転生したらプリキュアだった件 ~助けてくれた女神様の世界をプリキュアになって守りたいと思います!~   作:Yuukiaway

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143 袋小路を切り抜けろ! 監獄を貫く龍の脚!!

袋小路

 

アルカロックという敵地に踏み込むならばいつ嵌ってもおかしくない状況である。

リナ自身 その状況に陥る事は想定していたが、いざ嵌ってみると頭の中を動揺が襲う。

 

 

 

***

 

 

 

「……そもそも貴様等に影魔人(カゲマジン)を差し向けた所から作戦は始まっていたのだ。

このアルカロックにおいても秘匿的な死刑囚は稀な存在。()()がチョーマジンを超える存在になったのは皮肉ながらも嬉しい誤算だった。」

「何が『このアルカロック』だよ!

今更 署長面してんじゃねぇぞ!!!」

 

口先では啖呵を切るもののフォースは焦っていた。頭の中では『どうやってこの窮地を切り抜けるか』を必死に考えていた。

 

「…言っておくが天井を破るなんて考えない方が良いぞ?貴様はもう既に何ヶ所も穴を開けた。

このまま続ければいずれこのアルカロック全体に()()が走り、そして崩壊する。そうすれば貴様らはもちろん助けようとしているチョーマジン(受刑者)共も地下深くに沈む事になる。

それともその多大な犠牲を引き換えに私を殺るというのか?」

「!!!」

 

マーズの指摘は的を射ていた。

アルカロックも所詮 地下に建てられた()()であるから、崩壊すればまず命は無い。

 

 

「…………………?」

 

その時、マーズの目がフォースの口元が緩むのを捕らえた。

 

「………貴様、何を笑っている?あまりに絶望的過ぎて気でも違ったか?」

「何ってお前、これが笑わずにいられるかよ。たった今 この状況を打破する方法を思いついたんだからよ。」 「!!?」

 

 

 

***

 

 

 

アルカロック 地下5階を警備していた刑務官 ホブル・マックワドン(27) が当時の様子を語っている。

 

「はい。 その時私は地下5階の警備をしていました。あの怪物騒ぎに乗じて脱走する人でも出たらいけませんからね。

それで檻の様子を順番に見て行ってたら その時ですよ、地面にこう、嫌な気配を感じたんです。まるでそこに地雷でも埋まっているかのような、背筋に寒気が走りました。

 

そしたらです、地面にこう 円く閃きというか切れ込みというか、とにかく光が走ったんですよ。大きさは直径が人一人の身長くらいの、小さめの円卓といった辺りでした。

 

事件はその直後に起こったんです。地面がバカッ ってこう、例えば切り込みが入った厚紙が抜けるように外れたんです。石造りの分厚い床がですよ?

驚くのはまだ早いですよ。それをやったのは女の子だったんです。奇抜な格好をした龍人族の女の子が足を高々と挙げて床を持ち上げてたんですよ。つまりです、なんからの理由で地下6階に居る状態から跳び上がって天井まで行ったということなんですよ。それだけでも十二分に凄いことですよ。あの天井は必要以上に高いんですから。

 

ジャンプ力もさることながら、本当に凄かったのはその娘の筋力でしょうね。だってそうですよ。あの円い部分だけでどれ程の厚さがあると思います?アルカロックってのは世界一の監獄ですからね、床だって生半可な厚さじゃありませんよ。

それを抜くっていうのはつまり巨大な石の円柱を持ち上げるって事ですから、数100キロは下らないでしょうね。

 

それをやったのが筋肉モリモリの大男ならまだ分かりますけど女の子ですからね。もちろんその娘も鍛えてるのは一目で分かりましたよ。だけどそれでもあの細い脚じゃとてもじゃありませんけど頼り無いですよ。あんな石の塊を持ち上げるには。

 

 

その時私がどうしてたかですって? 何も出来ませんでしたよ。

『緊急時に人は考えることが出来ない』って聞いた事ないですか?沢山の情報を一気に感じて立ち尽くすしか無いんですよ。私も何かで読んだんですが、正しくそれでした。正しくその通りに呆然と立ち尽くすしか無かったんですよ。

 

我に返ったのはその直後でした。その娘が私に向かって凄い剣幕で怒鳴ったんですよ。

『テメェ さっさと離れろォ!!! 殺されるぞ!!!!!』って。

あれは本当に身の危険を伝える声でしたよ。だって年端も行かない女の子の口から出た言葉ですよ?考えるでもなく身体が勝手に逃走を命じていました。だけど後悔はしていません。

だってそうしなかったら今頃ここに居ないですよ。 いや本当に その後に起こった事はそれ程だったんですから。」

 

 

 

***

 

 

 

ホブルが必死に走っていくのを横目にフォースは心の中で喝采を叫んでいた。

 

(ッシャー!!! 上手くいったぜ!!!

ジジィ直伝の【天龍爪(てんりゅうそう)】 ここに復活って訳よ!!!)

 

天龍爪(てんりゅうそう)

龍の里に伝わるリュウ・シャオレン考案の秘技

物体に身体の動きを駆使して切り込みを入れることで破壊するのではなく切り取る技である。

リナはこれをアルカロックの天井に使う事で周囲に亀裂を入れる事無く床を抜く事に成功したのだ。

 

「…………………なるほどな。」 「!」

「周囲に亀裂を残さなければ天井を抜けると考えた訳か。 だが甘い!!!」

 

マーズが跳び上がって地下5階のフォースの所まで追い付いた。

 

「このまま叩き落としてくれる!!!!」

「それをやると思ってたぜ!!」 「!!?」

 

フォースはマーズの顔面に足を掛けた。

 

「じゃあな。 地獄へはテメェが堕ちろ!!

オラァッ!!!!」

「!!!!」

 

マーズの顔面を踏み台にして天井まで飛び上がり、その反動でマーズは地下6階まで突き落とされた。

 

「このままハッシュの所まで一直線上だぜ!!!」

 

フォースは天井に脚を掲げて天井に【天龍爪(てんりゅうそう)】を放ち、更に天井を抜いた。そしてそのまま地下3階の床も抜き、地下2階へと辿り着いた。

 

「!」

 

フォースは横目ですぐ側にハッシュとヴェルドがいる地下1階への階段を見つけた。

 

(よっしゃ!! これでやっとハッシュに合流できるぜ!!!)

 

フォースは地面に着地するや否や、脇目も振らずに階段を駆け上がった。


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