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〈中庭〉
「ほーら、こっちだよー♪」フリフリ
「ニャ! ンニャッ!」ペシペシ
草木に囲まれ、一般の生徒なら到底気付く事の無い空間で、私は猫じゃらしを片手に猫ちゃんと戯れていた。日付は奉心祭から1ヵ月が経ち、秀知院は3学期を迎えている。
「ンニャッ!」ゴロン
「うん? お腹撫でてほしいの?」ナデナデ
「ンナァ♪」
奉心祭のあの日……優君と恋人になり、四宮家の監視に対しても多少の時間的余裕が出来た事で、私は色々と吹っ切れる事が出来た。秀知院生の早坂愛という仮面は被り続ける必要はあるけれど、校舎内では人目を気にせずに優君と過ごしている。
かぐや様も会長さんとは色々ありながらも、上手くいっている様だし……優君と出会ってから全てが良い方に向かっているみたいで、なんだが無性に嬉しくなって来る。
「……
「ニャ?」
「……ふふ♪」
(……なんてね。でも、パパか……もしかしたら、あの夢が正夢になる可能性だってあるんだよね? 子供は女の子で、名前は優愛……)チラ
「……」REC
「」
「あ、どうぞ続けて下さい」
「優君……いつから見てたの?」
「パパ遅いねーって所からですかね……」
「っ!っ!っ!」ポカポカポカ
「覗き見するつもりはありませんでしたが、それはそれとして永久保存版にします。誠にありがとうございました」
「消ーしーてー!」ポカポカポカ
「それだけはお断りします」
こんな感じの日々を過ごせる事が……優君が側に居る事が、とても幸せだと感じる。でも、全く悩みが無いのかと言われると、無いとは言い切れないんだけど……
〈四宮邸〉
「それでね? 会長ったら我慢の限界だって言って、何回も何回も唇が溶けちゃうんじゃないかってくらいキスしてくれて……あそこまで求められたら、私もお返ししないとでしょ? だから、その後も……」
「ヘー、ソウデスカ……」
かぐや様が会長さんと恋人関係になってから、今まで愚痴や文句に充てていた時間が、濃度の濃い惚気話へと変化した。始めのうちは、それなりに祝う気持ちを持ちながら聞いていたのだが、こうも続くと辟易してしまう。ただでさえ、私はまだ……
「そういえば、早坂の方はどうなの?」
「ッ!? わ、私ですか?」
「えぇ、私ばっかり話を聞いてもらうのも申し訳ないわよね? ねぇ早坂……石上君とのキスは、どんな感じだったの?」
「そ、それはっ……」
「あら? あらあら? 貴女もしかして、まだ石上君とキス出来てない……なんて事は無いわよね?」
「ッ!」ピクッ
「ふふ、そんな事無いわよね? だって……早坂が石上君と付き合う事になった日は、私と会長よりも早かったと記憶してるのだけど……」
「ッ!」ピククッ
「まさか……普段から恋愛事に関して色々なアドバイスをしていた癖に、未だに年下の恋人とキスする事も出来ずに日々悶々としているなんて……そんな事、ある筈ないわよね?」フフン
かぐやは此処ぞとばかりに調子に乗っていた。
「くぅっ! わ、私はっ……」
(元はと言えば、かぐや様の所為で……)
「えぇ、私は?」
「私は……私はかぐや様みたいに初キスで自分からディープキスをする程、淫らな性根をしておりませんので!!」くわっ!
「誰が淫らな性根よ!」くわっ!
〈中庭〉
「はぁ……」
私は中庭に設置されているベンチにぽすんと腰掛けると、小さく溜め息を吐いた。昨夜のかぐや様との遣り取りが、頭の中をぐるぐると回っているが……それよりも、奥の方にこびり付いてしまっている言葉が1番の悩みの種だ。それは……
早坂愛には、1つの懸念があった……
あらあら……早坂は私より早く恋人が出来た癖に、何も知らないのね? 世の中にはね、好きな人にだけする特別なキッスがあるのよ? おさしみって言うんだけど、こうやって……唇を合わせた後に、舌をれってするのが恋人同士の作法なのよ?
こうやって……唇を合わせた後に、舌をれってするのが恋人同士の作法なのよ?
舌をれってするのが恋人同士の作法なのよ?
