ルーンファクトリー4×ウルトラマンタイガ ルーンの奇跡 作:ヴォーテクス
インセクタスが出現する数時間前に遡る。レストは起きて日課である畑の手入れや作物の収穫と出荷を済ませて、飼育しているモンスター達のブラッシング作業をしていた。彼は乳牛に酷似したモンスターであるモーモーの毛を整えている。
「よし、良い子だ」
ブラッシングされた乳牛の様なモンスターのモーモーは気持ち良さそうに鳴き声を上げた。
『へぇ~モンスターを飼っているんだ。俺の父さんも小さい頃にドックンと遊んだりラビドッグを飼っていたな。でもどちらかと言えばセブンはカプセル怪獣を持っているけどそんな感じかな~』
『我々が滞在していた地球に似ている部分もあるな。とても興味深いな』
タイガとタイタスはモンスターを世話する彼の姿を見て呟く。彼等の星も他の生物をペットとして飼うという文化がある。しかし二人が滞在していた地球とは異なる部分が多くあるので興味を持っていた。
「この子たちはモンスターだけど紛れもない家族なんだ。こうして毎日、世話をしながら蓄産物を収穫して料理をしてプレゼントする事が僕の楽しみの一つだよ」
レストは収穫した畜産物の収集品に分類されているモンスターから取れる素材類を出荷箱に入れ、牛乳や卵といった食品類と出荷箱に入れなかった作物を自室に持ち帰る。
彼は拡張した自室の部屋で料理を始める。先程収穫した葡萄とオレンジと林檎、追加素材として苺をミキサーに入れてフルーツジュースを飼育しているモンスターの数だけ作った。
「これで完成!」
『やったな、レスト!』
『ハンドルを手動で動かしてあれだけの数を一気に作るとは……良い筋トレになりそうだ』
レストは作ったフルーツジュースを持って飼育小屋に赴きモンスター達にそれを与えると彼等はとても喜んでいた。それから他の小屋のモンスター達も同様にジュースを飲ませた。エサやりが終了した時刻は昼近くになっている事に彼は気づく。
「もうこんな時間だ。昼飯摂ってからダンジョンに行こう」
レストは小屋を出て自室に戻った時、この城で執事をしている女性【クローリカ】が急ぎ足で部屋に入ってきた。
「レストくん、大変です! 今すぐ展望台に来てください!!」
クローリカは珍しく慌てた様子だ。彼女は普段、眠そうな表情をしておりのんびりとした印象だが今回はそんな様子は全く無い。レストは彼女の状態を見てなにかを察知して街の展望台へ駆けつけると既にフォルテとアーサー、数人の兵士達が到着していた。
「あれは一体……」
「まさか昨日、出てきた巨大モンスターでは!?」
フォルテとアーサーは望遠鏡からインセクタスを見て圧倒されている。
「あれは昨日の……いや角や鋏の形が違う!」
『インセクタス、昨日倒した筈じゃ……』
『恐らく生き残りかもしれん。しかし、奴から感じる邪悪な気配……一体何なんだ?』
レストとタイガ、タイタスは昨日倒したインセクタスを見て違和感に気付く。実はあの時倒した個体は雌で絶命する間際に産卵していた。雄の角と鋏は黄色で大きく太い鋭い形をしている。
雌の遺体が持ち運ばれる前に短時間で孵化していた幼体は気配を察知されないように身を隠していた。そしてレストが街に戻った直後に偶然通りかかった旅人の男の体内に潜入していたのだ。男は寄生された影響で昨日、ポコリーヌキッチンで暴れていたに過ぎない。
「フォルテさんは住人の避難をお願いします。僕は奴の侵攻を食い止めます!」
「分かりました。レストさん、気をつけてください」
「レストくん、どういう事ですか!?」
レストはフォルテにそう告げて展望台から降りて行った。その会話が聞こえたアーサーは慌てながら止めようとするが既にレストの姿は無かった。
「行くぞ、タイガ!」
『おう!』
《カモン!》
レストはセルフィア平原に着いてタイガに呼び掛けるとそれにタイガが応じてタイガスパークを起動。タイガのキーホルダーを左手に持った。
「光の勇者、タイガ!」
キーホルダーを右手に持ち変えてそのまま掲げてタイガと共にレストは叫んだ。
「バディー……ゴォォッッーー!!」
《ウルトラマンタイガ!》
レストはタイガに変身して巨大化。街に近づくインセクタスを食い止める為にタイガは大地を疾走して跳躍、落下の勢いを利用して右飛び蹴りをインセクタスの顔面に叩き込んで着地。そこから右ストレートパンチと左チョップを打ち込んで追撃する。
『ここから先は絶対に行かせない!!』
力強く宣言するタイガはそれを示す様にインセクタスの前に立ちはだかる。インセクタスは邪魔者を排除しようと突進を仕掛けるがそれを見越していたタイガは前方に跳躍。後ろに回り込んだタイガはインセクタスの後頭部を左足で踏みつける要領で反撃する。そこから右回し蹴りと左ストレートを撃ち込んで追撃する。
