転生したらプリキュアだった件 ~助けてくれた女神様の世界をプリキュアになって守りたいと思います!~ 作:Yuukiaway
「裏切り者ですって!!?
一体どういう事ですか!!!?」
ハルネンの反応は妥当といえる物だった。
このアルカロックは極悪な囚人を閉じ込め、全世界の市民に安心を与える いわば【正義の要塞】と言える場所であり、裏切り者など決して存在してはいけない。
今のハルネンの頭にはおそらく【犯罪組織と通じている人間がいる】といった思考が過っているところだろう。
通じているのは犯罪組織ではなくもっと恐ろしい存在である事を厄災ヴェルダーズの名前を伏せて伝える必要があった。
「落ち着いてください。 順を追って説明しますから。」
「あ、ああ。そうですか。
取り乱してすみません。」
落ち着きを取り戻したハルネンに対し 彼が裏切り者である可能性も視野に入れて慎重に話を進める。
「……最近 巷で動物や人間が突如 紫色の魔物に変化するという話は聞いた事ありますか?」
「………はい。それは聞いております。」
「では、こちらを見て下さい。」 「?」
ハッシュは懐から水晶を取り出した。
そこにはアルカロックがある島を中心に半径数キロ範囲の地図が記録されている。
そして、アルカロックのある島に大量の赤い点が置かれていた。
「これは一体………?」
「これは僕達
そして魔物は人間の持つ
「……それは分かりますが、そんなまさか…………………!!」
「いいえ 間違いありません。
このアルカロックにいる人間の中に魔物を発生させている裏切り者がいます!!」
「そ、そんな……!! 一体なんの為に………!!」
ハルネンの動揺はとても嘘には見えなかったが、それでもやることは変わらない。厄災 ヴェルダーズの名を伏せて話を進めるだけだ。
「……何のためかは分かりませんが、おそらく強大な組織が絡んでいる可能性があります。」
「………………!!!」
ハルネンの顔は見る見るうちに青く染って行った。そして顎に手を当てて、何かを考え出す。
「……どうかしたんですか?」
「いや、一つ心当たりがありまして。」
「心当たり?」
リナの問から出たのは【心当たり】という見逃せない単語だった。
「………ええ。これは私がアルカロックの人間として傍聴した裁判での話なんですが………」
***
ハルネン達 アルカロックの人間が傍聴した裁判
それは、同僚を保険金目当てで殺害した【ハルツォ・モトノア】という人間の裁判である。しかし、結果は『事件当時は心神喪失状態であった』という弁護側の主張が通り、ハルツォは無罪となった。
もちろん検察側、そして傍聴席からは反論の声がこだましたが、判決は覆ることはなかった。 ちなみにハルネン達はその様子をあくまで傍観者として節度を持って見ていた。
「………そしてその直後、異変が起こったんです。そのハルツォの胸の辺りに紫色の魔法陣が浮かび上がって、その姿が巨大な魔物に変わったんですよ!!」
((………………やっぱりそうか………………。))
魔物に変わったハルツォは裁判所付近で暴れ回り、そしてすぐに駆けつけた兵士達によって討伐された。魔物の姿はハルツォの死体へと変わった。
つまり、結果的に有罪となれば死刑になっていたかもしれないハルツォに裁きが下った運びとなってしまったのだ。
「…………その兵士達は魔物の被害を抑えるために致し方なくやった事だということでお咎めはありませんでした。
世間からもこの事件は賛否両論でした。本来 無罪であるはずのハルツォを殺したのはどうなんだ という声や逆にこれこそが天罰なんだと両腕を上げて祝う声も少なからずありました。」
「……確かに彼には金で弁護士を買収した なんて噂も立っていましたからね。」
「はい。 あくまで噂ではありますから、私達にはもう知る由はありません。」
(……アルカロックにいる敵は、犯罪者を狙ってチョーマジンに変えているのか………。)
部屋の中になんとも言えない空気が流れた。
「……ハルネン副所長、二つお聞きしたいことがあるんですが」 「?」
「そのハルツォの裁判を傍聴したのは誰ですか?」
「それは私と署長と看守長と二人の副看守長の五人ですよ。」
「そうですか。 では、このアルカロックで泊まり込みで勤務をしている人はいますか?」
「そんな人はいませんよ。ここの職人は全員 ちゃんと休みを与えています。
夜勤こそありますが、泊まり込みなんて滅多にしませんよ。もちろん私達も夜は交代勤務で見張りをしています。」
「……そのパターンは?」
「日によってバラバラですよ。
数人で夜を過ごすこともあれば一人で見張ることだって珍しくありませんし。」
「そうですか。 ありがとうございます。」
ハルネンの言葉で確定した事は一つ
アルカロックの裏切り者がハルネンと所長 看守長 そして二人の副看守長の5人の中にいるという事だ。