転生したらプリキュアだった件 ~助けてくれた女神様の世界をプリキュアになって守りたいと思います!~   作:Yuukiaway

31 / 369
31 ブレーブ決死の一撃! プリキュア・ブレーブインジェクション!!

「ちょっとイーラさん どうなってんの!!?

蛍ちゃん 全然上がって来ないじゃん あの水 何か毒でも入ってんじゃないの!!?」

 

半ば八つ当たり気味にハニが言った。

湖に投げ込まれたブレーブが一向に上がってこないのだ。

 

「いや 毒が入ってる筈はないぞ!

この湖はテューポーンの瘴気があるだけで普通の魚も生活できるほどには清潔なんだ!!」

「じゃあどうして上がって来ないんですか!!?」

「そんなこと俺が知るか!!」

 

水掛け論をしている2人を気にもとめず、ハッシュは向かってくる攻撃を捌いていた。

もちろん イーラとハニもテューポーンの攻撃を受けている。ブレーブがいない今、彼らには時間を稼ぐことくらいしかできることがないのだ。

 

「ハッハッハ

頼みの綱の戦ウ乙女(プリキュア)も藻屑になってしまったか?」

 

3人に攻撃を加えながらテューポーンは得意げに笑った。

 

しかし、ハッシュは全く反応しない。言葉に反応するだけ無駄だとわかっているからだ。

そして彼はブレーブを信頼している。それが戦ウ乙女之従属官(プリキュアフランシオン)となった彼の義務のひとつなのだ。

 

 

「虫けら共、もう十分だろ

終わらせるぞ」

その言葉の後、テューポーンの口に禍々しい色の光が集まり、攻撃を食わせるために大きく仰け反った。

 

その時、2つの大きな音が響いた。

ひとつは湖を大きく揺らがせる水音、

もうひとつは刃物が何かを突き刺す音(・・・・・・・・)だ。

 

「な……………に………………!!!!?」

テューポーンの腹に1本の剣が突き刺さっていた。それは乙女剣(ディバイスワン)だ。

それを2人の少女が握っていた。

 

その2人はキュアブレーブと、人間に姿を変えたフェリオだ。

 

「フェリオ、やるよ!!!!」

「わかったファ!!!!」

2人が剣に力を込めた━━━━━━━

 

 

***

 

 

遡ること数分前、ブレーブとフェリオは湖の中にいた。

解呪(ヒーリング)を体の中に?)

(そう。多分今の私じゃテューポーンをちゃんと倒せるか分からない。だから、前にハッシュ君がやったみたいに解呪(ヒーリング)を体の中に流し込めば、絶対に倒せると思うの。

だからフェリオ、私に力をかしてくれる?)

(もちろんファ!)

 

湖の中でブレーブとフェリオは乙女剣(ディバイスワン)を握り、その刃先をテューポーンに向けた。

(チャンスはテューポーンがお腹を見せた時。そこに一気に撃ち込むよ!!!)

 

 

***

 

 

戦ウ乙女(プリキュア)………!!!!

貴様…………!!!!!」

 

「「解呪(ヒーリング)!!!!!」」

ブレーブとフェリオが渾身の力で叫び、剣にありったけの解呪(ヒーリング)を溜め込んだ。

 

《《プリキュア・ブレーブインジェクション》》!!!!!

 

ブレーブとフェリオの叫びによって放たれたその光はテューポーンの身体を貫通し、さらに全身を駆け巡った。

「ブレーブ、もっと流し込むファ!!!!」

「うんッッ!!!!」

 

絶叫するテューポーンにさらにダメ押しをかけんと全力で解呪(ヒーリング)の力を注ぎ込む。

最早2人の頭には解呪(ヒーリング)を使ったあとの疲労など微塵も無かった。

 

「「はあぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!」」

 

 

 

 

一体、どれくらい力んでいただろう。

 

いつの間にか乙女剣(ディバイスワン)から光は消え、握る力も弱まっていた。

視線の先にはあの禍々しい龍もいない。そもそも自分は今地面に寝そべっている。

 

「よし!起きた!」

 

ハッシュのその一言でブレーブは完全に目が覚めた。

 

「ハッシュ君!テューポーンは!!?」

「落ち着いて。テューポーンならちゃんと解呪(ヒーリング)できた。さっき元の姿に戻って湖に帰っていったよ。」

 

辺りを見回すと、そこにはもう瘴気は無かった。ヴェルダースの手先にされたテューポーンが発生させていたのだ。

 

「そうだ!フェリオは!!?」

「フェリオなら今 イーラさんとハニさんが介抱してる。怪我はないけど疲れきってるみたいなんだ。」

「そう。よかった………」

 

安心し 緊張が解けた蛍はよろけそうになり、ハッシュに抱えられた。

 

「イーラさん、蛍君 目を覚ましたよ。

これから どうするの?」

「もう少し休ませて歩けるようになったら本部に戻り、作戦成功を総隊長に伝える。」

「うん。 わかった。」

 

蛍の耳に入ったのはそこまでだった。

解呪(ヒーリング)を酷使したその体は既に言うことを聞かず、蛍の意識はまた遠のいて行った。

 

 

***

 

 

「ほう、プリキュア・ブレーブインジェクションか………

そいつはいいな。」

「えへへ。ぶっつけ本番で上手くいくかはわかんなかったけど、これで私もちゃんと戦えるよ!」

 

蛍は今 星聖騎士団(クルセイダーズ)の本部の一室にいる。そこでギリスにテューポーンとの事を話していた。

ハッシュから聞いた話によると、あの後一向に目を覚まさなかったので、イーラに抱えられて本部に連れ帰られたのだという。

 

「蛍、ギリス、入るよ。」

扉を開けてハッシュが入ってきた。この部屋は勇気デ戦ウ乙女達(ブレイブソウルプリキュア)のための客室なので、従属官(フランシオン)であるハッシュも自由に出入りできる。

 

「総隊長から もうすぐ呼ぶから準備してくれって。」

「そう。わかった!!」


▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。