ルーンファクトリー4×ウルトラマンタイガ ルーンの奇跡 作:ヴォーテクス
メルバに謎の稲妻が降り注がれる数分前、フーマとメルバが戦う光景を遠くからエゼルバードが観察していた。フーマの連続攻撃によりメルバが一方的に押されている。どうやら戦況は芳しく無いようだ。
「ふぅん、スパークドールズの怪獣はこの程度か。だが……この力を試すには丁度良さそうだな」
エゼルバードは右手に持つ禍々しい闇の力を秘めた拳サイズの球体に魔力を注いで天に翳した。すると魔力を帯びた球体からエネルギーが放たれ、メルバの頭上に暗黒の雲が発生。雲から発生した紫の稲妻がメルバに直撃すると肉体に大きな変化が生じた。
身体の色が黒く染まって各部が膨張、目の色が禍々しい赤に変化して両腕の爪の形状が鋭利な鎌になっていた。これはベリアル因子を球体に変化させた物でベリアルスフィアというエゼルバードが独自で生み出したアイテムだ。ベリアルスフィアの力を受けた怪獣は強化されるだけでなく凶暴化させる作用がある。これによりメルバは凶暴化したのだ。
「ギャォォォーーン!!」
メルバは全身から闇の力で形成された幾多の針をフーマに向けて射出するが辛うじて左へ転がって回避する。そこから立ち上がって手裏剣を打つべく構えたが突如飛来した闇の斬撃波を喰らって怯んだ。
この斬撃波はメルバが爪を振り下ろして放たれた衝撃波はウルトラ戦士の皮膚に深い傷が付く程の威力だ。更に力を増したメルバは上に飛ぶとそれに応じてフーマも飛んで追いかける。
『待ちやがれ!』
「ギャォォォーー!!」
彼は光波手裏剣を連続で放つがメルバが後ろに目が付いているかのように最小限の動きで軽く回避。メルバは嘲笑うかの様にフーマよりも速く飛んで反転、すれ違い様にメルバは強化された翼でフーマの身体を深く切り裂いた。
『うわぁぁぁっー!!』
大きなダメージを受けたフーマは態勢を崩して地面に落下。メルバは急降下しつつ目から紫色の怪光線を発射、追い討ちを掛けるが咄嗟にフーマは幻煙の術で回避、そのまま地上に降りた。しかしメルバの追撃は止まらず全身から闇の針弾を雨の様に降り注がせて傷付いたフーマに容赦なく浴びせる。針攻撃を全身に受けた彼のカラータイマーが赤く点滅して警告音が大地に響く。
「くっ……こんな時に……。私に戦う力があれば」
「不味いですね……。最初は青い巨人が優勢でしたが何かの力の影響で強化された巨大モンスターに押されています。それにしてもあの稲妻は一体……?」
(レストくん……)
その様子を展望台から戦いを見ていたフォルテとアーサー、マーガレットは焦った。フォルテは歯軋りするかの様に呟き、アーサーは先程メルバに降り注いだ稲妻の正体が何なのか考えている。そしてマーガレットは劣勢状態となったレストの無事を祈るしか無かった。
『うっ……こいつ!?』
追撃を受けて倒れたフーマはヨロヨロと立つもメルバが空から急接近、両目から高出力の破壊光線を発射した。フーマは避けようとするが先程のダメージで動くのは困難だ。
『うわぁぁぁっーー!!』
フーマは破壊光線をマトモに喰らい、背後から怪光線の追撃を受けて倒れた。何とか彼は片膝をつきながらも立って後ろに振り向く。
『ぐっ……』
「キシャァァァッーー!!」
フーマは正面から猛スピードで飛来するメルバを避ける力が無い。このままフーマが倒されると思った時、メルバの身体に急激な異変が生じる。
「キャオォォーー……!?」
何とメルバの翼が突然、崩壊すると同時に全身から真紅の稲妻が迸る。それにより軌道が逸れてフーマの横を通り過ぎ、地面に墜落した。肉体は急激な強化を代償に限界を超える急激なエネルギーの膨張に耐えきれずに崩壊を始めた。
メルバは肉体の崩壊に悲鳴を上げながら何とか立ち上がるも大きな隙を晒す事になる。
『セイヤァーー!!』
その様子を見た好機と捉え、フーマはタイガスパークから生成した手裏剣を蛇腹の如く連結させて光の剣を生成、振り下ろしメルバを真っ二つに切り裂く。
「ガギャァァァーー!!」
メルバは
「ふぅん、あの程度の力に耐えられんとは……使えんな。もっと強い器が必要だな」
彼はそう言い残してその場から立ち去る。何とかメルバを倒したフーマは空へ飛び去った。変身を解除したレストは先程の稲妻と強化された怪獣について考える。
