転生したらプリキュアだった件 ~助けてくれた女神様の世界をプリキュアになって守りたいと思います!~   作:Yuukiaway

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107 ルール無用の一騎打ち! 仕掛けられた粉塵の罠!!

孤立した。

十体近く確保した戦力も失い、ハジョウは一人 森の奥深くでキュアレオーナと相対した。

 

しかし、冷静さは失っていない。

彼はまだ奥の手を残していた。

 

 

 

***

 

 

 

「言っとくッスけど、 あんたのサラッサラになる贈物() もう役に立たないっスよ。

どれほど細かくなろうとも この矢をぶち込んでやるんスから!!!!」

 

レオーナには確固たる自信があり、有利(アドバンテージ)があった。

自身の解呪(ヒーリング)を纏わせた矢はハジョウの両手に刺さり、魔法陣を作る事を阻害している。

 

ハジョウにはチョーマジンを作ることは出来ないという絶対的有利がレオーナにはあった。

 

 

弓の使い手と1対1で戦う場合には有名な対策がある。それは、間合いを潰して至近距離で戦う事だ。

ハジョウもそれを理解しており、レオーナが矢を装填するより先に地面を蹴って強襲する。

 

「!!!」

「誰に矢を打ち込むって?!」

 

この不意打ちに面を食らい、ハジョウが放った()()()()()()()()をかろうじて躱す。

 

「…………!!!」

 

レオーナはハジョウの両手に握られていた意外な物に動揺した。

それは()だった。

しかしただの扇ではなく、金属特有の光沢を放って両手に収まっていた。

 

「さっきの君の矢を操る究極贈物(アルティメットギフト) 名前はなんて言ったっけ?

もうさっきみたいなヘマはしない。」

「……………!!」

「さぁ 撃ってきなよ。

全部 叩き落としてやるからさ!!!」

 

ハジョウは悠々と二対の扇を構えた。

しかし、彼の奥の手はまた別にある。 レオーナはその事を知る由もない。

 

「だったら 弾き切れないくらい ぶち込んでやるっスよ!!!!!」

 

ハジョウの挑発通り、レオーナは弓から大量の矢を放った。

大量の矢は弧を描いて四方八方から飛んでくる。

 

それでもハジョウは冷静に扇を使ってその矢を全て叩き落とした。

そこに無駄な動きは一切なく、戦ウ乙女(プリキュア)になったばかりのレオーナにも 長年 ヴェルダーズの元で戦ってきた経歴を思い知らせた。

 

「………………!!!

だったらこれなら!!!!

 

!!!??」

 

間髪入れずに次の矢を放とうとした瞬間、目の前の視界が歪み、レオーナは堪らず膝をついた。

 

それを見てハジョウは心の中でほくそ笑んだ。

 

始まった と。

 

「………………!!!?

な、何すかこれ………………!!!」

「あれ? どうしたの 戦ウ乙女(プリキュア)

もしかして ()()()()?」

「!!!」

 

【息苦しい】

その言葉でレオーナは気がついた。 ハジョウの身体から少しだけだが粉が舞っていること そしてそれが周囲に蔓延していることを。

 

「ま、まさか………………!!!」

「まあそういうことだよ。

貰ったばかりの君には()()として1つ教えてあげるよ。

贈物(ギフト)》は使いようだよ。」

「!!!」

 

その一言で確信した。

ハジョウは今 自分の周囲に風塵之神(フウジン)の粉を蔓延させているのだ。

 

「分かったみたいだから教えてあげるよ。

僕の身体から出る粉は吸うとかなりヤバイ代物でね 君はまだ少しだけだから立ってられないくらいで済んでるけど、大量に吸うとそれだけで死にかねない。

まあ さっきまで僕達のことも贈物(ギフト)のことすらもほとんど知らなかった君なら無理も無い話だけどね。」

「…………………!!!!」

「ああ。 それからもう1つ言っておかなきゃ。」

 

淡々と話を続けるのを遮って思い出したかのように柏手を打つ。

 

すると、森の木の葉が揺れてガサガサ と音が鳴った。

 

「!!!!」

「勘がいいね。 もう分かっちゃった?

まぁ そういうことだよ。」

 

森の木を掻き分けて現れたのは数十体チョーマジンの大群だった。

その姿は鳥だの獣だのを象っている。

 

「ホントはギリスやリルアに使うはずだったんだよね。

リルアが解呪(ヒーリング)を使い果たした後にこいつらを差し向けてヤツらの首を取る算段だったのに、君のおかげでかなり狂わされたよ。

まあ 生まれたばかりの脅威を潰せれば 大目玉は食らわないだろうけどね。」

「…………………!!!!!」

 

レオーナは悔恨の思いでハジョウを見ていた。

自分の作戦が全て読まれていたこと 有利に立ち回れている事が全て(演技)だった事 それら全てがレオーナの心を抉った。

 

「言っておくけど、卑怯なんて言わないでね。

これはルールなんてない始末命令だし、それに何よりこれこそ君が望んだ状況でしょ?

冒険者 【ミーア・レオアプス】」


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