ポリフォニカはお待ち下さい。最近ポリフォニカの小説も増えてきましたね。うれしい限りです。
ちなみに、私は大図書館の羊飼いファンディスク予約済みです。小太刀のタペストリー待ち。佳奈すけの抱き枕カバーも捨てがたいですがな。
とりあえず、イーニァ好きな私にとって、いかに自然に彼女たちを登場させるかが(させないかが)腕の見せ所ですね。全くの未定ですが。最近はスィーリア先輩推しですが。とりあえず、彼女のタペストリーはほぼ集めております(キリッ
……我ながら気持ち悪ぃ
大図書館の羊飼いSS
4月19日
暇というわけじゃない。やることはそれなりにあるし、依頼などもいくつかある。しかし、それ以上にやりたいことというものはあるものだ。
つまり。
「こらっ! 清涼院君、待ちなさい!」
「申し訳ないが待ちません!」
生徒会長に追いかけられているこの現状をどうにかしなければ、やりたいことも出来ないのである。
「もう! どうして逃げるの!」
「捕まったら生徒会室直行だからです!」
「当然でしょう! 何の説明もなしに辞めるだなんて許さないわ!!」
つまりは元生徒会役員(仮)の俺が、正式に辞退したことに怒った望月真帆会長が追いかけてきているのである。休み時間・昼休みと逃げ切ったのだが、放課後になって遂に追い詰められたのである。生徒会・風紀委員総出で捕まえに来ているのだから会長も本気である。
十分ほど逃げたところで、とうとう捕まり、そのまま生徒会室に連行された。
「……逃げたことは今は置いておきます。それよりも、なぜ突然生徒会を抜けるなどと言ったのですか?」
声の大きさこそ普通であるものの、妙に座っていて逆に怖い。加えて、ピクピクとしている笑みもなおさら怖い。
「俺はもともと(仮)が付いていたのですが……」
「そんなものはとっくに取れていました」
「聞いてないんですけど!?」
「というか、そんなこと気にしていたのはあなただけです。……まぁ、今回はそこを突かれたのですけどね。どこかの誰かさんが、会長である私を飛び越して、直接事務のほうに書類を回したお陰で。しかも、押した記憶のない印まで押されたものが」
やばい。全てばれている。しかも、めっちゃお怒りである。
「まぁ、書類不備があるということにして、今回の件は未遂となりましたけどね」
そういってくるのは多岐川葵。俺と同じ2年L組のクラスメイトである。とはいっても、あまり選択科目ではかぶらないが。
「うるせい。第一、多岐川は俺にやめてほしいんじゃないのか?」
「そ、そんなこと一度も言ったことないでしょう!?」
「一度自分の胸に……いやごめん」
「今どこも見て謝ったんですか、ん?」
決して他意はなかったのだが、残念通じなかったようだ。夜叉が二人に増えてしまった。
「ともかくっ! 清涼院君には明日改めて出頭してもらいます。これを破ったら、しかるべき措置をとるので、必ず来ること。いい?」
「……真帆ちゃんのいけず」
わざと昔からの呼び方で会長のことを呼ぶと、面白いように反応してくれる。
「そ、その呼び方は人前ではしないでといってるでしょう!?」
「じょーだんですよ、会長。では今日のところはこれにて。実は別件で仕事があるのですよ。では失礼します」
「あ、ちょっと! まちなさ」
再び捕まる前に部屋を出て、怒られない程度に急いで建物を出る。とはいっても、会長の性格的にこれ以上は追いかけてこないだろう。
「さてと、時間的には少し急がないといかんね。……走るか」
本日何度目になるのか。依頼主のところに走ることにした。
生徒会役員(仮)である俺は、その仕事以外に色々な依頼を受けている。大した理由はないが、人脈作りや次の日のお昼をご馳走してもらうくらいの役得はある。そんでもって今日の依頼は図書委員からの依頼で、不要になった図書の移動である。
走った甲斐あってか、予定の時刻の五分前に大図書館に到着できた。図書委員の依頼は初めてではないので、いつものように図書委員の子に概要を聞き仕事に移る。
