石上優はやり直す   作:石神

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感想、評価ありがとうございます(゚∀゚)


石上優は仕掛けたい①

 

〈四宮邸〉

 

「早坂! 私が石上君の代わりに、会長と文化祭の視察に行ける方法を今すぐ考えて!」

 

「普通に頼めば良いんじゃないですか?」

 

「何を言ってるのよ! そんな事を石上君に頼んだら、私が会長と視察に行きたいから頼んでると思われるじゃない! 」

 

「正にその通りなのでは?」

 

「全っ然違うから! 会長が最初に私を誘ったって事は、文化祭の視察に行くメンバーは本来私と会長だった筈でしょう!? 私はただ、本来進む筈だった未来に修正したいだけだから!」

 

「随分と仰々しい言い方をしてますけど、その立場を捨てたのはかぐや様ですからね?」

 

「もう! そんなイジワル言う暇があるなら、早く良い案を出して! 文化祭の日に石上君に急用が出来て、尚且つ石上君から私に視察を代わって欲しいって連絡が来て、でも私は石上君に頼まれて仕方無く応じてあげるってスタンスになる感じの案を!」

 

「しれっと要求が多い……無いですよ、そんな都合の良い展開になる様な案なんて。」

 

「早坂は石上君と友達なんでしょう!? だったらこう……いい感じに誘導したり出来ないの!?」

 

「1番重要な所がふわっとしてますね、面倒な部分は私に丸投げですか……」

 

いつも通りのかぐや様による無理難題、流石に今回ばかりは対応の仕様がないとこの時は思っていた。でも……

 


 

〈北校前〉

 

「か、会長っ……今日は、その……」

 

「あ、あぁ、石上から話は聞いている……じ、じゃあ、そろそろ入るか?」

 

「え、えぇ、そうですねっ……!」

 

「……」

 

「……」

 

私と優君は、北校の校門前で話す会長さんとかぐや様を隠れて眺めていた。会長さんは言動に動揺が滲み出ているし……対するかぐや様も、僅かに顔を紅くして俯いている。

 

「……!」ドヤッ

 

「こんなもんですわ……みたいな顔しないの。」ペシッ

 

「イタッ!?……でも、上手くいきそうじゃないですか?」

 

「……うん、そうかもね。」

 

かぐや様は俯きつつも、ピッタリと会長さんの隣を歩いている……その姿を見つめながら、優君へと言葉を返す。事の発端は昨日、優君のある発言から始まった。

 

………

 

〈中庭〉

 

「早坂先輩、ちょっと聞きたい事っていうか確認したい事があるんですけど……」

 

「ん、なに?」

 

かぐや様に無理難題を言われた次の日……いつもの様に中庭の人気の無い場所に座って優君と話をしていると、神妙な面持ちで優君が訊ねて来た。

 

「四宮先輩って会長の事、好きなんですよね?」

 

「」

 

「……早坂先輩?」

 

「……」

(これは、どう答えるのが正しいんだろう……私自身に関する事で優君には嘘を吐きたくないけど、かぐや様の事に関しては別問題だし……うーん、でも優君は1学期の頃からかぐや様と会長さんにコーヒーの無料券をあげたりして、2人っきりになる機会を意図的に作ろうとしてた所があった……優君の察しの良さを考慮したら、かぐや様の会長さんに対する好意はバレていると思って間違い無いと思うけど……念の為、確認はしておかないと。)

 

「あの……どうかしましたか?」

 

「……えぇと、どうしてそう思ったの?」

 

「いや、だって……四宮先輩の好みのタイプって、ドンピシャで会長みたいですし……」

 

「……具体的には?」

 

「自信家だけど優しくて、眼付きの鋭い頭の良い人ですよね? あと、路地裏で隠れて泣いてる女の子を見つけ出す事が出来る人。」

 

「うーわっ……」

(かぐや様……優君に会長さん(好きな人)の事全部バレてますけど、大丈夫なんですかね……)

 

「あ、もしかして逆ですか? 好みのタイプが会長なんじゃなくて、会長が好きだから……そのまま会長が好みのタイプになったパターンですか?」

 

(これは、誤魔化しても意味ないかな……でも優君なら、言い触らしたりはしないだろうし大丈夫……っていうか、ここまでドンピシャでバレてるかぐや様の方に問題があるし!)

「う、うん、まぁ……でも、よくわかったね?」

 

「まぁ、今までの言動とか……そう判断出来る要因が結構ありましたし、そうなんだろうなって。」

 

「そっかー……」

 

「それで、その事に関してちょっとした提案があるんですけど……聞いてくれません?」

 

「……提案って?」

 

「北校文化祭の視察……四宮先輩に代わってもらおうと思ってるんですけど、どう思います?」

 

「え!? 良いの!?」

 

その言葉に、思わず優君へと詰め寄って訊ねる。

 

「は、はい。今回は四宮先輩に譲りますよ。」

 

「……今回は?」

 

「あーいえ、こっちの話です。」

 

「そう……でも本当に良いの? 優君も会長さんと遊びたかったんじゃ……」

 

「僕の事は気にしないで下さい。それに、こういうのやってみたかったんですよ。石上優 presents in 北校文化祭……みたいな?」

 

「ふふ、何それ?」

 

「それで、四宮先輩に連絡するタイミングなんですけど……当日で大丈夫ですか?」

 

「うん、それは大丈夫だけど……会長さんには、何て言うつもりなの?」

 

