転生したらプリキュアだった件 ~助けてくれた女神様の世界をプリキュアになって守りたいと思います!~ 作:Yuukiaway
「……………!!!!」
イーラは呆気に取られていた。
てっきり蛍の取り巻きだと思っていた幻獣が人間になって魚の群れを倒して見せたのだから。
しかし、フェリオはすぐにその場に膝をついた。
「フェリオちゃん!?」
「おい、大丈夫か!!?」
「……とは言ってみたけど、やっぱりきついファね………。」
途切れ途切れにそういった後、フェリオの身体は元の狐のような幻獣に戻った。
「ブレーブ、テューポーンは任せるファ……。」
フェリオはブレーブの思念体に戻った。
「フェリオ、大丈夫なの!!?」
『こうやってブレーブの中にいるうちは大丈夫ファ!
さあ早くテューポーンと戦うファ!!』
「わかった!!!」
今、フェリオが身を粉にして頑張ってくれた。全てブレーブがテューポーンと戦うために。それがブレーブを奮い立たせた。
小賢しい…………
湖の中から声が聞こえた。
さっきと同じドスの効いた声だ。
それなら望み通り我の手で捻り潰してくれる………!!!!!
ようやくテューポーンが湖から出てくる。
今のフェリオの一撃でチョーマジンにできる魚が尽きたのだろう。
ザパアッ!!!!
と音を立て、凄まじい波飛沫を上げて遂にテューポーンがその姿を現した。
その姿は龍と呼ぶにはあまりに醜悪で、口に収まりきらないほどに牙が伸びているし、全身からこの湖に立ち込める瘴気と同じものが漏れ出ている。
開いた口からは粘液が滴り落ちていた。
『ブレーブ!』
「うん!
名前:???
年齢:???
種族:テューポーン
性別:???
職業:???
《
《
この時ブレーブは初めて 目の前にいるのが「テューポーン」という名前の魔物ではなく、テューポーンという種族の一種なのだと知った。
しかし、今のブレーブにとってそれは大した問題ではない。
目の前にいる魔物の名前や種族がなんであれ、自分はこの魔物の中の呪いを倒すためにこの湖に来たのだから。
わが主君 ヴェルダース殿に授かったこの力、よくも無駄にしてくれたな………!!!!
彼が今言った授かった力というのはきっと、彼の
おそらくこの
ブレーブの勘は既にこれだけのことを瞬間的に理解できるまでに成長していた。
「行くぞぉッッ!!!!」
そのドスの効いたテューポーンの声が頭ではなく耳から入ってきた。
そんなことを思う暇もなくテューポーンの触手が飛んできた。
その突きをブレーブが迎え撃った。
「こんなものではないぞッッ!!!!」
さらにテューポーンがその触手全てを使ってブレーブを強襲する。
テューポーンの触手全てが隙の出来たブレーブに襲いかかった。
「蛍ちゃん、任せて!!!」
ハニがブレーブの前に飛び出し、そのレイピアが光を反射して煌めいた。
ブレーブの目の前で触手が切り刻まれた。
その触手全てが湖にボトボトと落ちていく。
「!!!
それにイーラ・エルルークとハッシュ・シルヴァーンまで……
どうやらこの襲撃があの忌まわしき勇者 ルベドの差し金だという噂は本当だったようだな………!!!!」
厄災 ヴェルダースの耳に【
だからテューポーンのこの挑発にも3人は全く動じない。
「……しかし、貴様らは1つミスを犯している………」
テューポーンが彼らを嘲るように静かに呟いた。
「ここがどこか分かっているのか………??」
テューポーンはそう呟いて指を鳴らした。
ヒュパッッ!!!
突如、ブレーブの足元を謎の衝撃が襲う。
かろうじて跳んで回避した。
「何ッッ!!?」
『ブレーブ、あれを見るファ!!!』
フェリオに促されてブレーブが視線を送ると、そこには大きく口を開けた植物がいた。
その口からはまるで銃口のような筒状の触手が伸びていた。
「あれって……!!」
『ビームを撃つ植物の魔物ファ!!きっとテューポーンが操っているんだファ!!!』
「そうとも………この湖に蔓延るもの全て我の味方だ………!!!
そして我も本気を出させてもらおう………!!!」
水しぶきを上げてテューポーンが湖から飛び立った。
テューポーンの全貌はやはり醜悪と呼ぶべきものだった。
その下半身はタコのように無数を割、それぞれ独立した不規則な動きをしていた。
明らかに小さな羽はその巨体をかろうじて浮かせている。
「
貴様らの首 全て取れば我の地位も確固たるものになる………。」
テューポーンの触手と周りの植物の銃口が全てブレーブ達に向けられた。