今回は重複本の移動である。確か、図書部の部室のところだ。
「ま、鍵はあるからいいか。筧もいそうだし」
図書部で活動しているのは現在一人。それが筧京太郎である。常に成績トップ3に位置する秀才である。あと、重度の読書中毒者。
と、本を抱えて図書部の前に着くと、何やら賑やかである。殆ど物音のしない普段とは異なる。
「ん? 新入部員でも入ったのか?」
「そんな申請はなかったけれどね」
…………。何で会長がいるのだろうか。
「筧君の勧誘にね。サボりがちの人がいるから、有望な人材を勧誘しているのよ」
何もいってないのに……。
「ともあれ、筧君までも取られるわけにはいかないわね」
「取られるって、白崎さんに?」
「そういうこと。……こほん」
会長は軽く息を整えると、図書部の部室の中に入る。
「そんな活動に、筧君を参加させるわけにはいかないわ」
「あなたは生徒会長の」
会長に最初に話しかけたのは桜庭玉藻。通称姫様。あながち嘘でもないのだが、本人は嫌がっている。
「望月真帆です。こんにちは。そしてこちらが」
なぜかそのまま俺に言葉を促してきたので、本を抱えたまま部室の中に入る。
「現在図書委員のお手伝い中の清涼院輝夜です。重複本置きに来たんだけど、どこに置けばいい?」
いきなり手伝いだと言われて反応に困ったのであろう図書部の面々。わざと言ったので成功といえば成功だが、会長が睨みつけてきたので防御力が下がったような気がする。
「馬鹿なことを言っているけど、生徒会役員よ」
「後ろに(仮)が付くけどね」
よっこらせと本を置き、分類だけ分けて適当に棚に入れていく。
けっして会長の視線が怖いからというわけではない。決して。
「望月さん、『そんなこと』ってどういうことですか?」
会長の言葉に、白崎さんがムッとしている。自分の決意を「そんなこと」呼ばわりされたのだから当然といえば当然かな。
「目的も活動方針も、おまけに動機も曖昧な活動のことよ。違うのなら訂正してもらっても構わないわ」
ムッとする白崎さんだが、それは自覚していたのか反論できないでいた。そこに助け舟を出したのは桜庭。
「生徒会長とあろうものが、わざわざ喧嘩をしに来たの? もしそうなら高く買わせてもらうけど?」
「あら、お姫様と喧嘩なんてとんでもない」
「さすが、生徒会長は何でもご存知なんですね」
「そこにいる子が色々知っているので」
とりあえず、俺に矛先を向けないでほしい。どことは言わないが、ひゅんとしてしまう。
「そ、それで望月さんは何の御用ですか?」
一触即発の雰囲気に慌てた白崎さんは、話を変える。
「筧君を生徒会に勧誘しに来たのよ」
「え……」
「生徒会役員!?」
白崎さんと桜庭は、凄い勢いで筧のことを見る。
「か、筧君、生徒会役員になるつもりなの?」
「凄いじゃないか。なろうと思ってなれるものじゃないぞ」
「私もそう思うんだけど。なかなか首を立てに振ってくれなくて」
やれやれといった仕草をする会長。そこでちらりと俺を見ないでほしい。
「ちょっと待ってください。筧くんとはわたしがお話をさせてもらってたんです」
「あら、どんな話?」
そこで概要を説明してくれる白崎さん。どうやら。学園をよりよくしたいとの事。俺としては面白そうだと思うのだが、会長にとっては、白崎さんの計画が杜撰なものに見えているのだろう。普段優秀な人間に囲まれているからこそか。会長は最後までその説明を聞くことなく、途中できる。
「もういいわ。筧君は高い能力を持っているわ。その能力をあなたの意味不明な活動に参加させるわけにはいかないわ」
「ですから、活動内容はこれから考えていく部分で」
「最低限のビジョンくらいは示すべきだわ。あなたはそれすらもできていない。人を誘うならそれなりの説明をするのが礼儀だわ。私……いえ、そこの清涼院君も筧君の能力を高く買っているし、ずっと前から勧誘しているわ。横槍を入れるならば、もう少し準備をしてからにしてほしいわ」
