転生したらプリキュアだった件 ~助けてくれた女神様の世界をプリキュアになって守りたいと思います!~ 作:Yuukiaway
カーッ クーッ
蛍がベッドで熟睡している。
現在はまだ夜の9時過ぎだ。
彼女の向こうでの生活習慣がどんなものだったかは知らないが、随分早い夜だと思ったが、今日は朝から歩き続けて都市へ行き、さらにそこから洞窟でホブゴブリンと交戦したのだ。
ギリスはまだ寝ない。寝れないのだ。
「ギリス、まだ寝ないファ?」
「馬鹿をいえ。まだ9時をすぎたばかりだぞ。
……と言っても、こんな自分が情けない。」
「ファ?」
「だってそうだろ?
私はまだこんなにピンピンしてるのに、蛍は既にヘトヘトだ。魔王であるこの俺があんな女に重荷を背負わせているんだ。
つくづく自分の無力さが嫌になるよ。」
「そういうことファ………」
「…そうだ。
「簡単ファよ。」
ゴトッ
フェリオは机に占いで使われそうなサイズの水晶を置いた。
そして水晶から何かが浮かび上がってくる。
それは蛍に
「……久しぶりね。魔王ギリス君。
ヴェルダーズにハメられてからの生活はどうだったかしら?」
「!!!?」
開口一番、女神は魔王に煽るようなセリフを吐いた。
その唐突な言葉にフェリオはひどく驚いた。
「……俺だけがハメられたみたいな言い方をするなよ。女神 ラジェル。
貴様こそヴェルダーズの力でこの世界から叩き出されて何年も異世界ぐらし。まるで田舎でぼそぼそと生活する老婆のようじゃないか?
ここからじゃ貴様の面に小じわが増えてないか確認出来ないのがもどかしいよ。」
『ちょっとギリス!!! なんてこと言うファ!!!!』
無論のこと、フェリオは女神ラジェルと魔王ギリスが不仲であることはわかっていた。しかし、ここまで険悪になっているとは想定外だった。
女神 ラジェル
女神と言うが人智を超えるような存在ではなく、魔王のように普通の人間でも接触が可能な存在である。
しかし今はヴェルダーズの術中にはまり、別世界での生活を余儀なくされた。
そこで彼女は忘れられた職業である
そして彼女は元の世界に戻れない自分の代わりに職業のエネルギーと自分のエネルギーを使った生命体を作ることにした。それがフェリオ達
例えばフェリオは勇者のエネルギーと女神ラジェルのエネルギーから生まれた存在なのである。
「…それで、わざわざ私を呼びつけた用って何かしら?」
「相変わらず神経に障る女だ。
…まぁいい。なんであんな女を
「どういう意味かしら?」
「そのままの意味だ。なんであんなちっぽけな女にヴェルダーズを倒すなんていう重荷を背負わせたんだと聞いているんだ。」
「愚問ね。
彼女こそが勇者にふさわしいと私が判断したからよ。」
「勇者は神が選ぶ存在だと言うが、貴様の目も腐り果ててしまったらしいな。」
「…じゃあなんで、あなたは彼女のお世話なんてしてるのかしら?」
「…あいつは異世界者なんだ。あいつを理解できるのはこの世で俺しかいない。だったら俺が面倒見るしかないだろ。」
「…あなたの方こそずっと子供の格好で過ごしてロリコンにでもなっちゃったんじゃないの?」
「……ヴェルダーズの前に貴様の喉からかっ捌いてやろうか?」
2人とも干渉できないのをいいことに、女神も魔王も罵りあっている。
お互い長年の隠遁生活のせいでストレスが溜まりまくっているのだろうとフェリオは結論づけた。
「……それで、後 何人必要なんだ?」
「すぐに戦える
クエストにうつつを抜かすのも結構だけど、早く
「……2人目の目星ならつけてある。貴様もよーく知ってる女だ。」
「へぇ。誰かしら?」
「俺の同期、
リルア・ナヴァストラだ。」
「あぁ! リルアちゃん!
懐かしいわね。
「……あの、ギリス、そろそろ水晶の効果が切れるファ。」
「そうか。
それじゃあな。一生そこで1人寂しく過ごしていろ。」
「あなたこそその力の抜けた格好の方がずっと魅力的よ。」
最後まで悪態をつき合って一触即発の話は終わった。
途端にフェリオの腰が抜けた。時間にしたら10分にも満たないはずの会話がまるで何十時間にも感じられた。
蛍はこんなにギスギスした空気のそばでも構わずに熟睡している。
ギリスはその隣のベッドに横になった。
「…ギリス、もうちょっとラジェル様と仲良く出来ないファ!?」
「…貴様、俺に
それと前から貴様のその口の利き方も気に入らなかったんだ。ラジェルと同格の俺に対してのな。」
「……分かったファ。ごめんなさいファ。」
そう言ってフェリオも蛍の隣に横になった。ギリスは今機嫌がすこぶる悪いからこんなに冷たいんだと結論づけた。
「…それから、明日にはもうこの都市を出るぞ。リルアを探しに行くんだ。
…おい、聞いてるのか?」
フェリオはもう眠りについていた。
「………………」
(全く、昔の友達とあんな大人気ない喧嘩をした挙句 無関係のヤツにあんなに冷たく接するとは………)
なあ、ギリス。
一体お前のどこが魔王だというんだ?
その質問に答える者がいるはずもない。
睡魔が彼の意識を奪うまで、ギリスはベッドの上で虚しい時間を過ごすこととなった。