「まぁ普通に……どうしても外せない用事が出来たから、代わりに四宮先輩が行きますって感じで。」

 

「……うん、変に凝った設定にするとバレやすいから、それで良いかもね。」

 

「でも、いきなりそんな事頼んだら四宮先輩に警戒されちゃいませんかね?」

 

「其処は私が上手く誤魔化すから大丈夫。」

 

「じゃあ、そっちは早坂先輩に任せますね?……ちなみに、早坂先輩が会長達のデートをプロデュースするなら、どんなデートにしますか?」

 

「え、私?」

 

「はい、今回は文化祭デートになりますけど、早坂先輩だったらどんなデートにするのかなって。」

 

「私だったら……」

 

優君のその言葉に、記憶の中に埋まっている……いつか実行しようと思っていたデートプランが浮かび上がった。

 

「……私は横浜デートが良いと思う。」

 

「横浜デートですか、良いっすね。具体的にどんな感じにするつもりなんですか?」

 

「……まずは桜木町駅で待ち合わせて、汽車道を通りハンマーヘッドのハングリータイガーでランチ。ワールドポーターズで映画を観た後、コスモワールドで遊んでからカップヌードルミュージアムでオリジナルカップヌードル作り……!」

 

「……」

(滅茶苦茶詰め込んで来る……この時点で4〜5時間は経ってそう……っていうか、このデートプラン何処かで……?)

 

「それが終わったら、人力車で中華街に移動して脱出ゲーム。中華ディナー、クルージング……そして、赤レンガ倉庫でスケート!」ウキウキ

 

早坂のテンションが上がって来た。

 

「……んん?」

(なんだっけ? このアスリートしか完遂出来無さそうな分刻みのギチギチデートプラン…………あ!)

 

「そして夜! 港の見える丘公園はイチャついてるカップルが多い! かぐや様と会長さんは雰囲気に当てられ、キスでフィニッシュ!!……優君! このデートプランどう思っ……」

 

「キスする為にメッチャ歩く人だ!!」

 

「」

 

「あ……」

 

「ふーん……そういう事言うんだ?」

 

「あ、いえっ……違うんです。間違えたと言いますか、何と言いますか……」

(あのデートプランて早坂先輩案だったのか……)

 

「間違って本音の方を出しちゃったって事?」

 

「そ、そういう事でもなくてですね……」

 

「……私のデートプラン、そんなに駄目だった?」

 

「い、いえ、そんな事は……」

 

「怒らないから、問題点があるなら言ってみて。」

 

「あの……この話やめません?」

 

「言わないと怒るし……」プクー

 

「えぇ……」

 

「怒るし!」くわっ!

 

「わ、わかりました、言いますよ! えぇと……休日の横浜は混雑してるので、早坂先輩が言った様なプラン通りにはなりませんよ? それに行きたい所全部入れちゃってる所為で、完遂しようとしたら分刻みのギチギチデートプランになりますけど……多分、早坂先輩って横浜行った事無いですよね?」

 

「……」

 

「それに中華街から港の見える丘公園て、それなりに距離ありますよ? 時間掛けて歩いてキススポットまで行くって、滅茶苦茶キスがしたいって欲求が透けて見えますし……そんな下心が相手にバレたら、絶対恥ずかしい思いをする羽目に……」

 

「……ッ」プルプルッ

 

「あっ!? す、すいません! 別に先輩のデートプランを馬鹿にしてるとかじゃ無くてですね!?」

 

「…ぃもん……」

 

「え?」

 

「絶対楽しいもん! 優君も実際に行けば楽しめる筈だし、かぐや様も絶対満足してくれる筈だもん!」

 

「はい、すいません。そうですよね、言い過ぎました。その通りだと思います。」

 

暫くの間、優君に宥められて平静を取り戻した私は、ビシッと優君を指差して宣言する。

 

「……遊びに行ける様になったら、絶対横浜に遊びに行くからね! 私のプランは間違ってないって証明してあげるから!」

 

「あ、はい。その時はお手柔らかに……」

 

「……」

 

「……」

 

「……?」

(なんか……)

 

「……?」

(凄い約束をした様な気が……)

 

最後にキスをする事が組み込まれた、デートプラン完遂の約束をした事には気付かない2人だった。

 


 

〈四宮邸〉

 

「……全く、仕方がないわね。えぇ、構わないわ。それじゃ、私は準備があるから切るわね。」ピッ

 

「……」

 

「……」

 

「……?」

 

「……は、早坂ぁ!? こんな事って本当にあるの!? 本当に文化祭当日に石上君に急用が出来て、私に代わって欲しいって連絡が来たわよ!? 」

 

「ヨカッタデスネ。」

 

「ど、どうしましょう!? 余りにもいきなりだったから、心の準備がっ……!」アタフタ

 

「……かぐや様、よろしいのですか? 会長さんとの待ち合わせまで1時間を切っていますが……」

 

「あぁあっ!? 私ったら部屋着のままじゃない!? な、何を着て行けば良いのかしら!?」

 

「いや……念の為とか言って、昨日の夜に2時間掛けて着て行く服装を見繕ってたじゃないですか。とりあえず、タクシーは呼んでおきますから、かぐや様は早く着替えて下さい。」

 

「そ、そうねっ……!」タタタッ

 

「……はぁ、本当にかぐや様は突発的な出来事に弱いんだから……あ、私もそろそろ準備しないと。」

 

石上優は仕掛けたい②に続く……

 




長くなり過ぎたので分割にしました。次話は日曜日に投稿すると思います。
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