ここで俺の名前を出され、自然と注目される。ここまで黙ってきたが、そうもいかないようだ。
「はぁ。振らないでくださいな。えーと、白崎さんは学園を楽しくしたいといってるけど、今の学園は楽しくないの?」
「ち、違います。今も楽しいですけど、今よりもっと楽しくしたいっていうことです」
「でも不満があるなら生徒会に任せるのでもいいんじゃないかな? 相談窓口もあるし、そもそもそういう活動は生徒会の役目だよ?」
とりあえず、彼女自身もまとまっていないようだったので、根本的なところを聞いてみる。「私は自分で活動を」
「生徒会には任せられないと?」
白崎さんの言葉にムッとした会長がとげのある言い方で聞き返す。こりゃしこし怒っているな。
「違います! どうして悪い方にとるんですか」
対する白崎さんの声も先ほどより大きくなっている。少々お互いヒートアップしてきている。とりあえず会長を静めないと。
「はいはい、真帆ちゃんはリラックス。熱中しすぎ」
生まれてからの付き合いがなせる業。それは後ろから抱きしめること。一歩間違えばぶん投げられるが、真帆ちゃんは昔からこうすると落ち着くのである。
「おっ」
「んな!?」
「えぇ!?」
「わわっ!?」
「ぼっほぅ!?」
四人と一匹が俺の行動に驚いていた。
「か、輝夜!? い、いいいきなり何するの!?」
「ヒートアップしすぎ。とりあえず冷静に」
「わ、分かったkら離して! 恥ずかしいわ!」
いう通りに離れると、顔を赤くした会長は暴れて乱れた髪を整えながら気を取り直すように咳払いをした。みれば白崎さんや桜庭も落ち着いていたので今回のことは成功のようだ。
「ともあれ、このままじゃ筧も生徒会入りはしないだろう?」
「そうだな。望月さんには悪いけど、俺は生徒会入りする気はありません」
「じゃあ、何かと交換とかは? どうやら二人にはカップル疑惑がかけられてるみたいだけど」
「…………」
筧はだんまりだ。冷たそうに見えるがその実面倒見はいい奴だ。恐らくこのまま押し切れば筧は生徒会に入るだろう。
だが、俺の本命は白崎さんである。
「で、聞きたいことがあるのは白崎さんだ。どう? もし、筧君を譲ってくれるなら、全力をもって火消しにあたるよ」
この手の噂は女の子にとっては相当嫌なものだろう。特に白崎さんのような引っ込み思案の子にとってはなおさらだ。
しかし、白崎さんはきっぱりと即答した。
「そんな取引には応じません!」
「でも、このまま放っておいたら色々面倒なことになると思うけど?」
「私は我慢できます。たとえ私が痴女扱いされても、筧君がわたしのために嫌な目に遭うくらいならそっちを選びます」
どうやら白崎さんはこの手の話が嫌いなようだ。後ろで高峰と桜庭がひそひそしているし。
まぁ、ともかく。白崎さんから立派な決意を聞くことができた。
「というわけです。今日のところは会長の負けですよ。今日は俺がお仕事手伝ってあげますから、帰りましょう。委員長には俺から連絡しておくから、今日は夜までお付き合いしますよ」
「え、ちょ、ちょっと!? 引っ張らないで!?」
「んじゃ、失礼しますよ。とりあえず筧、重複本についてはよろしくな。というか、元々図書部員の仕事だろ、それ」
少し含みを持たせた笑みを浮かべて筧にお願いをする。筧なら気付いてくれるはずだ。
しかし、図書部もこれから面白くなりそうだ。
筧に白崎さん、桜庭に高峰。
中々面白いメンツが集まったものである。不安要素はあるが、彼らなら文字通り学園をよりよくすることができるだろう。
まあとりあえずは後ろで顔を真っ赤にさせながらあうあう言っているお姫様を宥めることから始めることにしよう。
Another side 筧
望月さんと清涼院が帰って、みなホッとしていた。嫌なわけではないが、あの二人といると、自然と背筋を伸ばしてしまうような雰囲気があの二人にはある。
