転生したらプリキュアだった件 ~助けてくれた女神様の世界をプリキュアになって守りたいと思います!~ 作:Yuukiaway
カイは脇目も振らずに廊下を駆けている。その目的は屋上 即ち甲板に上がる為だ。
「おい待てカイ!! 落ち着け!!
そっちには人だかりがあるのだぞ!!!」
リルアが必死にカイに声を掛けるがガスロドへの怒りがその声を遮断する。リルアが声を掛けたのはカイが向かっているであろう階段には人がひしめき合っていると予想したからだ。
しかしカイもそれを予測できないほど冷静さを失ってはいなかった。
「ぬうっ!!!」 ブシャアッ!!!
「なっ!!?」
カイが曲がり角に消えるや否や水が吹き出る音と人々の驚く声が聞こえてくる。その音だけでリルアは瞬時にカイが足裏から水を吹き出して階段に居る人だかりの上を飛び上がったのだと理解した。
***
「フウッ フウッ フウッ……………!!!!」
「おいカイ、冷静になれよ!!」
全力疾走を数十秒間し続け、さらに
「ガスロド・パランデェ!!!!!
卑怯者めが!!!! 今すぐここに出て来い!!!!
私と堂々と戦えェ!!!!!」
「!!!」
カイは肺の中の空気を全て使い果たす勢いで声を上げた。しかしそれが無意味である事はカイ自身が一番良く理解している。
声を聞いて甲板に避難した乗客達が不審がってカイを見るが、気にも留めずに感情を抑え荒い呼吸を上げている。
『………おい いい加減にしないか!!
私達は私服警備員だぞ!これ以上目立ってどうする!!
? おい、どうした??』
奇行を繰り返すカイに小声で話し掛けるが、その様子がおかしいと気付き立ち止まる。
「…………… ぬうっ!!!!!」 「!?!?!」
カイは身体を折り曲げ、自分の鼻に膝を叩き込んだ。無論カイの身体は鼻から血を出しながら吹き飛び、地面に叩きつけられる。
が、すぐに身体を回転させて立ち上がり、そして鼻の片方ずつを押えて中に溜まった血を吹き出した。
「カ、カイ…………?!」
「済まぬ!! たった今 頭を
私も頭では分かっているのだ。ここは武舞台などでは無く掟など無い戦場であるという事はな。
もう大丈夫だ。心配をかけてしまったな。」
「………!! そうだろうと思っていたぞ!
とにかく今はミーアに連絡を!」
リルアは結晶を取りだし、ミーアへと繋いだ。
「ミーア! リルアだ。
今は甲板に居る。そっちはどうだ!?
ジームズ達は無事か!?」
『ジームズさん達は無事ッス。今は大広間の裏でじっとしてるッス。
だけど乗客達はみんなパニクって説明してくれの一点張りで後どれだけ抑えられるか分からないッス。』
「そうか。こっちもこっちでまずい事になってな。舵輪と錨をやられて この船は曲がる事も止まる事も出来なくなってしまってるんだ!!」
『!!!』
結晶の向こう側からミーアの動揺する声が聞こえてくる。
『分かったッス。じゃあ自分もこれから甲板に』
「それはダメだ!ミーア、お前は絶対にジームズ達から離れるな!!」
『! わ、分かったッス!
ならせめて外部にこの事を伝えた方が』
「無駄だ。」 『!』
リルアは既に畳まれた帆を持つ柱がそびえ立つ上空に目を向けた。かつての魔王であるリルアの目はグランフェリエを覆う薄い魔力を捉えていた。
「敵 そのガスロドってのはとても用意周到な奴のようだ。既にこの船には外部との通信を妨害する 系の魔法が仕掛けられている。
だが安心しろ ミーア。敵は策に溺れたようだ。」
『? どゆことッスか?』
「お前に一時間に一回 ルベドの所に報告しろって言ってただろ?あれには通信が無かったらここに応援を寄越す手筈になってるんだ。
そして、次に定期通信を寄越す五分前にガスロドは動き、妨害魔法を発動させた。
それから今で二十分。 つまり十五分前から
? おい、どうした?」
結晶の向こうでミーアの息が荒くなっている。
『……リ、リルア。
自分 一時間前の定期報告、
リルアは言葉にならない動揺の声を上げた。それはミーアが報告を忘れたからでは無い。
「カイッ!!!!!」
「!!? どうかしたか!?」
「たった今 ミーアから連絡があって、あいつ 一時間前の定期報告を
「今すぐ周囲を確認してくれ!!
リルアが『筈』という言葉を使ったのは応援の船が来ていると
「否、どこを探しても水平線まで何の船も無い!!! だが馬鹿な!! こんなことは有り得ん!!!」
「ああ。これはつまり、
私達の立てた作戦が