転生したらプリキュアだった件 ~助けてくれた女神様の世界をプリキュアになって守りたいと思います!~   作:Yuukiaway

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『ウェブ小説が送る大人のプリキュア』をテーマとした作品です!


勇者と魔王 編
01 異世界で変身!? 勇者のプリキュア キュアブレーブ!!


…なんで私

 

…こんなことになってるんだっけ……?

 

彼女の名前は夢崎蛍(ゆめざき ほたる)

どこにでもいる中学2年生 齢14の少女である。しかし、今は少し訳が違う。

 

気がつくと彼女は何故か辺りが全て真っ白の空間で漂っていたのだ。

何故こうなったのか、彼女は思い出せない。

 

 

…なさい。

 

…めなさい。

 

……目覚めない。夢崎蛍。

 

「………エエッッ!!?」

その一言で、彼女は跳ね起きた。

目覚めるとそこは、やはり同じ辺りが全て真っ白の空間だった。

声が聞こえた方へ振り返ると、そこには女性がいた。それでも彼女が驚いたのは、その女性が見上げるほどの体躯の持ち主であったことと、彼女の背中に明らかに翼が生えていたためである。

 

「…あ…、あなたは···?? っていうかここは……???」

 

「…落ち着いてください。順を追って説明しますから。」

その女性は全てを慈しむかのような笑みを浮かべてそう答えた。

 

 

「まず、あなたは死ぬところでした。」

 

…………………………エエエッッッ!!!!?

蛍は酷く驚いた。当然である。いきなり現れた見ず知らずの女性に【死】などというあまりにもストレートな言葉を聞かされたのだ。

動揺しないほうがおかしいと言うものである。

 

「…ってあれ?ちょっと待って下さい?

死ぬところ(・・・)だったってどういうことですか?」

「ええ。厳密に言うと、あなたは死んでいません。死ぬよりほんの少し早く、私がここに連れてきました。」

 

そう言われると少しづつ思い出してきた。自分は確か1人で下校する途中だったこと。

そして最後に見た光景は確か雨でスリップした軽トラックが自分に向かってくる光景だったことを。

 

「そうなんですか! ありがとうございます!! でもどうして…?」

「それはあなたに頼みたいことがあるからです。」

 

……私に? と、蛍は疑問を抱いた。自分など生まれ落ちて14年、大したことも出来ずにこの人生を過ごしてきたのだから。

 

「その頼みは………………………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

あなたに私の世界を守って欲しいのです!!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

………………ハァッッッ!!!??

 

 

 

 

 

「ああ、すみません。話しが急すぎましたね。順を追って説明します。」

 

(……いや急だから驚いてるんじゃないんだけど………)

蛍はそう言おうとしたが、自分が彼女に助けてもらったということが本当なら、下手に言うべきではない。

 

その女性の話はこうだった。

まず、その女性は蛍とは別の世界を統べる【女神】であること。

次に、とある【厄災】が人知れず彼女の世界を侵略しつつあること。

 

そして夢崎蛍に【プリキュア】になって欲しい

 

というものだった。

 

待って。話を整理しよう。

「…それって、異世界に行けっていうことですよね?」

「ええ。そうなりますね。」

 

さらに話を聞いていくと、その厄災の名前は【ヴェルダーズ】というらしい。大昔、その女神の世界の重要な人物達を陥れたのだという。

 

そして女神は蛍に異世界に行くにあたって【勇者】と【戦ウ乙女(プリキュア)】の職業を与えるのだと言う。

 

「…それから、あなたにこれを授けます。」

そう言って女神が胸の前で手を構えると、そこからピンク色の光が出てきた。

そしてその光から2つの物が出てきた。

 

1つは、何やら二つに開きそうな平たくて円いもの。

「それは、あなたが【戦ウ乙女(プリキュア)】になる決心が着いた時に開きます。」

 

もう1つは……

「……狐……?」

蛍はそう直感した。それは確かに黄金色の前髪があることを除いては、そのものずばりの狐だった。

彼女(・・)は【フェリオ】。これからのあなたの生活を手助けしてくれるでしょう。」

 

女神はそう言ったが、蛍にはまだ疑問があった。

「待ってください。そもそもどうして私なんですか?そんな大事なことは私なんかよりよっぽどいい人がいると思うんですけど。」

「それはあなたに【戦ウ乙女(プリキュア)】の素質を見出したからです。あなたはこれまで大したことをできずにいたでしょう?

