ルーンファクトリー4×ウルトラマンタイガ ルーンの奇跡   作:ヴォーテクス

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今回はオリジナルウルトラタイガアクセサリーが出ます。


賢者と闘士の決闘(その2)

  決闘を申し込まれたレストは太陽に柱が重なる時を待っている。メロディストリートにある崖のベンチに座って考え事をしていた。

 

(柱の周囲に観光客や人が近付かないようにフォルテさんやアーサーさんから勧告があるから大丈夫だけど僕はあいつに勝てるのだろうか……)

「レストくん、どうしたの?」

 

 悩んでいる彼の元にマーガレットが声を掛けて近くにやって来た。彼女は偶然にも仕事の休憩がてらにメロディストリートを散歩していてベンチに座るレストを見つけたのだ。

 

「マーガレット……。いや、これは僕の問題だから」

「レストくん」

 

 レストは彼女に決闘を申し込まれた件について話そうとしたが自分の問題であると思って口を閉じる。しかしそれをよしとしなかったマーガレットは強い口調で彼の名を呼ぶ。

 

「悩み事があるなら相談して欲しい。隠し事をされるのはあんまり良い気がしないからさ。どうしても言いたく無いならそれで良いけど……」

「マーガレット……。実はーー」

 

 彼女はレストに悩みがあるなら自分に話して欲しいと訴えると彼はやむなく決闘を受けた件について話す事にした。レストが話す内容を真剣に聞いた彼女は暫し考える。

 

「そうなんだ……。私にできる事は殆ど無いと思うけど、君は何のためにこの街を守ってきたのか……。セルザウィードさんや住人達の事を想ってみたら負けないと思う。……レストくん、私は君を信じているから」

「マーガレット、ありがとう。君の言葉で何か見えた気がするよ!」

 

 彼女がそう言うとレストは立ち上がって堂々と答え、決闘の場所へ赴いた。

 

(レストくん、立ち直って良かった)

 

 彼の背中を見つめるマーガレットの顔に微笑みが浮かべる。レストは彼女の激励により覚悟を決めたのだ。

 

 

 

 

 

  太陽が柱の真上に登った時間、オレンジに染まる空を照らす夕日が二人の戦士が前に立つ。これから二人による死闘が始まる。

 

「さぁ、互いの名誉と誇りをかけた決闘……始めよう!」

「お前の挑戦……受けて立つ!」

《カモン!》

 

 グレゴール人は右手を上げると共に怪しい光に包まれる。レストはタイガスパークを起動してタイタスのキーホルダーを左手に持って掲げた。

 

「力の賢者、タイタス!」

 

 キーホルダーを右手に持ち変えて腰を落として右腕を空に突き出すと同時に叫ぶ。

 

「バディィ……ゴォォーー!!」

《ウルトラマンタイタス!》

 

 マーブル状の光からタイタスが飛び出して地面に降り立った。タイタスの正面にグレゴール人が嘗て地球で戦った戦士、ウルトラマンダイナを模したニセウルトラマンダイナの姿で待機している。

 その色は赤と黒が特徴のタイタスとは異なる。青と銀に彩られており目の下に隈と身体に金のラインが入っていた。二人の巨人が現れると同時にセルフィアの上空に黒い円盤が飛来して空中にスクリーンを投影。そこに映る映像をセルフィアの住人達は興味深々に眺めている。

 

(レストくん……)

(レストさん……ご武運を祈ります)

 

 マーガレットとフォルテはタイタスを見ながら心の中で祈りを捧げる。二人はリング内で構えて動きを伺っているとニセダイナが先制、素早く右手から黒い楔型の光弾【ダークスラッシュ】を放った。

 

『アストロビィィーーム!』

 

 タイタスは額から星型の光線を発射して光弾を相殺。ニセダイナは次に腕を十字に組んで放つ光線【ダークソルジェント光線】を即座に繰り出す。

 

『ロッキングフレア!!』

 

 タイタスは負けじと左掌から強烈な光波熱線を放出、ダークソルジェント光線に衝突して拮抗した後に爆発。互いに繰り出した光線は消え去った。

 

『光線対決は互角という事か……。ならば、これならどうだ!』

 