「……ッ」
(絶対無いと思うけど……もし優君とキスする時に、かぐや様みたいに舞い上がっちゃった所為で、深い方をやっちゃったらどうしよう……)
そう、早坂愛の懸念とはこの事であった。かぐやと早坂は幼い頃から共に教育を受け、姉妹の様に育って来た。同じ環境で育てられた人間は、自然と趣味や嗜好も似通ったモノになる。その証拠に、両者はどちらも同じ病を患い、病院へと運ばれている。早坂愛の懸念……それは石上との初キス時に、
「はぁ……」
(誰かと試す事が出来たら……でも優君以外の男となんて絶対嫌だから、念の為で試すとしたら必然的に女の子相手になるんだけど、秘密にしてもらわないと困るし……かぐや様は秘密にしてくれるだろうけど論外。うーん……何処かに人に助けを求めても普段から奇行ばっかりしてる所為で、周りの人に何言っても信じてもらえないオオカミ少年みたいな子が近くに居れば良いんだけど、そんな条件を満たした都合の良い女の子なんている訳なっ……)
「あ、早坂さん何してるんですか?」
「……」
「早坂さん?」
「ねぇ書記ちゃん……今暇してる?」
「ゴリゴリに暇してます〜♪」
「じゃ、ちょっと此処に座ってくれる?」
「はーい、それで何か用っ……」
「……ッ!」ガバァッ
「早坂さん!?」
藤原、突然のピンチ。
………
「は、早坂さん!? いきなりどうしたんですか!? い、言っておきますけど、私は至ってノーマルでしてっ……!」
「お願いわかって!
「なんで私が
「書記ちゃんにはわかるの!? 自分はもう初キスを済ませてるからって、少しでも時間があればあのキスは良かった! このキスも良かったと、常にマウントを取られ続ける私の気持ちが! しかも特大の爆弾まで私に植え付けて、その所為で気後れしてしまう私の気持ちも少しは汲むべきじゃない!?」ガシッ
「し、知りませんし何の話をしてるんですか!? っていうか、絶対私は無関係ですよね!?」ジタバタ
「お願いだから余計な抵抗しないで! 一瞬! 一瞬ちょっと触れるだけだから! 私だって別に心の底から書記ちゃんとしたいとか思ってる訳じゃないんだから、書記ちゃんも我慢して!」
「もって何ですか、もって!? そんな嫌々するみたいな言い方されてOKする訳ないですよね!?」
「お願いだから、私の為に犠牲になって!」ググッ
「ううぅ!? ま、負けませんよぉ!!」ガバッ
「キャッ!?」ドタッ
「ハァ…ハァ……ふ、ふふふ、私腕力には結構自信があるんですよ? そう簡単に思い通りになると思ったら……」カシャ
「「……」」
「……かしゃ?」チラッ
「ふ、藤原さんが早坂さんを押し倒してる、とんでもない写真が撮れてしまったわ……!」ワナワナ
「」
「こ、巨瀬ちん!?」
「早坂さん、すぐ助けるから安心して!……藤原さん! 今すぐ早坂さんを解放して!」
「解放!? ちょっ!? 巨瀬さん、これはそういうのじゃないんですよ!?」
「何が違うのよ! あんなに息を荒くして早坂さんを押さえ付けておいて……いくら私が相手だからって、今更言い訳が出来ると思わないで!」くわっ!
「い、言い訳とかじゃなくてっ……」アワワワ
「藤原さん……別にね、私は同性愛を否定してる訳じゃないのよ? ただ、早坂さんには会計君ていう彼氏が居るの。だから……」
「ちょ待あああっ!? 何か凄い誤解されてるんですけど!? 違いますからね!? この状況は早坂さんに襲われたからこうなってるだけですからね!?」
「吐くならもっとマシな嘘を吐いて!」
「は、早坂さん、そうですよね!? この状況は早坂さんが襲って来たからこうなっちゃってるだけですよね!?」
「……」
「……は、早坂さん?」
「巨瀬ちん……助けて!」ウルウル
「早坂さあああん!!?」ガビーン
「任せて早坂さん! 私が欲に負けた藤原さんから助けてみせるわ!! そして、この不祥事を生徒会に報告し、藤原さんの魔の手からかぐや様のお身体も守ってみせるわ!」キリッ
「1つの誤解がとんでもない事態に発展しそうなんですけど!?」ガビーン
「そして事が終わった後、かぐや様はこう言うの! これからは藤原さんじゃなくて、貴女に私の隣に居てほしいわって! そ、そんな事をかぐや様に言われたら私っ……!」ハァハァ
「滅茶苦茶私欲入ってません!?」ガビーン
「……」
(よく考えたら……かぐや様が異常なだけで、私はやらかさない可能性の方がずっと高いんだから、変に意識しなければ多分大丈夫……だよね? いくら女の子が相手でも、初めてはやっぱり……)
この様に初キスに苦悩していた早坂だが……この後、修学旅行で起こるある出来事がキッカケで初キスをする事になるのは……また別の話である。
〈オマケ話〉
「待ってたわよ、石上君」
12月24日の昼頃、四宮先輩から呼び出しが掛かった。前回同様、クリスマスプレゼントの買い出しに付き合わせるつもりなのだろう。既に僕自身、早坂先輩へのプレゼント候補をいくつか考えているが、四宮先輩の意見も取り入れて考えたいと思っていたので好都合だ。