だからこそいつか誰かのために何かがしたい。【戦ウ乙女(プリキュア)】とは、そういう心の持ち主にこそ向いているのです。」

 

そう言われて悪い気はしないが、蛍はさらに質問を続ける。

 

「じゃあどうしてあなたは何もしないんですか?」

「しないのではなく【できない(・・・・)】のです。

ヤツに…… ヴェルダーズに力をほとんど持っていかれてしまったのです。」

 

「……ヤツは本当に狡猾でした。私だけではありません。魔王や聖騎士などの有力者もみんなヤツの術中にはまってしまったのです。」

悔しそうな表情をむき出しにして女神は答えた。

 

「だから今の私にできることは、こうやって人に戦ウ乙女(プリキュア)の力を与えることだけなのです。」

 

……事情はわかった。しかし、そんな危険なことに関わることをこの場で決めるとなると話は別である。

 

「わかりました。じゃあその【戦ウ乙女(プリキュア)】のことを詳しく教えてください。」

 

 

 

 

 

女神の話によると、

戦ウ乙女(プリキュア)】とは【村人】とか【錬金術師】のような職業のひとつらしい。しかし長い間存在を確認されておらず、ほとんど忘れられており、ごく少数からうっすらと認知されている程度なのだという。

 

 

「…まあとにかく、あなたを私の世界に転生させることは決まっていますので、これから準備をします。

戦ウ乙女(プリキュア)になるかならないかはあくまでもあなたの自由なのでゆっくりと考えてください。」

 

そう女神が言うと、体が軽くなり、蛍の意識はだんだんと遠くなっていった。

 

 

蛍が目を覚ますと、そこはどこかの林だった。自分の部屋だという期待はなかった。彼女は自分に向かってくるトラックという死に際の体験をしっかりと記憶しているのだから。

 

………………ファ

 

ふいにどこからかそう聞こえた。

蛍が聞こえた方を振り向くと、黄金色の前髪を生やした狐のような生物が笑顔でこっちを見ていた。

 

「はじめましてファ! 蛍!」

 

……思い出した。この狐のような妖精は【フェリオ】。あの女神が彼女と呼んでいたのだから、雌 なのだろう。

口調からして、自分と同年代かと蛍は思った。しかし、自分の記憶が正しければ、この妖精は女神があの時生み出した(・・・・・)はずなのだ。いや、それともどこからか召喚してきたのか。

 

「ねぇ、フェリオ……だっけ?あなたって何なの?」

それからフェリオの長い説明が始まった。

 

 

 

 

要約すると、

フェリオは【戦ウ乙女之媒体(プリキュアトリガー)】という、プリキュアのパートナーになるために生まれた存在なのだという。

そして、プリキュアにはプリキュアを後何人か見つけることと、【戦ウ乙女(プリキュア)之従属官(フランシオン)】という配下を見つけるという役目もあるということも言った。

 

戦ウ乙女(プリキュア)之従属官(フランシオン)】とは、プリキュア1人につき1人から3人ほど仲間にできる人間であり、その人間を、【戦ウ乙女(プリキュア)之従属官(フランシオン)】というらしい。

 

 

「それより蛍、自分のステータスを確認してみるファ!」

「? ステータス? 何のこと?」

「いいからこうやって画面を開く(・・・・・)ファ!」

そう言ってフェリオがやった通りに手を内側に振ると、何やら黒に近い緑色のウィンドウが出てきた。

 

ステータスを確認すると、

 

名前:ホタル・ユメザキ

年齢:14

種族:人間族

性別:女

職業:一般人

贈物(ギフト):《解析(アナライズ)》 《言語理解(ヒエログリフ)

 

「……あれ?何で戦ウ乙女(プリキュア)が無いの?」

戦ウ乙女(プリキュア)は変身してる時にしか表示されないファ!それからこの贈物(ギフト)について説明すると…………」

 

 

 

 

 

 

 

 

贈物(ギフト)

それは、この世界に生きるものが努力の末に身につけられる能力のようなものである。

贈物(ギフト)》には種類があり、

 

 

普通贈物(ノーマルギフト):どんな人間も数週間の鍛錬で身につけられる。

蛍の《解析(アナライズ)》や《言語理解(ヒエログリフ)》はこれに該当する。

 

上級贈物(スーパーギフト):人間が何年もの努力を重ね得られる贈物(ギフト)

 

固有贈物(ユニークギフト):努力の結果身につけたオリジナルの贈物(ギフト)

見つけることは上級贈物(スーパーギフト)を身につけるより難しいとされている。

 

特上贈物(エクストラギフト):選ばれた人間が気の遠くなるような努力の末に身につけられる贈物(ギフト)

鍛えれば究極(アルティメット)贈物(ギフト)にも匹敵する。

 

究極(アルティメット)贈物(ギフト):ごく稀に見つかる贈物(ギフト)

その名前は神々の名前を持つ。

 

 

……というのがフェリオの説明の内容だった。

 

「つまり私はこの解析(アナライズ)で人のステータスを見れて、言語理解(ヒエログリフ)でこの世界の文字が読めるってことでいいのよね?」

 

フェリオが答えようとした瞬間、

 

 

 

ドオオッッ!!!!