 光線対決が引き分けとなったタイタスは格闘戦を仕掛けるべく大地を蹴って走り、ニセダイナに接近してショルダータックルを繰り出す。

 

「フンッ!」

 

 ニセダイナはタックルを身体を軽く横に反って回避、すれ違う瞬間に左手刀をタイタスの首の後部に叩き込む。手刀を喰らったタイタスはよろけるが直ぐに右腕を振って反撃、ニセダイナは両腕でそれを受け止めた。

 

『ぐっ……。こいつ、かなりの手練れだ!』

「シュアァァッ!!」

 

 タイタスの腹に右回し蹴りを撃ち込んで怯ませて胸に左拳を叩き込み、右ヤクザキックでその巨体を蹴り飛ばす。連続攻撃に圧倒されそうになるタイタスだが両手で地面を思い切り叩き、反動を利用して起き上がって叫ぶ。

 

『賢者の拳を受けてみろ!』

 

 右拳に力を込めたタイタスは賢者の拳(ワイズマンズフィスト)を繰り出すとニセダイナの腹に直撃する。強烈な攻撃を喰らって怯む仕草を見せるもニセダイナは直ぐに態勢を立て直し、右フックで反撃した。

 

『なんの!』

「ハァッ!!」

 

 タイタスはこの攻撃を左腕を前に出して防ぐも左回し蹴りを脇腹に喰らってしまった。強固な肉体を有する彼だがニセダイナは急所に攻撃を的確に当てており確実にダメージを喰らわせている。

 

「テァッ!」

『ぐぉっ!?』

 

 ニセダイナはタイタスの鳩尾に鋭い右貫手を差し込んで痛撃を与えて動きを止め、頭に左ストレートを叩き込む。顔面に拳を受けたタイタスは大きく後退、痛みに悶絶するがニセダイナの猛攻は留まる所を知らない。

 

「エァッ!」

『ぐぅっ!?』

 

 空に跳躍したニセダイナはタイタスの両肩を連続で踏みつけ、ダメージを与えて最後の一撃で顎を思い切り蹴り上げる。

タイタスの身体が宙に浮くと同時にニセダイナはドロップキックで巨体をリングの外側に押し出した。

 

『がはぁっ……。これは強烈な電流か!?』

 

 彼の背中に強烈な電流が迸ると共に地面に倒れて呟いた。ニセダイナは倒れるタイタスに挑発する仕草を見せて冷静さを失わせようとする。

 

『私に挑発とは……舐められものだな』

 

 タイタスは安い挑発を一蹴するがニセダイナの狙いは彼を挑発にのせる事ではない。一瞬の隙を付いてタイタスに接近して鳩尾に強烈な右フックを叩き込む事が目的だった。

 

『くっ……。敵ながら見事だ』

「タイタス、お前は強いがこんな物では無い筈だ。お前の本当の力……見せてみろ!」

 

 タイタスはグレゴール人の戦闘能力を称賛する。しかしグレゴール人はタイタスの潜在能力がある事を指摘して距離を取った。

 

「タイタスさん、頑張って!」

「皆さん、聞いて下さい。この街に襲う脅威を救った彼……タイタスに今こそ声援と勝利の声を届けましょう!!」

 

 マーガレットが彼に声援を送るとフォルテは住人達に声援を発するように告げる。しかし住人達は困惑するがその間にもタイタスは防戦一方になる。ニセダイナの攻撃を喰らっても彼は何度も立ち上がり続けた。

 タイタスのカラータイマーが点滅して膝を付く。彼の限界が迫るも闘志は消えない。それを見たニセダイナは自分がこれを求めていたと歓喜の声を発した。

 

「そうだ……それで良い。お前の本当の力を引き出して見せろ!!」

『そうだ……。我々には守るべき物がある……。ここで立ち止まる訳にはいかん!!』

『「そうだ……。ここで倒れてなんかいられない……!」』

「タイタス!タイタス!タイタス!タイタス!」

「タイタス!タイタス!タイタス!タイタス!」

 

 住人達がタイタスを必死に応援する声が届いた二人は再び立ち上がった。

 

『レスト、私と君の力を合わせて戦おう!』

「分かった! 行こう!」

《BGM:WISE MAN’S PUNCH》

 

