いやぁ、3期最終回は完璧な終わり方でしたね。
マジで神回でした。かぐやの……秒? がカットされたのは残念でしたが、新作アニメが4期か映画なら導入部分でやってくれると信じて待ちますか。
〈四宮邸〉
「会長がね……スタンフォード大を私に受けろって、アメリカまで一緒に来いって言うのよ?」
「ッ!!」
「ホント無茶苦茶よね……でも、顔を赤くして言う会長がお可愛くて……思わずOKしちゃったの。」
「そ、それで……どうしたんですか?」
「……思わずキッスしちゃった!」
「っ!!? き、キスって、あのキスですか!?」
「そうよ、好きな人にするあのキッスよ!」
「そ、そうですか……こ、後学の為に聞いておきたいのですが、キスって……実際どうでした?」
早坂は興味津々だった。
「なんか……すごかった!」
「なんかすごいんだ……」ドキドキッ
「早坂知ってる? 初キッスがレモン味っていうのは、嘘なのよ?」
「え、そうなんですか?」
「会長はちょっと前にアメリカンドッグを食べてたから、少しケチャップの味がしたわ。」
「味……? キスって味がするんですか?」
「それはそうでしょう? 口とは何かを食べる所なんですから。」
「それはまぁ、でも……んん?」
「でも少し手間取っちゃったわ。唇を合わせる所までは簡単なのですが、その後が大変で……」
「その後!? ち、ちょっと待って下さい! キスは唇を合わせる所がゴールで、その先なんて無いんです!! かぐや様は一体何をしたんですか!?」
「あらあら……早坂は私より早く恋人が出来た癖に、何も知らないのね? 世の中にはね、好きな人にだけする特別なキッスがあるのよ? おさしみって言うんだけど、こうやって……唇を合わせた後に、舌をれってするのが恋人同士の作法なのよ?」
「」
「あらあら、早坂はそんな事も知らなかったのね……ふふ、お可愛いこと♡」
「あ……」プルプル
「……?」
「あほーーー!?」
「あほーーー!?」
「あほーーー!?」
「あほーーー!?」
「あほーーー!?」
四宮邸に早坂の叫び声が響き渡った。
かぐや様のやらかしが判明した次の日……文化祭を理由に免除されていた使用人の仕事も、今日から通常勤務へと戻る。5時のアラームで目を覚ますと、シャワーを浴び、歯を磨き、コンタクトを装着し、メイクと髪のセットを済ませ、メイド服に袖を通した所で動きを止める……以前の私なら、直ぐに部屋を出て仕事を始めていたけれど……
「……」ポフッ、パシャッ
私はベッドに腰掛けると、スマホを頭上に掲げてポーズを取った。インカメラで綺麗に撮れているかを確認しつつ、シャッターボタンをタップする。
「……」ポチポチ
〈おはよ、優君。朝のお仕事行って来るね。〉
まだ朝の6時だから、迷惑じゃないかな……と心配になったけど、コレは優君からお願いされた事だ。使用人の仕事で早起きしている事を優君に話したら……自分もその時間に起きるから、連絡して欲しいと言ってくれたのだ。
「……」
優君へのメッセージと先程撮った写真を一緒に送り、優君からの返信を待つ……数秒で既読が付き、メッセージが返って来る。
〈早坂先輩、おはようございます。朝から先輩の可愛い姿が見れて滅茶苦茶嬉しいです。仕事が大事なのもわかりますけど……あまり無理し過ぎない様、気を付けて下さいね?〉
「〜〜〜!!」パタパタパタ
(か、可愛いって! しかも滅茶苦茶嬉しいって!! 無理しない様にって心配もしてくれるし……もう! 優君ったら!)
早坂のモチベーションが爆上がりした。
………
「かぐや様、失礼します。」ガチャッ
使用人の仕事を終わらせると、かぐや様を起こしに部屋へと入る。昨夜……自身のやらかしを自覚したかぐや様は、随分と動揺していたけれど……既に誤魔化しも効かない段階になってしまっているので、今更慌ててもしょうがないと割り切る事が出来ただろうか……
「かぐや様、朝ですよ……ん?」パタンッ
扉を閉めながらかぐや様へと声を掛けると、既にかぐや様はベッドから起き上がっていた……珍しい事もあるモノだ。いつものかぐや様なら、私が起こすまでぐっすり眠っている筈なのに……
「……?」
(まぁ、いっか……)
余計な手間が省けたと考えを改めて制服を手に取ると、かぐや様へと話し掛ける。
「かぐや様、着替えをお持ちしまし……」
「はやちゃか、おはよ!」
「」
早坂にとって地獄の午前が幕を開けた。
〈中庭〉
「」グッタリ
「なんか……今までで1番疲れてません?」
「うん、色々忙しい事が重なっちゃって……」
地獄の様な時間を乗り切った私は……中庭のベンチに腰掛けると、隣に座る優君へ凭れ掛かっていた。数時間前……私はかぐや様を起こす為に、かぐや様の部屋を訪れた。私が起こす前に起床するという、いつもと違う行動を取るかぐや様……この時点で気付くべきだった。
「はやちゃか、おはよ!」
私を待ち受けていたのは……その言動に一切の知性を感じ取る事が出来ないかぐや様だった。過去に数回……ある条件を満たした時だけ、かぐや様は夢の中に理性と知性を置いて来たかの様な振る舞いをする事があった。睡眠不足と精神バランスが絶妙な化学反応を起こした時、突如として現れる最強クラスに面倒臭いかぐや様……
「はやちゃか、はやちゃか!」グイグイ
「どうしたんですか、かぐや様? お願いですから、今日は大人しくして……」