「うぅっ、何とか倒せたけどあれは一体……?」
『分からん。しかし……あの力、とても禍々しい物だった』
『あの稲妻から微かだけどベリアルと似た力を感じたけど……』
疑問を呟くレストにタイタスは不明と話し、タイガはベリアルに似た力を感じたと其々の見解を述べる。
「取り敢えず一旦、街へ帰ろう」
レストは痛む身体を抑えてエスケープを発動して城の門前に移動した。
メルバが倒されて街の住人や観光客は落ち着きを取り戻すが不安が消えていない。これ以上、観光客に負担を掛ける訳にはいかないので取り敢えず他の街に移す事になった。無論、遠方から来た観光客は翌日の朝に送るそうだ。
人が閑散とした夜の城前にある広場にレストが帰還するとアーサー達が出迎えて心配していた事を告げる。それに対してレストは大丈夫、平気ですと笑顔で言ってサムズアップをして自室へ戻った。彼曰く、巨大モンスターの引き付けようしたら青い巨人が現れたので戦いの場に赴いたそうだ。
「いや~あんな巨大なモンスターがいたとは驚いたゼ! にしてもあの巨人は一体何だったんだ? 悪い奴じゃなさそうだけド……」
「レストさん……ご無事で何よりです」
「レストくん大丈夫でしたか。私や観光客への被害は無かったです。とは言えこのままにする訳にはいかなそうですね。此方でも巨大モンスターの対策を打たないと……。巨人達が街を守ってくれているとはいえ安心できないので」
ダグとフォルテは自室に向かって歩く彼の姿を見て呟き、アーサーはモンスター対策を本格的にする様に国王に相談する算段を考案しながら其々の家に帰宅する。マーガレットは無言でレストを見つめた後に家に走って戻った。
「ぐっ……背中の傷が……」
部屋に戻ったレストはベッドに倒れると同時に背中に付いた深い切り傷痕から襲う激痛に苦しむ。彼はあの戦いで負った痛みを笑顔で必死に隠していたがこれは街の人達に不安を感じさせない演技に過ぎなかった。
レストはウルトラマンと一体化しており一定の傷なら短時間で治癒可能だ。しかし今回は闇の力を纏った攻撃を短時間に連続かつ高威力の攻撃ばかりだったので治癒速度が遅い。
『すまない、レスト。俺がしっかりしていればこんな事には』
「大丈夫だよフーマ。君のせいじゃない。闇の力が原因だから……」
謝罪するフーマをレストは闇の力が要因であると諭すが痛みは止まない。その時、玄関の扉が開いて誰かが部屋に入って来た。
「レストくん、心配して来たけど。大丈夫じゃないみたいだね……」
「マーガレット!?」
部屋にマーガレットがやって来て驚くレストだがそれに構わず彼女は彼のベッドの近くに進む。そして彼の元に近付いたマーガレットは背中を見せる様に指示する。最初は平気だと渋るレストだったが彼女が放つ無言の圧力により已む無く身体を横にして背中を見せた。マーガレットはレストの背中を覆う服を捲し上げると彼の背中に刻まれたX字の傷跡を見て呟く。
「レストくん……やっぱり我慢してたんだね。強がりも程々にしないと駄目だよ」
彼女はレストに忠告しつつも手荷物から傷薬と包帯を取り出して応急措置を施し、癒しの魔法で痛みを軽減する。一連の作業を済ませたマーガレットは彼に耳元で囁く。
「レストくん、フーマさん。街を守ってくれてありがとう。無茶はしないでね」
「マーガレット……」
『すまねぇな、姉ちゃん。世話を掛けちまって……』
「私にできる事はこれぐらいだから気にしないで。レストくん、明日は病院に必ず行ってね」
「家まで送っていく……ぐっ!?」
マーガレットはレストの部屋から出ようとするとレストはベッドから立ち上がって彼女の家まで送ろうとしたが背中の痛みに顔を歪めた。
「送ってくれるのは嬉しいけど怪我人は大人しくすること。またね!」
マーガレットはそう言い残して彼の部屋を出た。彼女が居なくなった部屋でタイガとタイタスはふと呟く。
『お前を見ていると相棒の事を思い出すな。そいつは誰かを守る為に動く奴で熱血バカと言われていたけど……掛け代えの無い相棒だったな』
『うむ、君の戦う姿勢や熱い思いを見ると彼を思い出す』
その呟きを聞いたレストは彼等の相棒について尋ねようとしたが強烈な疲れと眠気がやって来たので深い眠りに着いた。
ベリアルスフィアはこの小説の独自設定です。
次回は幕間を執筆します。