんびりしながらシンデレ○城を眺める……なんて大人な楽しみ方も出来るの! ちなみにシーの私のオススメは、ソアリ○、ビッグバ○ドビート、マゼラ○ズの最強コンボ。どれも外れがなくて誰でも楽しめるから、絶対一度は試して欲しい! 他にも……」

 

「……」

(うるさい……)

 

滅茶苦茶うるさかった。

 

30分後……

 

「他にもディズ○ーには、リピーターを楽しませる工夫が至る所にあって、例えば……」

 

「は、早坂先輩! 先輩の言いたい事は、よくわかりましたからっ……つまり、ディズ○ーは恋人同士が行くべき場所じゃ無いって事ですよね?」

 

終わる気配の無い早坂先輩のディズ○ー論を止めるべく、僕は無理矢理話を終わらせに掛かった。

 

「全っ然違うし!」くわっ!

 

「えぇ、嘘ぉ……」

 

「私が言いたいのはね! 年間パスポートも持ってない人同士が行っても、絶対楽しめないって事!」スッ

 

「」

 

当然の様に取り出された年間パスポートに、石上は戦慄した。

 

「な、なるほど、よくわかりました……じゃあ、僕はこれでっ……」ススッ

 

「まだ話は終わってないし!」ガシッ

 

「」

 

本日の勝敗、石上の敗北

ディズ○ーに関する知識が無駄に増えた為。

 


 

生徒会解散まで残り少なくなって来たある日……僕は中庭の人気の無い場所へ呼び出されていた。

 

「ねぇ、会計君……私の事、女としてどう思う?」

 

「」

(なんて答えても、角が立ちそうな質問来た……)

 

つい先日……バッティングセンターで荒ぶる早坂先輩に呼び出された身としては、返答に困る質問を投げ掛けられる。

 

「と、とてもっ、魅力的だと思いますよ?」

 

「ふーん、例えばどんな所が?」

 

「え、えぇと……日本人離れした色素の薄い肌とか、太陽みたいにキラキラした髪とか、アクアマリンの様な綺麗な瞳とかですかね……」

 

テンパっている所為で、割と気持ち悪い事を言ってしまった石上だったが……

 

「会計君、見る目ある!! そうだよね!? 別に私に魅力が無い訳じゃないよね!? そもそもの話、私は1日で落とせるなんて一言も言って無いのに、たかが数時間でモノに出来なかったからってあそこまで嬉しそうにする事無いよね!?」

 

「は、はい、その通りだと思います!」

(よくわかんないけど、とりあえず肯定しとこ。)

 

白銀にフラれた事で自信の欠けた早坂は、ヨイショされる事に飢えていた為気付かなかった。

 


 

〈マスメディア部〉

 

「ではこれより、緊急会議を始めます!」

 

「紀ちん、顔怖いよ? どうしたし〜?」

 

「ごめんね、早坂さん。かれんが早坂さんを呼ぶって聞かなくて……」

 

「アハハ、気にしないで〜。」

 

「そうですわよ、エリカ。貴重な情報を共有するのは当然の事ですから!」くぁっ!

 

「貴重な情報って……何があったし?」

 

「実は……とんでもない情報を入手してしまいましたの。あの白銀会長が……フィリス女学院の生徒と2人っきりでカフェに居たとっ……!」

 

「へ〜……」

 

張本人を前に話している。

 

「既にツテを使い、髪型などの特徴から候補を絞りましたが、該当者は存在しませんでしたわ。」

 

「やり過ぎじゃない?」

(……この情報網は脅威だ。あの件からまだ数日しか経っていないのに、この子は既にフィリス女学院には該当者が居ないという事実を突き止めている。この情報索敵能力には、用心しなくては……)

 

「早坂さん、見て見てー。ゾウが暴れるこの動画が凄くてー。」

 

「わー、凄ーい!」

巨瀬さん(この子)は大丈夫そう。)

 

「2人共! ちゃんと聞いてまして!?」

 

「そうは言っても……会長は高等部からの編入なんだし、小中学校時代の親しい知り合いが居てもおかしくないんじゃない?」

 

「かぐや様以上に親しい関係の方が居る筈無いでしょう!?」くわっ!

 

「偏見でモノを言われても……」

 

「普通に彼女かもしれないしねー。」

 

「有り得ません! 有り得ませんわ!」バンバン

 

「遠目から見ても綺麗な人だったし、あんな子が彼女だったら十分自慢出来ると思うけど……」

 

「巨瀬ちん、良い事言う〜〜〜!」ナデナデ

 

「何処が良い事ですの!?」

 

「当人同士の問題なんだから、私達がとやかく言うべきじゃ無いんじゃない?」

 

「巨瀬ちん、ホント良い事言う〜!」

 

「だ、だって……もしそうなら、私は彼女が居る殿方に他の女性とのカップリングを強制して騒ぎ立てていた異常妄想者という事に……」

 

「まんまその通りって感じするけどね。」

 

「ぐふっ……」バタッ

 

「あ、倒れたし。巨瀬ちん、どうする?」

 

「……放って置いて大丈夫じゃない? かれんてば、偶に何言ってるかわかんない時があるから。」

 

「……偶にかなぁ?」

 

「くうぅ……も、もし辿り着いた先が、私の望むカップリング(真実)じゃ無かったとしたら、もう筆を折るしか……無いんですのね……」

 

「ほら、今も何言ってるかわかんない。」

 

「アハハ、紀ちん面白〜い!」

紀さん(この子)には、わざと道化を演じているという可能性もまだ残っている。だとしたら相当な曲者だ、警戒しなくては……)

 

曲者(くせもの)では無く、異常妄想者(ナマモノ)である。

 

………

 

「結局、紀ちんは何が不満なの〜?」

 

「だって……会長のかぐや様への愛は絶対だと思っていましたので……」

 

「……」

 

ごめん……

 

俺、好きな人がいるから

 

「まぁ、それは間違って無いと思うけど……」

 

「っ!? もしかして……早坂さんも会長×かぐや様派ですの!?」

 

「えっ……いや、んーーー?」

 

ほれ見た事ですか!

 

やっぱり会長は手強いでしょう?

 

早坂に落とすなんて……

 

「ん〜〜〜っ!」イラッ

 

早坂の中には、未だにかぐやに対するわだかまりが残っていた。

 

「別にそういう訳じゃっ……」

 

日本人離れした色素の薄い肌とか

 

太陽みたいにキラキラした髪とか

 

アクアマリンの様な綺麗な瞳とかですかね

 

(……まぁいっか。)

「そだねー☆」

 

「まぁ! やはり早坂さんも此方側ですのね? これからはより一層、よろしくお願いしますわね!」

 

「う、うん、よろしく〜……」

 

本日の勝敗、かれんの勝利

白×かぐ話で盛り上がれる同士が出来た。

 




伏せ字の所為で読みづらかったら申し訳ないです。著作権とかよくわからないので、念の為伏せ字を使わせてもらいます。(−_−;)

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