転生したらプリキュアだった件 ~助けてくれた女神様の世界をプリキュアになって守りたいと思います!~   作:Yuukiaway

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21 白熱する試合! 枷を外すハッシュ!!

「………」

構え直したブレーブに対し、ハッシュは動きを見せない。

 

「…実を言うと僕は君を一発で倒したかった。だけどそうもいかないようだ。」

『「?」』

 

ハッシュは帽子を脱ぎ、そして星聖騎士団(クルセイダーズ)の隊長であることを示す軍服も脱ぎ始めた。

 

(……何だ?汗でもかいたのか……?)

ギリスがそう疑問に思っていると、

 

「……何と、あいつがあそこまで……」

「ハッシュ君、本気だ………!!!」

「あいつらしいことだ。」

星聖騎士団(クルセイダーズ)のイーラとハニ、そして総隊長のルベドも反応していた。

 

「どういうことだ?」

「今に分かるよ。」

 

ギリスが闘技場に目を向けると、ハッシュは軍服を脱ぎ終えて黒の肌着姿になっていた。

 

 

フーッッ!!

 

「!!!?」

ハッシュが息を吹くと、ハッシュの筋肉が一回り大きくなったように見えた。

 

「……どういうこと!!?」

「分からないかい?僕も本気を出すと言ってるんだよ。

おかしいと思わなかった?イーラ隊長が巨人族なのにあれだけの身長なんて。」

『「あっ……!!!」』

 

そう言われるとそうだ。遠慮気味に見たので見落としていたが、イーラの身長は巨人と言うには低かった。

 

「どういうことか分かる?僕は筋肉が増えた。そしてイーラさんは身長が縮んでいる。つまり、この服には着たものの体をコントロールできる。これは"枷"なんだ。」

 

「………それじゃ………!!!」

「そういうことだね。僕らが軍服を脱ぐのは、星聖騎士団(クルセイダーズ)の誇りをかなぐり捨てて本気で闘うと言うことだよ。」

 

 

「………!!!!」

究極贈物(アルティメットギフト) 奇稲田姫(クシナダ)が発動しました。』

ブレーブは最後の究極贈物(アルティメットギフト)も発動して臨戦態勢に入る。

 

「……行くよ。」

『「!!!」』

 

ハッシュが向かってくる。靴も脱いで裸足になっており、足の力がそのまま地面に伝わる。速さもさっきの比ではない。

 

しかしそのスピードもブレーブの奇稲田姫(クシナダ)は見切り、乙女剣(ディバイスワン)でのカウンターを見舞う。

 

ガッ!!!

「!!?」

 

聞き慣れない音にブレーブが見ると、ハッシュの片手が乙女剣(ディバイスワン)の刃を受け止めていた。

片手での白刃取りである。

 

「僕を従属官(フランシオン)にするんだろ?」

ハッシュが掴んでいる手を引き付けた。

 

しまった!!!

 

乙女剣(ディバイスワン)を持っているブレーブの体も引き付けられる。

すかさずブレーブの腹をハッシュの背足の蹴りあげが襲った。

しかしブレーブは咄嗟に強固盾(ガラディーン)を展開してその蹴りを受け止めた。

その勢いを利用してハッシュの背後に回り、首を両足で掴み、そのまま全体重を預けてハッシュを頭から倒した。

 

(やった……!!?)

 

ブレーブは寝た状態で両足でハッシュの首を締め上げる。

 

スック……

 

『「ナッ!!!?」』

 

ハッシュが立ち上がった。ブレーブの全力の締め上げがまるで効いていないようだ。

その時、ブレーブを頭に乗せたままハッシュが飛び上がった。

そのまま全体重を乗せてブレーブは頭から急降下する。

 

(しまった!!!)

 

ブレーブは反応したが間に合わず、頭から地面に直撃した。

 

「「!!!!」」

「あそこまでやるか!!!?」

「総隊長!!!もう止めましょうよ!!!」

 

「落ち着くんだ。よく見たまえ。」

 

ルベドに促されてイーラとハニが闘技場を見ると、首の拘束が外れたハッシュが起き上がってブレーブと距離をとっている。

 

「常人ならこれで落ちてるだろうけど、君は女神が認めた戦士だ。これくらいじゃ終わらないよね?」

 

土煙がだんだんと晴れていく。

するとそこにブレーブが立っていた。

息は切れているが、姿勢は崩れていない。脳へのダメージを受け流したのだ。

 

「君が見せた戦之女神(ヴァルキリー)かな?よく受け身が間に合ったね?」

「…うん。今のは危なかった。

失敗してたら死んでたかも。」

 

ブレーブ、もとい蛍はついこの前まで普通の女子中学生だった。もちろん喧嘩などしたことは無い。受け身を取るなどなおさらである。それでも彼女が今受け身を成功できたのは、女神ラジェルがくれた究極贈物(アルティメットギフト)のおかげに他ならない。

もっともそれも対人ではなく厄災【ヴェルダース】やそれから生まれるチョーマジンと戦うためのものであるが。

 

再びハッシュが距離を詰める。

ブレーブに向かう上段突きを片手で捌いた。

 

その隙を見逃さず、ブレーブはハッシュの脛、腿、腹、頬を一瞬で蹴飛ばした。

 

「四段蹴り!!?」

「速い!!!」

 

体勢が崩れたハッシュの顎を掴み、ブレーブは全体重を乗せて叩きつけた。

(決まった………!!!!)

 

ブレーブが技が決まったことを確信した瞬間、

『「ブッッ!!!?」』

 

ブレーブの腹を謎の衝撃が襲った。

ブレーブはそのまま闘技場の端まで吹き飛ばされた。立つことができない。

 

「やっぱり君はまだ新株だ。」

ハッシュが立ち上がった。頭から血が流れているが、平然としている。

 

「プリキュア・ヘラクレスインパクト。

効いたでしょ?」

 

激しく息を切らしながらもブレーブは立ち上がった。

 

「人間は何かが決まったり、止めを指す瞬間こそ油断するものだ。

だけど僕たち星聖騎士団(クルセイダーズ)はそれを克服している。

言っておくけど僕は何度も戦場で戦ってきたんだ。」

 

ハッシュの言葉がブレーブに突き刺さった。


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