ルーンファクトリー4×ウルトラマンタイガ ルーンの奇跡   作:ヴォーテクス

17 / 27
忍者と覇者の死闘(その1)

  グレゴール人が宇宙に去ってから数日後、畑仕事を終えたレストは久しぶりに旅館の風呂に浸かっていた。ここ最近は休憩する間もなく戦い続けており彼の肉体と精神に疲労が蓄積していたのだ。

 

「ふぅ~……久しぶりに風呂に入ると癒されるなぁ~」

『この旅館の風呂は気持ちいいな!』

 

 レストが呟くとその隣にフーマの幻影が出現して風呂に入って入り心地の良さを讃える。

 

「それにしても連続で怪獣や宇宙人の襲来が続いているから休まらないよ」

『同感だ。だが風呂に入るとそれを忘れられそうだ。俺の先輩ウルトラマンのオーブさんにもここの風呂は心地好いと伝えよう。あの人は風呂に入るのが好きだからな』

 

 

「なるほど、ウルトラマンという種族は基本的に風呂には入らないっと。個人の資質によるといった所か。因みにフーマはこの旅館の温泉は気に入ったか?」

『そうだな……俺はこの旅館の銭湯は気に入ったぜ。また入りたいな。たま~にここへふらっと訪れて入りたいぜ。その時はお前と一緒にな!』

 

 フーマは堂々とレストに宣言するも当人は首を傾げる。

 

「フーマ、僕は何も言ってないけど……?」

「あれっ? お前がてっきり質問しているかと思ったけど」

 

 彼等は何処からか聞こえた声に立ち上がって警戒すると後ろから声が響く。

 

「それは何よりだ。ここ最近のアンタはかなり無茶をしていたからな……」

 

 レストは後ろから声が聞こえて振り向くと水色の長髪と狐耳、尻に狐の尻尾が生えた竜の神官を勤めていた青年【レオン】が既に風呂に入ってきた。

 

「レ、レオンさん!? いつの間に……?」

「ついさっきな。アンタが誰かと会話をしている声が聞こえてな。その話相手は最近、噂になっているあの巨人の一人か? なぁに、誤魔化す事は無い。これでも俺は口は固いからな。安心しろ」

「安心しろって……。フーマ、レオンさんにこの事を大丈夫かな?」

『あの手合いに誤魔化しは通用するとは思えねぇが……。くそっ、俺のミスだ。俺達の会話が盗み聞きされていた以上、隠すのはほぼ無理だ。しかもこっちの会話が丸聞こえかつ俺の存在を認識できる奴が他にもいるとは……。こうなれば俺達の事を話すしかなさそうだな』

 

 観念したフーマとレストはタイガとタイタス、フーマと知り合った経緯とセルフィアで起きている異変に関して一通り説明をした。

 

「なるほど、この街に迫る未曾有の危機をアンタ達が対処しているということか。それでその事はアーサーに話したのか?」

「アーサーさんにもこの件は既に話しています。僕がウルトラマンに変身できる事は隠しています。しかしフォルテさんとマーガレット、ドルチェとコハクに知られましたが」

 

 セルフィアの真の王子であるアーサーに話しているかと質問したレオンにレストはそう答えた。ウルトラマンの正体は安易に明かして良いものではない。下手に知られると怖がれるだけでなくこの街を危険に晒す可能性があるからだ。

 

「そうか、俺にできる事は多くないということか……。だが街の近くに怪獣が出た時は住人や観光客の避難誘導をしてアンタ達の戦いに巻き込まれないようにすることならできそうだ」

「それだけでも充分です。ありがとうございます」

『俺にとっても助かるぜ。ここ最近は街の近くで怪獣が出る頻度が多くなっているからな。この街にいつ直接的な被害が出るか分からないからな!』

「なぁ~に、俺はアンタ達の邪魔にならないようにしているだけだからな。礼を言うのはこっちの方だ。くれぐれも無理はしないようにな……」

 

 レオンは彼等が戦う理由を知って自身にできる事は殆ど無いことを愚痴る。しかしそれがレスト達にとって助かっている事を知った彼は無茶はしないように忠告した後に風呂から出た。

 

「ふぅ~冷や冷やした。僕がウルトラマンになっている事を内緒にしてくれて良かった~」

『俺も一時はどうなるかと思ったぜ。これからは無闇に話をしないよう、肝に命じよう』

 

 二人は今後のやり取りに注意を払うと戒めて風呂から出て脱衣場で着替えて旅館のロビーに続く階段を下る。その途中でこでほんわかでおっとりした親しみのある雰囲気を醸した女性の【リンファ】に話し掛けられた。

 

「お客様がドロだらけになって帰っていらしたんです。紅葉古道でパァムキャットの群れに追いかけられたって……。そのおかげで、家のお風呂は大繁盛だったんですけど、やっぱり心配ですね~。どなたか、八匹ほどでいいのでこらしめてきてくれないでしょうか~」

 

