転生したらプリキュアだった件 ~助けてくれた女神様の世界をプリキュアになって守りたいと思います!~   作:Yuukiaway

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170 いざ腹ごしらえの時! グランフェリエの出港 迫る!!

「!」

 

通話結晶を懐に入れた直後、カイが入っているトイレの個室の扉が叩かれた。扉を叩いたのはマキだ。

 

「カイさん? ちょっと長い見たいですけど大丈夫ですか?

お腹壊しちゃいましたか?」

「ああ いや、何でもないんだ。」

「そうですか。

ジームズさんがお昼ご飯を作ったから 呼びに来たんですよ。」

「そうか 分かった。

すぐに行くから先に行っててくれ。」

 

マキがトイレを後にする音が聞こえた後、カイは頭の中を整理して心を落ち着かせる。

 

(………私のやらねばならない事は一つだ。

このグランフェリエでジームズ殿とその家族をお守りする事。

仮に内通者が居たとしても、それはギリス殿達に任せておけば良い。私はただの戦闘員に過ぎないのだから。)

 

かつての魔王 ギリスの凄さは自分の目 そしてリュウやルベドによって証明されている。自分は何も考える事無く命令を遂行する事が最善だと自分に言い聞かせる。

 

 

 

***

 

 

「初めまして皆様。

私 ダイフォート家の一人娘の《レマ・ダイフォート》と申します。本日はよろしくお願いします。」

 

薄い桃色のドレスに身を包んだ少女がカイ達に向かって頭を下げた。その目は澄んで輝いている。

カイ達は娘にはヴェルダーズ達の事は伝えていないと言われている。その為に尚更油断は出来ない。

 

「私の母も只今こちらに向かっている所です。到着しましたら皆様にご紹介しますので、今はこの料理をご堪能下さい。」

「………否 レマ殿、その必要は無い。

既に役一名 食べ始めている。」

 

カイの隣ではリルアが既に料理にがっついていた。長時間列車に乗り続けた身体にはただでさえ豪華な料理の品々はとてつもなく魅力的に映ったのだろう。

 

「それなら問題ございません。

ささ、他の皆様も遠慮なくどうぞ。」

「………………」

 

カイは目の前の料理に目を下ろした。

いくら依頼を受けたと言ってもこんな豪華な食事を取っていいのか疑問が浮かんでくる。

 

「? どしたんスかカイさん 早く食べた方が良いっスよ!」

「そうですよ!これから忙しくなるかもなんですから今の内にしっかり食べとかないと!」

 

ミーアとマキも各々 食事に手を付け始めている。そこに遠慮という物の介在する余地は無かった。

 

「……なら私もお言葉に甘えて頂くとしよう。

この礼は貴方方をお守りする事で必ず返す。」

 

カイは腹を拵える必要がある と自分に言い聞かせて両手を合わせた。

 

 

 

***

 

 

腹八分目

その言葉はカイも良く理解し そしてそれを日常的に実践していた。物心付いた時には修行を人生の中心とし、食事は味より栄養価を重視し身体を動かすエネルギーを接種する為の行為と定義していた。

そしてそれはラドの死 そして龍神武道会に出場して蛍達に出会うまで彼の信念の一つとなっていた。

 

つまりこの日、カイは《味を重視した食事(栄養バランスは完璧らしい)》に舌鼓を打ったのだ。

リルアのようにはしたなくがっつく事は無かったがつい腹八分目を軽く超えて食事を取ってしまった。

 

「ハッハッハ!

カイ、お前もいい食べっぷりだったな!! やはりお前も沢山動く分色も太いのだなぁ!」

「……………」

 

カイはリルアに背中をバシバシと叩かれ冷やかしを受けた。事実 武道家のカイは消費する体力も多く、彼にとっての腹八分目は常人の《食べ過ぎ》にも匹敵する。

 

「……全く情けない。

たかが味覚如きに心を揺さぶられるとは 私もまだまだ未熟だ………」

「未熟? そんな事は端から分かってるだろ!?

数十年しか生きてない魚人族が完璧になれるなら魔人族なんて完璧ばかりになるではないか!」

「……………………

(何故此奴が《バカ》と言われるのか分かった気がするな……………)」

 

カイは自分の隣にいるのはただの能天気な少女ではなく かつての魔王であり、その強さはギリスや蛍からの話で良く理解している。

くれぐれも いざという時には活躍してくれ と願う事しか出来なかった。

 

 

 

***

 

 

 

「うおーっ……………!!」

「す、凄いっスね……………!!」

「流石は世界最高の豪華客船って所ですか…。」

 

港には数百人の人間が行列を作って船へと乗っている。ここでしか見られないであろうその様子を四人は船の最上階から眺めている。

 

「……なんと言うか、こんなの見せられると人間って不公平なんだな って思っちゃいますね…………」

「「「全くだ。」なのだ。」ッス。」

 

と、マキの発言に三者三様の返事を返して再び乗ってくる客達に視線を下ろす。遠目で見てもその全員が豪勢な暮らしをしている事が手に取るように分かる。

グランフェリエはそこに一度でも乗れる事自体がこれ以上無い名誉なのだ。

 

「なぁカイ、 もしあの客たちの中にヴェルダーズの手先が居たとして、どんなやり方で騒ぎを起こすと思う?」

「……まぁ十中八九、客達をあのバケモノに変える事くらいだろうな。」

 

斜め後ろから見えるリルアの真剣な表情を見てカイはいざという時は頼れそうだ と少し安心した。

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