転生したらプリキュアだった件 ~助けてくれた女神様の世界をプリキュアになって守りたいと思います!~   作:Yuukiaway

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347 種族融和の架け橋! ギリスとルベドとシャルディア!! (後編)

世界に存在する数ある種族の中でも取り分け魔人族と風妖精(エルフ)は保守的な体制を断固として貫き、他の種族との関わりを持とうとしなかった。しかしそれが逆効果に作用し、ありもしない偏見と漠然とした恐怖に囚われた人間達は自分達を魔人族から救ってくれる存在を切に願った。それが俗に言う《勇者》の起源である。

そして世界で最初に産まれた勇者ー名をルベドというーは世界中の期待を一身に背負い、魔人族との戦いに身を投じ、最終的に当時最強の魔王だったギリス・オブリゴード・クリムゾンと激突した。

 

しかしその結果、ルベドは人間達が抱く魔人族の印象と実際は大きく乖離している事を理解し、それを切っ掛けとして種族間の隔たりは徐々に解消されていった。余談だが、それが完全に解消された頃とルベドが一度目(・・・)の天寿を全うし初めて転生を行った時期は一致している。

 

そしてしばらくの後、閉塞的な体制を保っていた魔人族と風妖精(エルフ)が接触する時が来た。それこそが即ち魔王の代表者だったギリスと風妖精(エルフ)の族長だったシャルディア=ティアーフロル=フェルナーデとの初対面の時である。

 

 

***

 

 

 

「━━━━まぁ前置きが長くなったが、こういう訳で俺とあいつは知り合ったんだ。」

「そうなんだ。それで、ギリスは最初シャルディアさんの事 どう思ったの?」

「第一印象の話か。

………一言で言うなら、当時のあいつは責任と緊張に囚われていた。あの時はまるで魔人族(俺達)の事を理解していなかった。そこにその気になれば風妖精(エルフ)を滅ぼせる力を持った俺が現れたのだから、当然と言えば当然だ。」

「その時のギリスってそんなに強かったの…………!?」

「……………まぁな。

話を戻すが、あいつは風妖精(エルフ)の代表者として俺との対談に応じたんだ。恐らくだが、魔人族と分かり合えるかどうかは半信半疑で応じていたと思う。」

 

既に遥か昔の事であるが、ギリスはその時の事を昨日の事のように覚えている。自分の一挙手一投足に種族の命運が掛かっている責任感から来る緊張は他でもないギリス本人が一番良く理解している。

 

「だけど、上手く行ったんだよね?」

「勿論だ。とは言え少なからず時間は掛かってしまったがな。

捕捉だが、魔人族や風妖精(エルフ)のような寿命が長い種族は問題に必要以上に時間を掛けてしまうきらいがあった。互いの実情を正確に把握するだけで十年以上を掛けてしまった。」

 

ギリスはそう言ったものの、互いの実情を把握するという入り口を潜り終えたその後は早かった。魔人族が自分達が抱く印象とは異なり温厚な種族であると理解すると風妖精(エルフ)との間に友好関係が結ばれた。

 

「まぁ何はともあれ閉塞的だった俺達魔人族が心を開いた事実は他の種族にも影響を与え、互いに関係を持つようになった。

……………だが、そんな状況も長くは続かなかった。あの日(・・・)が来たからな。」

「!!!」

 

ギリスの言う『あの日』とは言うまでも無くヴェルダーズが反旗を翻し、ギリス達に甚大な被害を与えた日である。それによってギリスは力を失い、リルアは力と記憶を、リズハはその命を、ラジェルは生命の危機に瀕し別次元への避難を余儀なくされた。そして風妖精(エルフ)をはじめとする精霊族も甚大な被害を受け、その数を大きく減らした。

 

「その日があいつの顔を見た最後の日になった。情けない事を言うが、正直どんな顔をしてあいつに会いに行けばいいか分からずにいるんだ。」

「えっ? なんで?」

「考えてもみろ。俺達魔人族と関わらずに村に籠っていれば風妖精(エルフ)はヴェルダーズの攻撃からは助かったと思わないか? 常々思うんだ。俺が余計な事をしたばっかりにあいつはあんな目に遭ったんじゃないか とな

!」

 

ギリスは柄にもなく情けない事を言っているという自覚はあった。しかしそんなギリスでも次に起こる現象を予測出来なかった。蛍がギリスの眼前に詰め寄り、両手でその手を握った。

 

「………おい、どうした?」

「大丈夫だよギリス。絶対にそんな事無い。

それなら悪いのはヴェルダーズに決まってるじゃん。それにもしそうだとしてもシャルディアさんがギリスのせいだと思ってる訳ない。それならあんな手紙送る訳ないよ。

だから安心して。それで皆で風妖精(エルフ)の里に行こうよ!」

「!

……………分かった。つい幼稚な事を口走ってしまった。忘れてくれ。」

「うん!」

 

ギリスは己の愚かさを猛省した。自分より遥かに人生経験の浅い少女に諭されてしまった自分を深く恥じた。そして同時にただの人間だと思っていた目の前の少女は既にルベドとも肩を並べる《勇者》として大成しつつあると理解した。

 

(いかんな。身体に比例して心まで幼稚になってしまっているようだ。身内とはいえ他人に弱みを見せるなんて何年ぶりだろうな……………)

「ねぇギリス、次はさ、風妖精(エルフ)の里がどんなところかもっと教えてよ!」

「……………仕方のない奴だ。」

 

ギリスは記憶の奥底にある風妖精(エルフ)の里での日々を口を通して出力していった。そうしている内に日は傾き、各々が自分の時間を過ごしながら風妖精(エルフ)の里へ向かう旅路の初日は更けていった。

 

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