転生したらプリキュアだった件 ~助けてくれた女神様の世界をプリキュアになって守りたいと思います!~   作:Yuukiaway

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35 緊急事態発生!? 難航する戦ウ乙女(プリキュア)探し!!

朝食を終えた3人はギルドに駆けつけていた。

「それは本当なのか!!?

探していた人が見つかったというのは!!!」

「落ち着いてください。

ただ リルアは自分だという人間が1人現れたというだけですから。」

「特徴の方は?」

「髪はピンク色のツインテール。

目は黄色でした。」

 

それを聞くなりギリスは目を輝かせた。

「なら間違いない!!!

今すぐそいつに会えるか!!?」

「はい。」

 

受付に案内され、3人はギルドの奥に向かう。

 

 

***

 

 

案内されたテーブルに少女が1人 座っていた。

確かにピンク色のツインテールで黄色の目をしている。昨日 ギルドで描いた似顔絵と特徴は一致していた。

「探していた人物ですか?」

「間違いない!!礼を言うぞ!!!

報酬はいくら払えばいい!!?いや、お前たちの言い値で払おう!!!」

 

ギリスは興奮とも取れる感情をむき出しにしていた。ここまで彼が取り乱したのは、蛍に自分を従属官(フランシオン)にしてほしいと頼み込んだ時以来だ。

 

「落ち着いてください。

報酬の方は後ほど連絡をしますので。」

「そうか。取り乱してすまない。」

 

「では、私は外します。」

 

 

受付が退出した後、ギリスたちは目の前の少女の前に座った。

 

「リルア、久しぶりだな。俺がわかるか?」

「…………」

「喜んでくれ。ヴェルダースを倒せる戦ウ乙女(プリキュア)が見つかったんだ!!」

「…………」

「そこでだ、お前にもその戦ウ乙女(プリキュア)になってもらいたいんだ!!」

「…………」

 

「…おい、何とか言えよ。」

 

「……君、誰?」

「「「!!!!?」」」

 

3人は耳を疑った。ギリスは確かにかつての青年の姿のはずなのに、この目の前にいる少女はギリスのことを全く知らないという感じだった。

 

「確かに私はリルアだけど、君たちのことは全く知らないよ。

それになんで私を探していたの?」

「………おいおい冗談は止せ。

俺だよ。魔王 ギリス=オブリゴード=クリムゾンだ。覚えてるだろ?」

「魔王?よく分からないけど全く知らないから。」

 

ギリスのことを知らないと言い張る少女に蛍が質問をした。

 

「じゃあリルアちゃん、お家はどこなの?」

「お家?私はこの近くの施設で暮らしてるんだよ。」

「施設?」

「施設っていうと、身寄りのない子供たちを育てるための所かい?

君は親はいないの?」

「いないよ。

生まれた時から(・・・・・・・)施設暮らしだったよ。」

 

「「「……………」」」

 

リルアの言葉に3人は返すことができなかった。後ろに集まって話をすることにした。

 

『どういうことなの!!?話が違うじゃない!!』

『俺が聞きたいくらいだ!!一体何が何だか』

『ひょっとしてだけどさ、彼女、記憶喪失にでもなってんじゃないの?

ヴェルダースに力を奪われた時にさ。』

『『それだ!!!!』』

 

ハッシュの出した結論に2人は全面的に同意した。彼女がリルアで間違いない以上、それ以外に可能性は無かった。

 

 

「さっきから何を言ってるのかわかんないけど、でも何だか君とは初めて会った気がしないんだよねー。」

 

この一言が彼らに一つの希望を見せた。

 

『今ので確定したな。あいつは間違いなくリルアだ。』

『でもどうするの!!?どうやってリルアちゃんの記憶を……!!』

『ひとまず彼女が暮らしてるっていう施設に行ってみたらどうかな?

そこで話を聞いたら何か方法が見つかるんじゃない?』

『それだ!!ハッシュ、今日のお前は随分キレてるじゃないか!!』

『いや、これくらい普通に考えて分かると思うんだけど……』

 

ギリスはかつての友達に会えたこと、蛍は新しい戦ウ乙女(プリキュア)が仲間になるかもしれないことで冷静さを欠いていた。

 

 

***

 

 

「ここがリルアちゃんのお家?」

 

3人が案内されたのはギルドからしばらく歩いた場所にあるかなり大きな施設だった。

 

「んで、こんなとこに来てどうするの?」

「ここで一番偉い人に会えないかな?」

「あー、そういう事ね。ちょっと待ってて。」

 

そう言ってリルアが施設内に入っていった。

 

しばらくして戻ってくると、リルアの後ろに穏やかな顔立ちの中年女性がいた。

 

「あなたがここの責任者ということでいいか?」

「えぇ、そうですけど。あなたがたは?」

「俺はギリス・クリム。今日はそこのリルアについて聞きたいことがあるんだ。」

「聞きたいこと?」

 

「えぇ。聞くところによると彼女は生まれた時からここで生活していると聞きますが、そのことを詳しく聞かせては貰えませんか?」

「構いませんけど。」

 

ギリスとハッシュの問いかけにその女性は応じた。

 

14年前の明け方、

自分が施設前の掃除をしていると、門の前に赤ん坊が1人捨てられているのを見つけた。

その赤ん坊がリルアであり、彼女を今日まで育ててきたのだという。

 

 

「……わかった。今日はこれで帰る。

だが、また来てもいいか?」

「構いませんよ。それよりあなた達は一体 まるでリルアちゃんを知っているかのような口ぶりですけど。」

 

女性の声に振り向いて、

 

「……彼女を必要としてる人間。 としか今は言えない。」

 

どこか寂しそうな顔でギリスは答えた。

 

 

***

 

 

「ちょっとギリス どうするの!!?」

 

蛍達は帰路の最中 この緊急事態をどう切り抜けるか話していた。

 

「どうするも何も記憶を呼び覚ます他ないだろ!!

方法ならちゃんとひとつ考えてある」

「方法?」

「あいつは俺を見覚えがあると言ったんだ。だからもっと昔の人間に合わせればきっと記憶が戻る筈だ!!」

 

「それでハッシュ、ルベドに通信を手配してくれ。

 

やっとの事で見つけたんだ。どんな手を使ってでもリルアを戦ウ乙女(プリキュア)にする!!!」


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