転生したらプリキュアだった件 ~助けてくれた女神様の世界をプリキュアになって守りたいと思います!~ 作:Yuukiaway
「ん~~~~〜っ!!
美味しーーーーー!!!」
「………確かに手放しで美味ぇって言えんな。
で、この白いのが《パン》って奴なのか………!」
蛍達は宿の庭にあるラウンジで朝食を取っていた。メニューは何の変哲もないサンドイッチだったが、蛍やリナの舌はその味を高く評価した。それと食事の前に軽く運動した事は無関係ではないと蛍は思っていた。
「やっぱりサンドイッチと言ったら卵一択だよねー!」
「そうか? 俺ァこの食った時シャキシャキってなるこいつの方が良いけどな。」
「あ、リナちゃんはハムレタス派?」
「ハムレタス? こいつそんな名前なのか。
ってかよホタル、」
「? どうしたの?」
「なんか朝っぱらだってのにバカに静かじゃねぇか?」
「それは今日が《礼拝》の日だからですよ。」
『!』
蛍達が座っている机に一人の従業員の女が瓶を持って近付いた。その中には牛乳が入っている。
「あ、申し訳ありませんお客様。
お飲み物のお代りをと思いまして。」
「あぁ、ありがとうございます!」
「で、なんスかその《礼拝》って。」
少しばかり怪訝な顔をするリナに従業員の女は笑みを送ってから口を開いた。
「週に一度、このツーベルクに住む人達が教会に集まって太陽の神様に祈りを捧げるんです。」
「へー。そんなのを毎週やってんスか。熱心な事ッスね。」
「ねぇリナちゃん、ご飯食べ終わったら教会に行ってみようよ!」
「おう そうだな。どうせ昼まで暇だし行ってみっか。」
***
《ツーベルク 中央の教会》
ニトルは天井に張り付いているフォラスに釘付けになっていた。その得体の知れなさに今までツーベルクに抱いていた憎しみすら消え掛けていた。
「フ、フォラスだと………!!!? スライムの分際で一端に名前を名乗ろうってのか!!!」
「儂を《雑魚モンスター》とでも言いたいのか。ちなみに確りと苗字もあるぞ。
《フォラス=タタルハザード》。此が儂の名じゃ。そして貴様を食い物にする者の名でもある。」
「笑わせるな!!! 突けば簡単にくたばるような雑魚が人間様に楯突こうってのか!!!」
根拠も無く目の前のスライムを雑魚と罵るニトルにフォラスは違和感を覚えた。
「………貴様、スライムを殺めた事があるのか。」
「あったり前だ!!! なんってったってこの魔法はスライム相手で鍛えたものだからな!!! 軽く百匹は倒してやったぜ!!!」
「…………………」
「なんだよその顔!!!
スライムなんか人間様に比べたらなんの価値もねぇよ!!! この俺の魔法訓練に役立ったんだから有り難く思えってんだ!!!!」
「………………………
言いたい事は其れで終わりか。」
「!!?」
ニトルの暴言じみた言葉の一つ一つをフォラスは無表情のままに噛み締めていた。
「儂は言いたい事と言うか言い直さなければならん事が一つあったな。」
「!?」
「儂は先刻 『貴様を食い物にする』と言ったが、それは少しばかり間違いじゃ。
《食い物にする》という行為は
「さっきから何を訳の分からない事をベラベラと喋っている!!! これ以上逆らうとお前諸共消し炭にするぞ!!!!
俺には
『!!!!』
ニトルは天井近くの時計を指差した。教会に居た人間達はそれを見て顔を青くさせる。その行為が爆弾を起爆させるものだと直感したからだ。
「………聞いておらんかったのか。儂は既に始まっておると言ったのじゃぞ。」
「雑魚モンスターのくせに減らない口を聞きやがる!!!! だったらお前の所から吹っ飛ばしてやるぜ!!!!!
━━━━━━━ッ!!!!?」
ニトルはフォラスの場所を起爆させる為に魔力を込めたが、爆発は起こらなかった。その理由はフォラスだけが知っていた。
「フッフッフッフ。阿呆な面がよく似合うのォ。」
「な、なんでだ!!!! なんで爆発しない!!!!!
こんな事があってたまるか!!!!!」
ニトルは顔色を変えて魔力を込めて他の爆弾の起爆を試みるが、結果は変わらなかった。カレが起こると信じて疑わなかった爆発という現象は一度も起こらない。
「クソッ!!!!! クソクソクソクソォ!!!!!
さっさと爆発しねぇかァ!!!!!」
「ハッハッハッハッハ!!!! 一気に余裕が無くなったのォ。
ところで貴様、先刻『これがある』とか言っておったが、
「!!!!?」
フォラスは顔を真っ青にして汗を浮かべるニトルを嘲るような笑みを浮かべ、腹(に位置する部分)に力を込めた。
「ヴェッ!!!」
『ボトボトボトボトボトボトッ!!!』
「!!!!?」
髑髏の顔の真下、首や顎に相当する部分が膨らみ、口を開けるとそこから粘液に包まれた数個の物体が流れ落ち、ニトルの目の前の床に転がった。
粘液が剥がれ落ち、その中にあった物の正体を理解したニトルは絶望にも似た強ばった表情を浮かべた。
「………………………!!!!!」
「どうやら理解したようじゃな。其れは貴様が先刻 言っていた『これ』に相当するもの。即ち貴様が拵えた爆弾じゃ。ここに来た時に全て飲み込ませて貰ったわ。
して貴様、儂等スライムには強力な《消化液》がある事は知っておろうな。その中にあった火薬も魔力機構も既に用を成しておらん。
少々 焦げ臭かったが美味かったぞ。いいつまみを食わせてくれて礼を言うぞ。」
「~~~~~~~~~~!!!!!」
ニトルは歯がひび割れそうになるほど食いしばって目を見開いてフォラスを睨み、対称的にフォラスはそんなニトルを嘲るように高笑いを上げている。
教会に居た司教や礼拝に来た人間達はその様子を固唾を飲んで見ているしか出来なかった。唯一彼等の中で共通していたのは『この得体の知れないスライムが味方とは思えない』という思考だった。