「かいちょーのところにいってくる!」てってって
「」
登校するなり……会長さんのクラスへ行こうとするかぐや様を止めるのは、本当に大変だった。
「えー、じゃあこの問題を四宮さん……」
「えーと、えーとぉ……」
「はいはいはーい! 先生、ウチ解るし!!」
「あ、そう? じゃあ早坂さん、解いて下さい。」
「……?」
かぐや様が授業で当てられそうになる度に、必死に手を上げて問題に答えたり……
「文化祭、どのかぐや様も最高に麗しかったわ……っていつまでも浮かれてちゃダメ! しっかり切り替えないと! そう、かぐや様の様にピシッと……」
「……♪」てってって
「ピシッ…と……な、何か今、宇宙規模に愛らしいお姿のかぐや様が見えた様な気がっ……も、もっと近くで確認しないと!」ドキドキッ
「巨瀬ちん、やっほー! 今日も寒いね〜!」サッ
「あ、早坂さん! ついさっき、宇宙規模に愛らしいかぐや様がお見えになってて……」サッ
「え〜? いつも通りだし〜?」ササッ
「いや、でも今……」ササッ
「気の所為だから……ね?」ガシッ、ゴゴゴ
「あ、圧が凄い……」
巨瀬さんの追求を力技で有耶無耶にしたり……
「つ、疲れた……かぐや様は生徒会に行かれたし、後の事は優君にお願いして……」
「はやさかさん、おはなちちよ!」
「勘弁してぇ!!」
かぐや様の真似をする巨瀬さんに話し掛けられたりと、本当に大変で忙しい時間だった。
………
「って感じで……」
「それは……大変でしたね。」
「……私頑張ってるよね?」
「滅茶苦茶頑張ってますね。」
「じ、じゃあさ、この前みたいに……」
「……この前?」
「その……」
こんな事は優君にしか頼めない……けど、私の方が年上でお姉さんなのにこんな事を頼んで引かれないか心配だし、面と向かってお願いするのは……幾ら何でも恥ずかしい。
「だ、だからっ……」
私は気付いてもらいたい一心で……優君の肩に頭を乗せて、身を預ける。
「んん?……ッ!」
(あ、そういう事か。)
「……ッ」
「よく頑張りましたね、先輩は偉いです。」ナデナデ
「〜〜〜!」ギュッ
優君は……あの時と同じ言葉を言いながら、私の頭を撫でてくれた。どうしよう……私の方が年上でお姉さんなのに、こんな事思っちゃいけないのに……
早坂愛はマザコンである。石上優と出会うまでは、母親以外の人間に弱みを見せる事は
「……ッ!」ギューッ
(優君に甘えるの癖になりそう……)
「……好きなだけ甘えてくれて良いですからね。」
「え?」
その言葉に顔を上げると……とても優しく、慈しむ様な雰囲気を纏った優君と目が合った。
「い、嫌じゃ無いの? 私の方が年上なのに……」
「年上だからとか関係ありませんよ。それに、彼女に甘えられて嬉しくない男なんて居ませんよ。先輩さえ良かったら、好きなだけ甘えて下さい。」
「もう、優君たら……そんな事言ったら、本当に好きなだけ甘えちゃうよ?」
「ははは、ドンと来いです。」
「じ、じゃあ……」ギュッ
「……」ナデナデ
「ゆ、優君っ……」
「先輩……」
「……」
「……」
「……っ!!」ドキドキッ
「」
「」
「あら? 私の事は気にしなくて大丈夫ですわよ? さぁ、早く続きを……!」ハフハフッ
(はあぁ〜! まさか……まさか、
かれんは創作活動に貪欲だった。
「き、紀ちん!? 何してるし!?」
「覗きですか……」
(なんか邪な事考えてそう……)
「んま!? 失敬ですわね! 中庭で堂々とイチャイチャしておきながら、覗きだなんて心外ですわ!」
「うっ……」
「それは、まぁ……」
「それで……続きはしませんの?」
「する訳が無い……」
「き、紀ちんったら何言ってるし! あ、優君! そろそろ生徒会に行く時間じゃ無いの!?」
「そ、そうでした! じゃあ、行って来ますね!」
「うん、またね!」
これ以上の追求を紀さんからされる前に、強引に優君をこの場から離脱させる。後は、私が何とか上手く誤魔化す事が出来れば……
「え、えーと……」
「早坂さんたら、案外甘えん坊なんですのね?」
「き、紀ちん! その、さっきのは……!」
(なんとかっ、なんとか誤魔化さないとっ……)
「ふふ、良かったですわね?」
「え?」
「石上会計と一緒に居る時の早坂さんは、とても幸せそうなお顔をしていましたわ。好きな人が居て、恋人が出来るというのは……とても幸せな事なのでしょうね。早坂さん、おめでとうございます。友人として祝福致しますわ!」
「紀ちん……」
(そう、だよね……)
優君との遣り取りを見られてしまった事に、一瞬ヒヤッとしたけど……紀さんの言葉に思い直す。
先輩が一言……助けて、チカラを貸してと手を伸ばせば、その手を取ってくれる人も居るんじゃないですか?
「……」
優君の言葉が……私に勇気を与えてくれる。
「……」
(私から手を伸ばせば……)
「早坂さん? どうかされまして?」
「ね、紀ちん……」
(きっと、紀さんなら応えてくれる。)
「はい?」
「紀ちんが良ければなんだけどさ……」
(先ずは、私が信頼される様に……)
「はぁ……?」
「今度……」
(紀さんの心に寄り添おう……)
「……?」
「紀ちんの書いたポエム……読ませてくれる?」
「」
かれんにとって地獄の午後が幕を開けた。
本日の勝敗、かれんの敗北
澄んだ瞳をした早坂からの追求を躱すという、高難易度ミッションが急遽発生した為。