転生したらプリキュアだった件 ~助けてくれた女神様の世界をプリキュアになって守りたいと思います!~   作:Yuukiaway

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280 爆弾を貪るエゴ!! 憎悪の使徒 フォラス!!! (前編)

爆弾

それはこの世界において最も手軽な武器として認知されている。小型の容器に詰めた火薬に火を付けるだけで簡単に破裂させる事が出来る。

そしてそこに魔法が加われば誰にも怪しまれる事無く仕掛け、簡単に起爆させる事が出来る。

 

それ故に爆弾という武器は実戦で重宝されるだけでなく犯罪においても度々悪用される歴史があった。グランフェリエのガスロド、そしてこの度教会を占拠した男こそがその最たる例である。

 

 

***

 

 

「こ、この教会を占拠するだと!!?

一体何を言ってるんだ君は……………!!!」

「言葉の通りだ。この教会には今 魔力で結界を張った。ここから出る音は外には聞こえない。だから助けは絶対に来ないぞ。」

 

突然の出来事に礼拝に来た人間達は命を脅かされている不安や恐怖に声すら出せずにいた。男は人間達には目もくれずに司教の所へ歩を進める。

 

「一体何なんだ君は!! 何の為にこんな事を!!!」

「何の為に? まだ分からないのか。

《ニトル・フリーマ》。俺の名前だ。

この名前に聞き覚えは無いか!!!?」

「!!!? ニトルだと!!!?

まさか君はあの時の━━━━━!!!!!」

「覚えててくれたか。嬉しいぜ。

そうさ!!! お前らの教えの所為で散々苦しめられた男の名前だ!!!!」

 

 

***

 

 

ツーベルクは事件の無い平和な町であると誰もが信じて疑わないが、事実はやや異なる。

爆弾魔 ニトルが起こした教会占拠事件の前にもう一つ 町民が知らない事件があった。

 

その事件を取材し、新聞記事に纏めた記者 《スプーキン・マック (47)》は同僚からの質問にこう答えている。

 

「答えてやってもいいが、くれぐれも間違えないで欲しいのは、悪いのはその町に伝わってる太陽の神様の教えじゃなくて、それを間違った解釈で信じてたあの連中だって事だ。」

 

スプーキンが取材した事件とは二十年前、太陽信仰を信じて疑わない過激派集団によって一人の少年とその両親が差別され、ツーベルクを追放された事件だ。

 

「そうそう。その息子には炎魔法の才能があったんだ。それを何を思ったのか連中は『太陽神様への冒涜だ』って根拠も無い事を言ってひっどい差別をしやがったんだ。

 

え? いやいや違う。俺もちょっと調べたけどあの宗教にはそんな事実は無かったよ。

あの過激派の連中が勝手に言ってただけだ。

 

関係者がどうなったかって?

過激派の連中は捕まって絞られてるだろうけど、家族の方は分からないな。分かっても何もしないけどな。あの息子はきっと心に深い傷を負ってるだろうからな。」

 

スプーキンの予測は当たっている。しかしそのニトルがツーベルクを襲撃した事を彼が知る事は遂に無かった。

 

 

***

 

 

ウィンディージの表情は驚きに歪んでいた。

彼の頭の中には二十年前の記憶が蘇っている。その事を知っているのは犯人である過激派を除いてはウィンディージが唯一の人間だった。

 

「ほ、本当に君はあの時の少年なのか………!!?」

「そうだ!!! お前らが見捨てたあの時のガキが俺だ!!!!」

「誤解だ!! 見捨てた訳じゃない!!

気付いた時にはもう全てが終わってたんだ!!!」

「そんな子供じみた言い訳が通用するとでも思ったか!!! あの後俺の家族がどうなったか知ってるか!!!?

逃げるように地方の町に移住した後、父さんも母さんも早死にしたよ!!!! 俺のこの才能にお前らが言い掛かりを付けたせいでな!!!!!」

 

ウィンディージの表情は険しくも哀れみの感情を称えていた。彼の頭にもその事件はツーベルクの汚点として染み付いている。

 

「…………そういう事なら申し訳ない。この教会の司教として謝罪する。

だが、君の行動はあまりに筋違いだ。」

「!!!!? 何だと!!!!?」

「ここに君の仇は居ない!!! 君を虐げた人間達は全員 縄について然るべき罰を受けている!!! 私は兎も角、ここに居る人達は無関係だ!!!

せめて彼等だけでも解放してくれ」

「黙れ!!!!」 「!!!!」

 

ニトルがウィンディージの頬を張った。

遂に暴力に訴えた彼の姿を見て場に居た人間達の混乱は最高潮に達した。

 

「騒ぐんじゃない!!!! 下手な真似をしたら何時でもこの教会を爆破するぞ!!!!

俺にはそれが出来るって事を忘れんな!!!!!」

「講釈はもう十分か?」

「!!!? だ、誰だ!!!!?」

 

突如 聞こえてきた嗄れた声にニトルは反射的に声を荒らげた。手に浮かべた魔法陣を四方八方に向け、声の主を攻撃しようとするが見つける事は出来なかった。

 

「何処に目を付けておる。此処じゃよ。」

「!!!!? な、何だ!!!!?」

 

声は()()から聞こえていた。教会に居た人間達が天井に視線を向けると全員がその目を疑った。

そこには《スライム》が張り付いていた。しかし森で大量発生しているような小型で水色の魔物とは明らかに別格の気配を放っていた。

そのスライムは全身が紫色で、髑髏のような面が張り付いていた。

 

「な、なんだお前はァ!!!!

何処から入って来た!!!!? ここには俺の結界魔法が━━━━━!!!!」

「儂は貴様が結界を張る前から此処に居た。

儂の名は《フォラス》。此処へは()()をしに来た。貴様の《感情》をな。」

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