「……デートに友達を連れて行くなんて愚の骨頂です。正気の沙汰とは思えません。」ガタガタッ
「え、優?」
「石上!? さっきと言っている事が違うぞ!?」
「デートに他人は邪魔でしかない存在です。考え直した方がいいでしょう。」ブルブルッ
「お前さっき、デートだからって友達を蔑ろにする奴はダメとか言ってたじゃねぇか!」
「異物の混じった空間、其処はもう貴女の知る場所じゃないんですよ。」ガクガクッ
「異物扱い!?」
「アンタ渚の事苦手なの? ……ははーん? なるほどねぇ……渚も結構可愛いからね。緊張でソワソワしちゃう、みたいな?」
「どちらかと言うと(身の危険を感じる)緊張で(背筋が)ゾワゾワしちゃう、ですかね……」
「アンタも男って事ね……私が翼君と上手くいったら、次はアンタと渚の仲を取り持ってあげるわよ?」
「勘弁して下さい。いやホント、そういうんじゃないんで……」
「渚は昔からしっかりしているように見られるんだけど、案外抜けてるトコもあるのよ……昔からよくキラキラした目で、私の後を追いかけて来たものだわ……」シミジミ
「奇遇ですね、僕もつい先日killer killerな目で追いかけられましたよ。捕まっていたらどうなっていた事か、陸上やっててよかった……」
「昔からマキーマキーってついて来てね……いつも私にくっついてるから習い事とかも一緒で、その所為か好みも似通っててね……いつも私が欲しいものを欲しがるのよ。」
「……意味がわかると怖い話ですか?」
(2人共、柏木渚について話してるんだよな? 何か噛み合ってない様な気がするんだが……)
「……」コンコン、ガチャッ
「失礼します。あ、やっぱり此処に居たー。」
「あら、渚どうしたの?」
「どうしたのじゃないでしょ。今日は今度行く水族館の予定決めるって言ってたじゃない。」
「あー、そうだったわね。」
「あっ、白銀くん何か話し中だった? ゴメンね、邪魔しちゃって。」
「いや、気にしなくていい……な? 石上。」
「……はい。」
(ああああ逃げ場ないいぃ!! どうしようっ……本人がいる前じゃ流石に断りづらいし……)
「あ、それで水族館だけど……優も一緒に行く事になったから。」
「へぇ、そうなんだ……石上君とは今までゆっくり話す機会がなかったから嬉しいな。」
(言っちゃった……いや、まだ間に合う筈!)
「あ、あの! 水族館の件なんですけど……」
「うん? なぁに?」スッ
(読めないけど死ぬほど怖い……)
「……な、なんでもないでーす☆わー、楽しみだなぁ!」
「私も楽しみ。」ニコッ
「じゃあ、私はそろそろ行くわね……優、白銀、話聞いてくれてありがとね。」
「気にするな、また何かあったら遠慮なく来て構わないぞ。」
「……気が向いたらまた来るわ。」ガチャッ
「あ、待ってよ眞妃! じゃあね白銀君、石上君。」バタンッ
「あぁ。」
「」
「……白目剥いてどうした石上?」
「いえ……なんでもありません。」
「そんなに柏木の事が苦手なのか? 生徒会役員が特定の人物に苦手意識を持つのは良くないぞ。」
「確かにそうですよね。僕も……覚悟を決めます。断じて行えばサタンもこれを避けると言いますし。」
「……それを言うなら、断じて行えば鬼神もこれを避ける、だ。」