インセクタスはこれ以上の攻撃を阻止するべく口を振動させて超音波を発生させる。すると上空から無数の昆虫と思わしき飛行物体がタイガの元に飛来してきた。
『うわっ!? 何だこれは……いてっ!?』
彼の全身を昆虫が覆い被さり、タイガの身体を痛め付ける。その苦痛に悶えるタイガは地面に伏してもがくが虫の大群が離れる様子は全く無い。それを良いことにインセクタスは虫の大群を操ってタイガに更なる苦痛を与えていく。駄目押しと謂わんばかりに鋏と角から電撃を照射してタイガを追い詰めた。
『うわぁぁぁっーーー!!』
倒れていて電撃を浴びているタイガは右腕を伸ばすも虫が纏わりつく痛みと麻痺により声を出すことが困難になっている。一方、苦戦するタイガを見たマーガレットは異様な高周波が聞こえている事に気付く。
(もしかして……)
「メグ、ここは危険なので早く逃げてください!」
その時、避難活動をしていたフォルテに避難するように声を掛けられた。
「フォルテ、私はウルトラマンを助けに行くよ!」
「何を言っているのですか!? とても危険です!」
「あのまま放っておいたらウルトラマンがやられるからあのモンスターの弱点を伝えに行くの!」
マーガレットの強い意思を感じ取ったフォルテは自分も同伴する事を条件に避難活動をセルフィアの兵士達に任せてタイガの元に向かった。
同時刻、纏わりつく虫の大群により苦しめられるタイガのカラータイマーが点滅して警告音を鳴らす。その時、フォルテとマーガレットが彼の元に息を切らせながら走ってやってきた。
「ウルトラマンさぁぁーーん! あのモンスターの顎から高周波が出ているの! そこを攻撃すれば虫の大群は止む!!」
マーガレットは大声でタイガに告げるとその声に反応したインセクタスは虫の大群をマーガレットの立っている所へ一斉に向かわせる。フォルテは彼女に手出しさせないと剣を構えて前に出るが圧倒的な数に刃先が震える。
『まずい!』
それを見たタイガは慌ててフォルテの前に滑り込んで咄嗟にタイガウォールを展開、間一髪の所で遮った。
『分かった!お前らは早く逃げろ!』
『レスト、話は聞いた。ここは私に任せてくれないか?』
タイガは彼女達に逃げるように告げると二人は街に急いで戻っていく。それを見届けるとタイタスは自身に交代するようにタイガに促すとレストはタイガスパークのレバーを引く。
《カモン!》
「力の賢者! タイタス!」
左手にタイタスのキーホルダーを持った彼は右手に持ち替えるとタイガスパークに付けられた球体が黄色の輝きを放った。そこから腰を低くして力を込めるとと共に右腕を天高く突き上げて叫んだ。
「バディーー……ゴォォッーー!!」
《ウルトラマンタイタス!》
タイタスに変身すると筋肉で構成された強靭な肉体で虫の大群を跳ね返し立ち上がった。タイタスはインセクタスの顎に狙いを定めて額のアストロスポットにエネルギーを貯めていく。
『星の一閃、アストロ……ビィィッーム!!』
黄色の星形光線を照射、インセクタスの顎に炸裂して大ダメージを与える。すると虫の大群が突然、一気に消え去った。マーガレットの予測は正解で高周波の発生源を破壊すれば虫の大群が操れなくなるのだ。
顎を破壊されて怒ったインセクタスは角から真紅の電撃を放つがタイタスは両腕を組んでそれ突き出して受け止めてそのまま歩いて接近。電撃を纏った両腕を上げて勢いよく振り下ろす。
『タイタス、プラネット……ハンマァーー!!』
インセクタスの顔面に渾身の
『賢者の拳は全てを砕く!』
彼は渾身の右ストレートパンチをインセクタスの左鋏に打ち付けてポッキリと鋏をへし折った。そこから左手で右鋏を抑えて左膝を叩き込んで残った鋏を粉砕。
『マッスル! マッスル! スーパーマッスル!!』
タイタスは追撃としてインセクタスの角に連続で右チョップを叩き込んで角を破壊。ボロボロになったインセクタスはフラフラの状態で立っているのが精一杯だ。
『止めだ!』
タイタスはタイガスパークから翡翠色の光球を生成、それを右拳で渾身の力を込めて殴り飛ばして叫ぶ。
『ブラニウム……バスタァッーー!!』
超速で飛んでいく翡翠色の
『デュアッ!』
「ありがとうございます!ウルトラマンタイタス!」
「ありがとう!」
インセクタスを倒したタイタスは空の彼方へ飛び去る。それを見たフォルテとマーガレットは大きく手を振って礼を述べた。
しかし怪獣の襲撃がこれから更に激しくなると誰も思わなかった。
次回は幕間でタイタスとフォルテの出会いと敵勢力の動向を書きます。