「クリスマスパーティー用のプレゼントと、会長へのプレゼントを買うんですよね? だったら、こっちの方に良い店が……」
「んんんーーー!? な、何を言ってるのかしら!? 私はクリスマスパーティー用のプレゼントを買いに来ただけで、別に会長のプレゼントを買うだなんて一言もっ……」
「じゃ、買わないんですか?」
「……」
「まぁ時間も限られてますし、この話はここまでにしてプレゼントを選びましょうか?」
「そ、そうね、そうしましょうっ……それで参考までに聞くのだけど、石上君はどういうモノを贈るつもりなの?」
「僕ですか? そうですね、今の所は猫関連の何かを考えてます。猫のぬいぐるみとか、猫耳付きの部屋着とかそういうモノを……」
「……ッ!」ハンッ
(全く……仕方ないわね。まぁ石上君は早坂と付き合い始めてまだ日が浅いでしょうから、早坂が猫嫌いなのを知らなくても仕方ないわね。ここは1番付き合いの長い私が教えてあげなくちゃ……)ヤレヤレ
※注 かぐやは早坂が石上に自身の境遇や立場についてブチ撒けてる事を知りません。
「四宮先輩?」
「少しいいかしら石上君? 貴方は知らないでしょうけど、早坂は猫が大嫌いなの。だから……」
「あぁ、嫌いだったんですよね。今はもう猫嫌いは克服して、逆に大好きになってますけど……」
「っ!? そ、そんな筈っ……」
「証拠見ます?」スッ
僕はスマホを取り出すと、猫と戯れている早坂先輩の写真を画面に表示して差し出した。
「」
「……四宮先輩?」
「石上君、念の為言っておくけど……早坂と1番付き合いが長いのは私なんだから、そこの所を勘違いしない様にしてほしいわね。そもそも私と早坂は、幼等部の頃からの……」クドクドクド
「……」
(四宮先輩……付き合ってた年月の長さでマウント取って来る、クソ面倒臭い元カレみたいな事言い出して来たな……)
〈オマケ話〉早坂愛は手作れない
「優君、ごめんね?」
「え? 何がですか?」
2月某日……2年生の修学旅行という、本来は関わる事が無い筈のイベントに僕が関わる事になったのは記憶に新しいが、それによって生じた騒々しさも、徐々に沈静化していったある日の午後……早坂先輩と校舎内を歩いていると、突然謝罪をされた。謝られる心当たりがなかった為、反射的に聞き返す。
「その、バレンタインのチョコ……手作りはちょっと出来そうにないから……」
「あ、そうなんですね。でも謝ってもらう程の事でもないっすよ。色々ありましたし、一人暮らしも大変でしょうしね」
「ううん、そういうのは大丈夫なんだけど……ちょっと、チョコ作りにはトラウマがあってね……」
「トラウマ?」
「うん……去年の今頃だったかな? かぐやが会長に手作りチョコ作るってなって、オカルト研究部からレシピを貰ったんだけど……」
「はぁ……」
「取り返しのつかない過ちを犯しちゃって……あぁっ! 水35ℓ、炭素20kg、アンモニア4ℓ、石灰1.5kg、リン800g、塩分250g、硝石100g。 イオウ80g、フッ素7.5g、鉄5g、ケイ素3g、その他少量の15の元素……チョコを作るには材料がおかし過ぎるって、この時点で気付いていればあんな事にはならなかったのに……!」
「人体錬成でもしたんですか?」
………
……
…
※ 「○〜∈#”2⌘‰♫∀⁂、▼†ゞ〓∂□◉£?」
訳「男女の営み以外で命を生み出そうなぞ、烏滸がましいとは思わんかね?」
by キューバリファカチンモ
これで全√after③まで投稿終了です。
ここまでお読み頂きありがとうございます!
完全にネタはすっからかんなので、コレにて完結という事でε-(´∀`; )
ここまで読んで頂きありがとうございます。皆さんは、どの√が1番好みでしたか?
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そりゃ眼鏡っ娘よ
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いや、ヤン(キー)デレも捨てがたい
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ぶっちゃけ、ムッツリな風紀委員の方が……
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当然、同じ誕生日の年上アホキャラが1番!
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愛の重さって大事だと思うの……
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結局は年上のメイドさんて結論出たから