 タイタスはレストと共に戦う決意を固めて両拳にレストが作った武器である賢者の拳を装備してニセダイナに反撃を開始。一瞬で間合いを詰めて鋭い一撃の縮地法がニセダイナの腹に直撃、その守りを貫通してダメージを与える。

 

「グハッ……!?」

『まだだ!』

 

 怯むニセダイナにタイタスは片腕で彼の肉体を上に持ち上げて地面に思い切り叩きつける。そこからニセダイナを両手で掴んで立ち上がらせ、強烈な左膝蹴りを腹に入れた。

 

『鍛え上げられた肉体の力を受けてみろ!』

「グゥッ!?」

 

 攻防が逆転したタイタスは両腕を胸の前で交差させてクロスチョップをニセダイナの胸に撃ち込み、右肩で体当たりを繰り出して地面に打ち倒す。

 

『私達のウルトラマッスルの全力……見るが良い!!』

 

 地面に倒れたニセダイナを両腕で持ち上げて背部に自身と共に叩き付ける投げ技【マッスル・スープレックス】を喰らわせた。ニセダイナが立ち上がると同時にタイタスは腹に左反転蹴りを撃ち込む。彼はさらに拳のルーンアビリティ【ダブルキック】をニセダイナの脇腹に連続で叩き込んで追撃する。

 連続攻撃に圧倒された隙を突き、タイタスは片腕で持ち上げてニセダイナをリフトアップで地面に投げ飛ばした。満身創痍になった彼は立ち上がり、決着を付けるべく互いに走り出す。これが最後の激突となる。

 

「シュアッ!」

『ヌゥン!!』

 

 ニセダイナとタイタスが其々繰り出した右フックと左フックが互いの頬を掠めて相殺。そこからニセダイナは左ストレート、タイタスは渾身の右ストレートを全力で放った。

 一瞬の静寂が決闘場を支配して観客達は息を飲んで見守る。タイタスの右ストレートがニセダイナの頬に直撃、ニセダイナの拳は紙一重でタイタスの頬の前で止まっていた。

 

「やったーー!!」

「お見事ですぞぉぉ!!」

「やったゼ!」

 

 住人達の歓声が響くと共にニセダイナのマスクに亀裂が入る。それと同時に変装が崩れてグレゴール人は本来の姿をさらけ出す。自身の姿が露になった彼は降参してタイタスに告げる。

 

 

「見事だ……ウルトラマンタイタス、私の敗けだ。この先の戦いは過酷になるやもしれんが君達なら越えられるだろう。これを持っていくが良い」

 

 グレゴール人はそう言うとタイタスに自身の力を宿した指輪(ウルトラタイガアクセサリー)【グレゴールリング】を授ける。彼は指輪を渡して上空に発生させたワームホールに黒い円盤を率いて飛び去った。

 

『グレゴール人……彼は誇り高き武人だった。また手合わせしたいものだ』

「そうだね……」

 

 タイタスはグレゴール人とまた手合わせする事を誓った後に夕焼けが照らす空の彼方へ飛び去る。

 変身を解除したレストは街の展望台から沈む夕日を見送りながら呟く。

 

「今日はありがとう。タイタスのお陰で勝てたよ」

『礼を言うなら私の方だ。君と仲間達の応援があったから勝てた。応援する意志は我々に限界を超えた力を引き出してくれる』

 

 レストの御礼にタイタスはそう返す。そこにマーガレットとフォルテがやって来て声を掛ける。

 

「レストくん、大丈夫だった?」

「レストさんご無事でなによりです。怪我はありませんか?」

「僕は大丈夫だよ。心配してくれてありがとう、二人とも。これからポコリーヌキッチンへ食事に行くけどどうかな?」

 

 彼は夕飯を摂る為にポコリーヌキッチンへ行くことを提案すると賛成した彼女達はレストの後を追った。彼等の戦いはまだまだ続く。




  オリジナルウルトラタイガアクセサリー解説

・グレゴールリング
 グレゴール人の顔が彫られた指輪。使用すると格闘能力が一時的に上昇する。トレギアは関与していないので闇の力やリングに依存する作用は無い。

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