転生したらプリキュアだった件 ~助けてくれた女神様の世界をプリキュアになって守りたいと思います!~ 作:Yuukiaway
『うわぁーっ!!』
「……………………………」
グランフェリエの甲板から水平線を見下ろすや否や三人は目を輝かせて歓声を上げた。
その三人をカイは冷めた目で見ていた。魚人族である彼にとって海はさして珍しい物でも無いからだ。
「おいカイ!! お前も見てみろ!!
ここからの景色 ものすっごく綺麗だぞ!!!」
「……………………
(ギリス殿が言っていたのはこういう事だったのか…………。)」
リルアの目は穢れなく輝いていた。
それをかつての魔王の物だとは到底信じられない程だ。
「なんだその顔は?
今から緊張してたら神経が持たないぞ。出航は夜からなんだから今くらいは楽にしてろってよ!」
もうリルアには何を言っても通用しない とカイは静かに諦めた。彼女は放っておいて自分がしっかりしよう と後ろを向いてジームズに声をかける。
「……その、貴方は ジームズ殿 と呼べばいいか?」
「うむ。 何か用かね?」
「早速だが本題に入りたい。此度の宴会について詳しい事を聞きたいのだが。」
「おお。 そうであったな。
今宵のパーティーは私の父から受け継いだこの財閥が今年で60周年を迎える事を祝う催しなのだ。」
「なるほど。 では聞きたいが、貴方方の所に脅迫状などは届いているか?」
「いや そのような物は来ていない。
そもそも君たちが何故私達を護衛するかをこちらが聞きたいのだ。」
カイは頭の中で言ってもいい情報とそうじゃない情報を整理して口を開く。
「実は私達は
その組織は人間や魔物を怪物に変えて従える力を持っている。そしてそいつらの次の狙いがこの豪華客船だという情報を手に入れ、私達が護衛を受け持ったと言う訳だ。」
「なんと……………!!!
確かにそれは捨てては置けぬな。分かった。
私の家族にも伝えておこう。」
「よろしく頼む。」
ヴェルダーズ達の事など何処吹く風で変わり映えもしない水平線を相手に浮き足立っている三人の少女を横目で一瞥し、カイは やはり自分がしっかりするしかない と思い直して考えを巡らせる。
(ヤツらは間違いなくここを狙う。
ここにはこれから各界の大物が其処らから集まってくる。影響力はここ以上の場所は無い。
しかしあいつらは腕は立ってもことが起こるまでは浮かれるだろうな。 やはり私が引っ張っていく他無いな。)
***
ジームズが席を後にして十数分が経った時、カイが持っていた通話結晶が光った。
「! ルベド殿か!?」
『その声は
悪いが一人の場所に入ってくれないか?人に聞かれたらまずい事だから。』
「そうか 分かった。」
カイはリルア達に一言 言ってから近くにあったトイレの個室に駆け込んだ。
「……して、一体何なんだ?
その重大な事というのは。」
『ああ。あまり驚かないようにして聞いてくれ。
たった今 監獄アルカロックに潜伏していた裏切り者の正体が分かった。』
「!!!?
な、何だって!? それでどうなったんだ!!?
リナは、リナは無事なのか!!?」
『安心してくれ。 三人とも無事だ。今 本部に向かっている。
ただ、裏切り者
「
裏切り者は複数いたというのか!?」
『ああ。 裏切り者は監獄署長のマーズ・ゼルノヴァ そして刑務官のギンズ・ヴィクトリアーノだ。そいつらの遺体も船に乗せて運んでもらっている。
尤も それを調べた所で何も出てきはしないだろうがな。』
「……………………
それで、それを今 私達に伝えた理由は?」
ルベドは一拍置いて話し始めた。その口調には僅かに緊張が感じられた。
『………これは確定事項では無いが、僕達の作戦が漏れていた可能性が出てきた。
「何っ!!!!?」
『そしてハッシュが ギンズが仄めかしていたんだよ。 内通者の存在を。
まぁこれも本当なのか君達を撹乱させる為のフェイクなのか半分半分だがな。それとあの時本部に誰かが入り込んでいた可能性も考慮して潜伏したという痕跡が無いか隈無く探している所だ。』
「…………他にこの事を知っているのは?」
『話したのは君が最初だ。
もちろんこれからイーラの報告を待った上でギリスにも伝えるつもりだ。』
「……なら、伝えるのはギリス殿だけにしてくれ。」 『?』
「ホタル殿には伝えないで欲しいと言ってるんだ!この件は我々だけで対処する!!
仮に我々の中に裏切り者が居ると彼女が知れば必ずショックを受ける!!!
それは彼女だけでなく我々の士気や団結力にも影響してくる!!! それだけは絶対に避けなくてはならない!!!!」
『……………!
分かった。ギリスの奴に君がそう言っていたと伝えておこう。あいつも分かってくれるだろう。僕はこれからリナ達を迎える準備を進める。
君も何かあったら迷わずに僕達に連絡しろ。
あのバカはいざという時まで役に立たないからな。それまでは君が先頭に立って引っ張ってくれ。』
「…………分かった
!」
カイが通話を切った直後、扉を叩く音が鳴った。