転生したらプリキュアだった件 ~助けてくれた女神様の世界をプリキュアになって守りたいと思います!~   作:Yuukiaway

18 / 369
18 本部到着! 総隊長 ルベド・ウル・アーサー!!

「おい蛍、起きろ。もうすぐ着くぞ。」

「ん? もうそんな時間?」

ギリスによって蛍は起こされた。今2人は招待されている軍隊 【星聖騎士団(クルセイダーズ)】の本部行きの馬車に乗っている。そこに同席しているハッシュの言うことが正しければ、馬車に3時間乗っていたことになる。

 

蛍が馬車の前方の窓を見ると、そこに城とも取れるほど巨大な建物があった。

 

「…あれが本部!!?」

「そう。あそこには本部だけじゃなくて軍隊の養成所や総隊長が王をやってる国の政治をやる場所もあるんだ。」

 

ヒヒィーーン

 

馬車が止まった。

いよいよこれから星聖騎士団(クルセイダーズ)の本部に入るんだ。

 

そう思うと蛍は今更ながら緊張してきた。

 

「大丈夫だ。あいつとは俺が話すから。」

ギリスには既に自分の考えている事が分かっていた。

 

「馬車を降りるよ。本部に入る。」

 

 

***

 

 

「三番隊、ハッシュ・シルヴァーン隊長が到着なさったぞ!門を開けろ!!」

門番をしていた兵士と思われる男が奥に向かって大声で言った。

 

「………すごい………!!!!」

 

蛍は呆気に取られていた。こんなにすごい内装の建物なんて、遊園地にもなかった初めてのものだ。

 

「ハッシュ隊長、総隊長殿から、まずは食堂に連れて行って2人をもてなすように と伝言を預かっています。」

「わかった。」

ハッシュに近づいた兵士の1人が小声で言った。

「今聞いたようにこれから食事にしようと思うんだ。18階にある食堂に案内するよ。」

 

「18階!!?」

「あぁ 大丈夫。エレベーターならあるから。」

 

意外だと思った。この世界はあまり電気などは発達していないと思っていたからだ。

おそらく、歯車なんかを使った原始的なものなんだろうと結論付けた。

 

 

ハッシュの案内で上に上がり、しばらく上がると大きな扉の前に着いた。

今は正午になる少し前である。

 

「料理はもう用意してあるから、くつろいでいて。」

 

そう言って蛍とギリス、そしてフェリオだけが食堂に入った。

 

………広………

 

蛍が率直に抱いた感想だ。

自分が通っていた学校の体育館など問題にならないほど広い食堂の真ん中の机に、いくつかの料理があった。

 

「どうした?早く食べようじゃないか。」

「いや あれってコース料理ってやつじゃない?私、ああいうの食べた事ないんだけど……

確か食べ方が難しいんじゃなかったっけ?」

「そんなに難しく考えなくてもいい。お前は普通に食べていたじゃないか。それにここには俺とお前しかいないんだから、人目を気にすることもないだろ?」

「……まぁそうだけど……」

 

蛍とギリスは向かい合って座り、料理に手をつけた。

白身魚と野菜を中心とした、まるで少女と少年が食べることを前提として作られたような料理だった。

ちなみにギリスには一品 キノコのグラタンがメニューに加わっていた。

 

ここの総隊長は本当にギリスを知っているんだ ということがこういう所からもわかった。

 

 

***

 

 

「「ごちそうさま!」でした!」

蛍とギリスは食堂から出た。

 

「ではこれから総隊長の所に案内します。」

扉の前で待っていた兵士の案内でいつの間にか建物の最上階まで来ていた。

ギリスの話によるとこの城は50階以上あるらしい。

 

 

「…来たか。待ってたよ。」

さっきの食堂よりはるかに大きい扉の前でハッシュが立っていた。

 

「三番隊隊長、ハッシュ・シルヴァーン!!命じられた戦ウ乙女(プリキュア)と魔王を連れてきました!」

ハッシュが扉に向かって大声でいうと、重々しく扉が開いた。

 

 

「……さっきも言ったが俺があいつと話す。お前は相槌だけ打っていればいい。」

「…わかった!」

いよいよ蛍達は星聖騎士団(クルセイダーズ)と対峙する。

 

 

「三番隊隊長、ハッシュ・シルヴァーン

ただいま戻りました。」

 

そこには長机があり、2人の人間が座っていた。

金髪をオールバックにした色黒の大男とピンク色の髪を3方向に結んだ女性の2人だ。

 

「戻ったかハッシュ。お前にしてはかなり早かったな。」

と大男が低い声で言い、

「おかえりなさい ハッシュ君!その子が戦ウ乙女(プリキュア)なの?」

と女性が明るく言った。

 

2人ともハッシュと同じ白い軍服を来ていた。

「…もしかして、ここの隊長ですか?」

そこから推測して蛍は聞いた。

 

「そうだ。星聖騎士団(クルセイダーズ) 七番隊隊長 イーラ・エルルーク だ。

よろしく頼む。」

「九番隊隊長の ハニ・ミツクナリ です!

よろしくね!」

 

「…はい。よろしくお願いします。」

蛍は漠然と取っ付きにくい人と距離が近すぎる人だなと思った。

 

「それより総隊長は?」

「総隊長はもう全ての準備を済ませて待っている。すぐに行くのか?」

「うん。もう用意してあったご飯は食べてもらったから。」

「そうか。

ホタル・ユメザキ君。ここを真っ直ぐ進むと総隊長のいる部屋に着く。ついて来てくれ。」

「わかりました!」

 

3人の隊長のエスコートで蛍とギリスは奥へと向かっていく。

 

『おい、ハッシュ。

本当に彼女が女神の認めた戦ウ乙女(プリキュア)なのか?』

『本当だよ。なんなら確固たる証拠だってある。あの突然発生する魔物と彼女は戦っていたからね。

それに僕、彼女の解呪(ヒーリング)をこの手で使ったんだ。』

『ええ!解呪(ヒーリング)ってあの戦ウ乙女(プリキュア)固有贈物(ユニークギフト)って言われてるヤツ!?』

『そうだよ。少しだけだったけど、それを使って魔物を倒したんだから。』

『じゃあ、私にも使えるかな!?』

『さぁ。それはハニさん次第じゃないかな。』

 

3人は小声でずっと話していた。

 

「着いた。この奥だよ。」

蛍達が着いたのはさらに大きな扉だった。

 

「三番隊隊長、ハッシュ・シルヴァーン

戦ウ乙女(プリキュア)と魔王を連れてきました。」

ハッシュが言うと扉が音を立てて開いた。

 

 

「…よく来てくれたね。

戦ウ乙女(プリキュア)。この度は我々の突然の招集に応じてくれて感謝する。

そして久しぶりだね。

 

我が友、ギリス=オブリゴード=クリムゾン。」

 

そこにカーキー色の髪をした赤と茶色を基調とした軍服に身を包んだ青年が座っていた。

 

彼こそが星聖騎士団(クルセイダーズ) 総隊長 ルベド・ウル・アーサー

 

その人である。


▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。