作者も書いてて一位はやり過ぎ感がありましたが、高一の三学期期末テストで36位(441点)取れるなら、中学3年の一学期期末テストなら一位イケるやろと勢いで書きました。
※タグにご都合主義を追加しました。
「一位だって石上君! おめでとう!」
背中から掛けられた声に、振り返りながら答える。
「あぁ、ありがとう大友。」
最近になり、石上の様子が激変した事はクラスメイトは勿論、大友京子も認識していた。クラスメイトはつい先日まで陰キャだった石上の様子が180度変わった事に対して、殆どの人間が困惑していたが……元々それほど石上に関心もなかった為すぐに興味を失った。
しかし、一部の人間は……
今更いい子ちゃんぶってどうするの?
石上の分際で生意気……
無駄な努力
と心無い言葉を吐く者もいた。
しかし、大友京子は……
「……っ!」フンスッ
(石上君、なんかわかんないけど頑張ってるし応援しよう!)
と緩い感じに石上の頑張りを認め、応援していた。
「石上君、これから部活? 頑張ってね、バイバイ!」
能天気な笑顔を向けて、ブンブンと手を振る大友京子に石上も……
「あぁ、大友も気をつけて帰れよ。」
フッと微笑み手を振り返す。
一見良い感じの男女の様に見えるが、お互いの心の中に相手に対する恋慕の情や恋愛という言葉は存在しなかった。
石上は大友に対してあくまでも、クラスメイトで偶に挨拶をする程度の友人。
大友もクラスメイトが頑張っていれば応援するのは当然という能天気さで、その行動に恋愛という言葉が入り込む隙間は存在しなかった。
何処までいっても石上優と大友京子は、友人という枠組みからはみ出す事はないのである……
大友に言葉を返し視線を向けると、隣に口をポカンと開け此方を凝視する女子生徒と目が合う……と言っても、その瞳は分厚いレンズに遮られ見通す事が出来ない。
「なんだよ大仏、そんなに信じられないか?」
僕はイタズラが成功した気分を味わいながら問い掛けた。……当然だ、2ヶ月前までドベの成績だった人間が学期末テストで一位を取ったのだから。特に大仏は……伊井野ミコという常に学年一位を取り続ける人間の頑張りを見てきたのだから、その驚きも他の人間より凄まじいものがあるのだろう。
「あ、違くて……凄いね石上。うん……ビックリした。ミコちゃん以外の人が一位の隣に名前があるの初めて見たし。」
「まぁ僕自身も結構驚いてるんだけどな……」
「そうなの? その割に凄い落ち着いてるね?」
「そういう風に見えるだけだよ。」
「……ふーん。」
……こんな風に大仏と話すような関係になるとは思わなかった。しかし、決して嫌じゃない。大仏には逆行前、伊井野にステラの花を贈った所を見ていたと告げられた日の夜は、ベッドの上で悶えまくった事もあったけど……
私も君の事、ちゃんと見てたよ
その掛けられた言葉に、僕は何とも言えない気持ちになった。中学時代の……石上優という人間をちゃんと見てくれていた人が確かに居たんだと。だからだろうか……無意識に廊下ですれ違った大仏を目で追い、あの場面に出会したのは……