 

 

 

 

っというものすごい音が林に響いた。

 

 

「何!?今の音!!?」

「行ってみるファ!」

そうして蛍はフェリオと音のした方へ林の中を走っていく。

そうして林の中の草原へ出ると、目を疑うような光景が飛び込んできた。

 

甲冑に身を包んだ人間…兵士のような人間が4、5人戦っていた。それだけならまださほど問題は無いが、問題はその相手である。

 

相手は木の怪物(・・・・)だったのだ。

丸太に悪魔のような顔と手足があり、胸には何やら禍々しい魔法陣が書かれていた。

 

「なんだ君は!? ここは危険だ、離れなさい!」

蛍に気づいた兵士の1人がそう言った。

 

「……何なの?あれ…………?」

「蛍!解析(アナライズ)ファ!」

 

フェリオに言われた通りに蛍は兵士に手をかざした。

 

名前:トム・シルバ

年齢:26

種族:人間族

性別:男

職業:兵士(ソルジャー)

贈物(ギフト)破突(ブレイク)

 

というステータスを示すウィンドウが蛍の前に出てきた。

 

「それは解析(アラナイズ)贈物(ギフト)は持っているようだがそれじゃあ危険だぞ!早く離れるんだ!」

 

「は、はい!」

そう言って蛍はトムという兵士の言う通りにその場を離れた。

 

 

 

「……さっきのが解析(アナライズ)ってことでいいんだよね?」

「そうファ! ちなみに私が解析して欲しかったのはあの兵士じゃなくてあの怪物のほうファけど………」

「そうそう!あれって何なの!?」

 

「あれは【チョーマジン】という、ヴェルダーズの力を持って生まれた魔物 ファ!」

「魔物!!?」

「そうファ。何年か前からこの世界の物や動物や植物を元にして生まれているファ。それで、さっきみたいにこの世界の力を持った人間でも一応(・・)太刀打ちはできるファけど………」

「けど?」

「その場合、倒せても元になった物は完全に壊れてしまって、動物や植物は死んでしまうんだファ!!!」

「!!!?」

「だから、戦ウ乙女(プリキュア)が必要なんだファ。戦ウ乙女(プリキュア)の力ならチョーマジンの元を壊さずに浄化できるんだファ!!!」

 

「……やるよ。」

「?」

「…そういうことなら私、やるよ。戦ウ乙女(プリキュア)になる。だって、それができるのは私しかいないんでしょ?」

「本当ファ!?」

「うん!!!!」

 

その言葉に反応するかのように、彼女のポケットからピンク色の光が溢れ出てきた。

ポケットから取り出したものは、あの女神がくれた平たくて円いものだった。もしかしたらと思って力を加えてみると、それは何の抵抗もなくパッカリと開いた。

 

「…これは?」

中にあったものは、細く隙間のある台形の立体……確か錐台とか言ったはずだ。

 

そして、蛍はいつの間にか手にあるものが握られているとこに気付く。それはとても小さいピンク色の剣だった。黒ひげ危機一髪で見るようなサイズの剣が握られていた。

 

「それは【ブレイブ・フェデスタル】ファ!剣をその隙間に差し込むんだファ!!!」

「わかった!!!」

 

 

《プリキュア・ブレイブハート》!!!!!

その掛け声と共に、蛍の体は淡いピンク色の光に包まれていく。

そして、彼女の髪の毛や服装がどんどん変化していく。

 

 

彼女の濃いピンク色の髪は透き通るような金髪へと変わり、ショートからロングのテールへと変わっていく。

服装も変身前の一般的な服からどんどんと変化していく。

 

今、人々に忘れられていた戦ウ乙女(プリキュア)が復活したのだ。

 

彼女の名前は━━━━━━━━

 

 

 

 

みなぎる勇者の力

 

《キュアブレーブ》!!!!!


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