転生したらプリキュアだった件 ~助けてくれた女神様の世界をプリキュアになって守りたいと思います!~   作:Yuukiaway

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212 天下一品の魔法術!! 切り込み団長 オルドーラ!!!(後編)

オルドーラは箒を振り回しながら鼻歌交じりに魔物達に近付いている。蛍も戦ウ乙女(プリキュア)の状態で戦っているから目の前の魔物達の力の程度は分かっている。

無論 魔物達にもオルドーラを恐れる様子は無い。また先程と同じような格好の獲物が現れたのだと思っているのだろう。

 

「おいお前等! こいつら殺しちまって良いのか!?」

「へい! ですが上からは()()()()()くらいにしといてくれって言われてます!」

「………そうか。なら簡単だな。」

 

魔物に対して手加減しなくて良いと知り、オルドーラの口元が緩んだ。その余裕のある表情が気に入らなかったのか ゴブリンの一体が彼に向かって飛び掛る。それが自分の命運を決定する行動とも知らずにだ。

 

「……一番手はテメェか。

良いぜ。付き合ってやるよ!!!」

ブンッ! 「!!?」

 

オルドーラは箒を背中に担ぎ、両手を突き出した。その片方の手の平に赤色の魔法陣が、もう片方の手に緑色の魔法陣がそれぞれ浮かび上がる。手を重ねるとその二つの魔法陣は合わさって全く別の魔法陣となった。

 

 

俺流合成魔法 炎×風

「《火焔旋風》!!!!!」

「!!!!?」

 

『ボォオオオ』という炎が燃える音と、『ビュウウウ』という風が吹き荒ぶ音とが重なって響き渡った。ゴブリンの身体は旋風によって吹き上げられ、そしてその周囲を迸る炎に焼き尽くされていく。

その様子を蛍も、そして魔物達も黙って見ている事しか出来なかった。

 

風が止んだ時に残っていたのは身体中が黒く焦げたゴブリン()()()物だけだ。

 

「……………………!!!!」

「出たァ!!!! 見たかアンタ!!!

今のが団長さんの十八番、《合成魔法》だぜ!!!」

 

 

男の話を総括すると、魔法には様々な属性があり、本来並みの人間は生まれつき一つ、そこから鍛錬しても二、三個の属性の魔法としか契約は出来ない。

しかし、オルドーラは生まれつき火、雷、風の魔法の才能を持ち、そして鍛錬によって新たに岩、植物創世、水、氷、身体強化、毒 の属性の魔法との契約を成功させた逸材なのだと言う(ちなみに彼の父は最終的に五つの属性の魔法との契約に成功した)。

 

「そ、それは凄いですね……………!!!

(魔法の事はあんまり分かんないけど。)」

「凄いなんてもんじゃねぇよ!! 百年に一人の逸材だって言われてるんだぜ!!!

だから団長さんは巷じゃ《国宝級魔道士(ロイヤルウィザード)》って呼ばれてるんだぜ!!!」

 

「……おい、その辺にしとけよ。

俺にゃそんな硬っ苦しい二つ名なんざねぇよ。俺ァただの切り込み隊長だ。

………けどお前、俺の魔法に興味出たか?」

「えっ? あ、はい 一応。」

「………そうか。だったらこんなのも見せてやろうか!!!」

「!!?」

 

オルドーラは背中の箒を手に持って振り上げた。その先端に今度は黄色の魔法陣が浮かび上がる。

身体を振るって箒を全力で投げ付けた。先端から放出される雷が箒を加速させて凶器に変わり、オークの身体を貫いた。

オークの身体が地面に倒れ伏す様子を他 数十体の魔物達は愕然と見ている事しか出来なかった。その魔物達の中心に帯電した箒が浮かぶ。

 

「………………!!!」

「まだまだこんなもんじゃねぇ。派手に行くぞ!!!」

 

そう言ってオルドーラは両手に青色の魔法陣を浮かべ、水を宇宙の無重力状態のように変えて魔物達の周囲に漂わせる。それが自分達の死に方が決まった瞬間だとは魔物達はまだ知らない。

 

 

俺流合成魔法 雷×水

「《水電地獄》!!!」

バリバリバリバリバリバリバリバリッ!!!!!

『!!!!!』

 

箒から雷が放たれ、それが空中に浮かぶ水を介する事で増幅し、強大になって魔物達に襲いかかった。身体を雷によって体内から焼かれた魔物達はみるみるうちに目が虚ろになり、そしてその生涯を終えた。

攻撃を打ち終えたオルドーラは魔物だった物に徐に近付いていく。

 

「これくらいなら素材はたんまり手にはいんだろ。 うし。回収も俺がやっとくから、お前らはさっさと何処かの病院にでも駆け込んどけ!!」

 

そう言うとオルドーラは空中に紫色の大きな魔法陣を展開した。魔物達の死体を担ぎ上げて放り込むと、魔法陣の中へと消える。

 

「……あれって 空間魔法……!!?」

「そうともよ。団長さんの手にかかりゃ素材も運び放題って訳よ!!!」

「おい、茶化しはその辺にしとけ。

こいつらァ一旦 本部に持って帰るから、ちゃんとした話は別のヤツに頼むぞ。」

「……………

(この人は戦う事以外は苦手なのかな……………?)

!!!!?」

 

突如として蛍の背筋が凍り付いた。それがヴェルダーズ達の活動を知らせる《嫌ナ予感(ムシノシラセ)》である事に気付くのに一瞬遅れる。

 

「団長さん!!! すぐにそこから離れて━━━━」

ズドォン!!!! 「!!!!」

「……んぁ?」

 

幸運にも()()はオルドーラの背後に降り立った。煙が晴れた時にいた()()に蛍だけが驚愕する。

 

(……チ、チョーマジン……………!!!!)

「あ? なんだこいつァ。」

 

蛍達の前に現れたのは巨大な魔物を素体にしたと思われる、胸に紫色の魔法陣を携えたチョーマジンだった。


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