石上優はやり直す   作:石神

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四宮かぐやは相談したい

〈生徒会室〉

 

「相談? おば様が私に?」

 

「……相談とは少し違うかもしれません。私の話を聞いてどう思うか……エビデンスを集めたいだけです。所で眞妃さん……髪型、中等部の頃に戻したんですね。」

 

「まぁね……か、彼氏が髪下ろした方が良いって言うからっ……!」

 

「良かったですね、好きな人と結ばれて。」

 

「いきなり何よ、気味が悪いわね。」

 

「これでも祝福しているんですよ? 私達の様な立場の女性は、望まぬ婚姻を結ばれる事も珍しくないですから……」

 

「……まぁそうね、ウチはそこまで下劣な事はしないでしょうけど。」

 

「だから、好きな人とちゃんと付き合えた眞妃さんを祝う事はそこまでおかしくはありません。」

 

「そうね……そういう事なら、有り難く受け取っておくわ。」

 

「それで、話の内容なのですが……あと1人、誰か眞妃さんの御友人を呼んで頂けますか?」

 

「なんでよ? 私だけじゃダメなの?」

 

「出来るだけ、普通の感性を持った女性が望ましいので……」

 

「さらっと私を普通じゃないって言った? 大体、普通の感性持った人とか自分で用意しなさいよ。」

 

「私にそんな知り合いが居るとでも? 藤原さんは論外ですし、早坂も四宮家と関わりが深い分普通とは掛け離れています。」

 

「うーん、普通の友人ねぇ……」

 

………

 

〈ケース1〉

 

「は、はあああーーっ!!? こ、此処が白銀会長とかぐや様の愛の巣!! 此処で日夜お互いに愛を囁かれていますのねっ!? こ、此処こそが人類が探し求めていた……エデーーーン!!」バターンッ

 

「かれーーんっ!?」

 

〈ケース2〉

 

「あっあぁああぁ……か、か、かか、かぐや様の相談に乗れるなんてっ……わ、我が人生に一片の悔いなし!!!」 バターンッ

 

「エリカーーっ!?」

 

………

 

「……もしもし、渚? ちょっと相談事があって……生徒会室まで来てくれない?」

 

四条眞妃、消去法により柏木を選択。

 

………

 

「……失礼しまーす。眞妃に呼ばれて来たんですけど……」

 

「渚、急に呼び出して悪かったわね。」

 

「それは大丈夫だけど、どうしたの?……相談事って言ってたけど?」

 

「……私じゃないわよ。おば様が聞いて欲しい事があるんですって。」

 

「え、かぐや様が?」

 

「えぇ、一般的な意見も必要と思いまして……」

 

「私で力になれるのなら……」

 

「では、コレは友人の体験した話なのですが……」

 


 

〈中庭〉

 

「僕に恋愛相談ですか?」

 

「まぁ、恋愛相談っていうか……俺の話を聞いてどう思うか言って欲しいというか……」

 

「まぁ、それくらいなら別に良いですよ。役に立てるかはわかりませんが……」

 

「いや、それは大丈夫だ。寧ろ石上以上の適任はいない。」

(経験者の貴重な意見……一瞬たりとも聞き逃さん。)

 

「わかりました、どうぞ話して下さい。」

 

「あぁ、コレは友人の話なんだが……」

 

「……」

(会長の話だな、時期的に相手はやっぱり四宮先輩なのかな……)

 


 

「だ、男子がっ……!」

 

「ベッドの中に潜り込んでたっ!?」

 

「は、はい……」

 

「はわぁ……」ドキドキッ

 

「そ、そんな事……いけません! 破廉恥です! 女の子が風邪で弱ってる時にそんなっ……」

 

「……ッ!ッ!」ウンウン

 

「そ、そうですよね? でも、その女の子は意識が朦朧としてて……自分からって可能性も……」モジモジ

 

「だとしても! 女の子が弱ってる時は男子がモラルを持って行動するべきです!」

 

「……ッ!ッ!」ウンウン

 

「そ、そうよねっ!? わたっ…その女の子じゃなくて男子にモラルが無いのがダメなのよねっ!?」

 


 

「なるほど……ヤッちゃいましたか。」

 

「やらかしはしたけど、ヤッてはいねぇよ!」

 

「冗談です。しかし会長、好きな人と同じベッドに入って普通に寝るって……何やってんですか。」

 

「はあああっ!? 俺じゃねぇしっ!? 友達の話だしっ!?」

 

「あーそうでしたね……でも、とりあえずお互い謝ったんですよね?」

 

「あぁ、だが……」

 

「恨みがましい目で見られると?」

 

「勿論、その男子に悪い部分があるのはわかる。だが、理性を総動員して耐え切った人間にする仕打ちにしては、些か厳し過ぎると思ってな……」

 


 

「だから……少し位恨めしい目で見ても、仕方無いじゃないですか……!」

 

「かぐや様の言う通りです! そもそも日本男子なら責任取るくらいの事はするべきです!」

 

「……ッ!ッ!」ウンウン

 

「そ、そうよねっ!? 男子なら、ちゃんと責任は取るべきよねっ!?」

 


 

「女子ってなんかあったらすぐ責任取る取らないの話に持っていくじゃないですか……」

 

「あ、あぁ……」

(石上が言うと滅茶苦茶重く聞こえるんだが……)

 

「お互い謝ってハイオシマイ、っていうのが不満なのかもしれませんね。」

 

「なるほど、何事も無かった様に接したのが不味かったという事か……」

 

「うーん、女子は妙な所に怒ったりしますからねぇ……もしかしたら、ベッドに入ったのとは別の所に怒ってる可能性もありますし。」

 

「その可能性もあるのか……」

 


 

「でも……別に良いんです、最初からこんな事で責任取って欲しいなんて思ってませんし。」

 

「……じゃあ、かぐや様は何に怒ってるんですか? 相手はかぐや様に何もしていなくて、責任を取って欲しい訳でもないなら……」

 

「……!」

 

「何に……い、言えません。」

 

「えぇっ!?」

 

「ふふ、なるほどね。おば様の考えがわかったわ。」

 

「え? 眞妃わかったの?」

 

「えぇ、自分に置き換っ……えて考えた訳じゃないけど! 多分おば様は、何もされなかったのが不満なんでしょ?」

 

「……ッ!」コクッ

 

「か、かぐやさんっ……」キュンッ

 


 

「例えば、何もされなかった事が不満だったとか……」

 

「そ、そんな理由があるのかっ!?」

 

「あくまでも例えばの話です。会ちょ……その男子が本当に何もしていないのなら、謝る必要はありません。只、少しでも何かした事実があるのなら……言うべきかもしれませんね。」

 

「なるほど、必要なのは誠実さ……という訳か。」

 

「お役に立てましたか?」

 

「あぁ、助かった……その男子にはちゃんと伝えておこう。」

 

「……はい、お願いします。」

 


 

「……お返しです、これでチャラですよ。」ピト

 

「し、しのっ!?」

 

「私達、明日からはいつも通りですよね。」

 

「あ、あぁ……」

 

「……ッ!」タタタッ

 

………

 

「はえーっ……!」ジーッ

 

「か、かぐやさんっ……!」ジーッ

 

「……」

(あー、やっぱり四宮先輩だったか。ベッドに潜り込むなんて会長も大胆……いや、この場合大胆なのは四宮先輩か?)

 

バッチリ見られていた。

 


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