まぁ、俺にとってはまだ悩みの種があるわけだが。清涼院にも釘を刺されたし。
「それにしても、流石は汐美学園の二大巨頭だな。緊張してしまったよ」
「二大巨頭?」
「あぁ。生徒会長の望月真帆と清涼院輝夜。特に清涼院の方は会長をもしのぐ人気だ。白崎も清涼院グループのことは知っているだろう?」
「うん。確かうちの制服も清涼院下ループがって、もしかしてその清涼院?」
「そう。そこの長男が輝夜だ。日本はおろか世界中に影響力を持つ一族の次期後継者とされているのがあいつだ」
そういう桜庭は、どうやら清涼院のことを知っているかのような物言いである。
「たしか、会長とは生まれてからずっと一緒にいる幼馴染だったはずだ。もっともあいつは生徒会の仕事よりも、自分の仕事を優先しているようだが、それでもなお次期生徒会長に推す声は大きい」
聞けば聞くほど化け物のようなやつだ。しかし桜庭が言っていることは誇張ではなくれっきとした事実だ。現に今期と来期の生徒会は汐美学園史上最高の生徒会になるだろうとも言われているほどだ。
「しかし、桜庭ちゃんは清涼院のことをよく知ってるね」
「なんだ、喧嘩か? 高く買ってやるぞ?」
とりあえず笑顔で言うことではないだろう。高峰もすぐに白旗を振っていた。
「まぁ、清涼院のおかげで丸く収まったし、ひとまずは安心だね」
「へ?」
高峰の台詞に白崎が首をかしげる。
「たぶん、清涼院が言っていたことは会長が言おうとしていたことだ」
恐らくだが、望月さんは朝の件を出汁にして俺を勧誘しに来たのだろう。そして、その話を持ち出したがそのまま望月さんだったら、さらに話がこじれていただろう。
「(ちらり)」
「なんだ筧? 言いたいことがあるなら言うといい」
怖い。
「それより筧はどうするんよ? 清涼院のおかげで生徒会の話はひとまずおいておくとして、つぐみちゃんの方はどうするんだ?」
あ。
「そういえばそうだね。筧君、協力してくれないかな?」
少し望月さんたちの登場であやふやになっていたが、そもそもの本題はこれだ。しかし、俺としてはこの聖域だけは死守したい。
と、どう断ろうかと考えていると、桜庭の携帯が鳴った。
「はい、もしもし……え? 清涼院? はぁ? スピーカーにしろだと?」
どうやら相手は清涼院らしい。どうして番号を知っているのかも気になるが、それはひとまずおいておこう。恐らくやぶ蛇となる。
そんなことを考えていると、桜庭がスピーカーモードにして、携帯を机の上に置いた。自然と、全員が携帯の周りに集まる。
『あー、聞こえる? とくに筧。いたら返事してくれ』
「あぁ。いるぞ。なんのようだ?」
『いやな? 多分お前のことだから、聖域を守ろうだとか考えているだろ?』
なぜこいつが俺の考えていることをばらしているのか。……まぁ、先ほどのやりとりをしていれば分からないでもないが。
『そこでこちらから一押し。筧、お前、白崎さんのことは理解できるかい?』
たったひとこと。それだけだったが、俺には十分すぎる一言だった。白崎たちは首をかしげているが、清涼院の言葉のせいで、俺は退くわけにはいかなくなった。
『んじゃ、そういうことで。あ、それと重複本の整理は忘れないように。見張りを立てといたから逃げられないからな-』
それだけ言うと、清涼院は電話を切った。桜庭が電話をしまうと俺のことを見てきた。
「筧、今のはどういうことだ?」
「いや、たいしたことじゃないさ。それより白崎、さっきの話だが協力させてもらうよ」
これから先、どうなるかは分からない。読書の時間も減りそうだし、なにやらいやな予感もしないわけでもない。
だけど、「分からない」ことを、放っておくことなんて俺にはできない。
それが分かるのであれば、この不思議な少女の誘いに乗るのも悪くはないだろう。
……まさか、こいつらが図書部に入部するとは思っていなかったが。
いやな予感はこれか……。
Another side End