 ふんわりした口調で彼女はレストにモンスター退治の依頼をすると彼はすぐに引き受けた。早速、レストはパァムキャットがいる所へ向かおうとした時、リンファに呼び止められた。

 

「レストくん、気をつけて下さい。お客様の話しによりますとそのパァムキャット達は目が赤くて凶暴化しているとのことです」

「分かりました。ありがとうございます!」

 

 彼女はパァムキャットが凶暴化している事を告げると彼はお礼を言って旅館から飛び出した。レストは旅館の近くにある飛行船へ向かおうとした時、ディラスに釣りをしないかと誘われた。

 

「よっ、レスト。これから俺と一緒に釣りをしないか?」

「ディラス。誘ってくれて嬉しいけど僕はこれから紅葉古道に行ってパァムキャットを退治しに行くんだ。また今度、誘ってね」

「そっか……忙しい時に声を掛けて悪かったな。紅葉古道か……最近、あそこにいるモンスター達が凶暴化しているから気をつけろよ」

「分かった。じゃあまたね!」

 

 ディラスはレストが走り去る背中を見て不吉な予感を一瞬、感じるも気のせいだと思って釣り場の竜の泉に足を運んだ。

 ディラスの心配を他所に紅葉古道へ着いたレストはパァムキャットを探すべく進んで行くと黄緑色のキノコ型モンスターのトリッキーマッシュに遭遇した。このモンスターは毒粉等を撒き散らす厄介な奴だが彼の敵ではない。

 

「そこだ!」

 

 レストは右掌から風の刃を放つ魔法【ソニックウィンド】でトリッシュをあっさり撃退して先に進む。彼の道中に襲うモンスターはトリッシュやミーノ、フワリ等で彼は疾風ノ小太刀で素早く片付けるが件のパァムキャットは見当たらない。

 

「そろそろ見つかるとは思うけど……」

『この感じ……レスト、気をつけろ。奴らが来る……!』

 

 フーマが警告した瞬間、依頼を受けた八匹のパァムキャットに遭遇。その目が禍々しく赤い目をしていてこちらに強烈な殺気を放っている。リンファの言った通りでレストに容赦なく襲い掛かった。

 

「行くぞ!!」

 

 疾風ノ小太刀を構えた彼は片手剣のルーンアビリティ【パワーウェーブ】で目の前に立ちふさがるパァムキャットを一掃した。この技は剣先に気合を溜め、波動を放出する剣技で牽制として使っている。

 数匹のパァムキャットはこの一撃ではじまりの森に送還されたが残ったパァムキャットが疾走してレストに迫る。更に背後へ回り込むように数匹のパァムキャットは枝分かれしており彼の逃げ道は塞がれた。

 

「そこだ!」

 

 レストは回転しながら踏み込み、斬りつける片手剣のルーンアビリティ【ラウンドブレイク】で周囲のパァムキャットに反撃して背後から襲った連中を送還した。前方から襲った連中は吹き飛ばされるもまだ数匹残っており尚も彼に攻撃を仕掛けようと構える。

 

「これで終わりだ!」

 

 レストは攻撃される前に一瞬で間合いを詰め、一閃する剣技【ダッシュスラッシュ】で残ったパァムキャットをはじまりの森に送還。これでリンファから受けた依頼を達成して帰還しようとした瞬間、背後から殺気を感じとる。

 

『レスト、危ない!!』

「なっ!?」

 

 フーマの呼び掛けに反応したレストはその場で走って跳躍すると彼が立っていた場所に大きな爆発が生じる。すると爆煙からエゼルバードが突然、姿を見せた。

 

「今の攻撃を避けるとは、流石はアースマイト……。否、ウルトラマンの力を宿す者よ」

『レスト!』

「分かってる! エゼルバード、今度は一体何をするつもりだ!?」

「知れたことを……。汝をここで消す、それだけだ!」

 

 エゼルバードは目的を端的に告げると共にゲートリジェクトで灰色の布を被り、鎌を持った不気味なモンスター【ゴースト】を召喚。

 彼は右手に持った干からびた象の様な絵が描かれた怪獣のカプセルを起動してエーテルリンクを唱える。するとゴーストとカプセルが融合して巨大化、【忍者怪獣サータン】が出現した。

 

「行け、サータンよ。忌まわしきアースマイトを抹殺せよ!」

「ギャォォォッーー!!」

 

 サータンは大きな雄叫びを上げて近くにいるレストを踏み潰そうと歩き始めた。レストはサータンから逃げるように転がって回避、タイガスパークを起動する。

 

 

《カモン!》

「風の覇者、フーマ!」

 

 転がりながら左手に持ったキーホルダーを右手に持ち変えてフーマに変身して風を起こしながら巨大化した。

 

『さぁ、ここからは俺の出番だぜ!』

「行こう!」

 

 フーマに変身したレストは互いの息を合わせてサータンに挑む。ここに忍者と覇者の死闘の幕が上がった。




次回はフーマとサータンの本格的な戦いを書きます。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定
▲ページの一番上に飛ぶ  X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。