転生したらプリキュアだった件 ~助けてくれた女神様の世界をプリキュアになって守りたいと思います!~   作:Yuukiaway

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360 風妖精(エルフ)の里の防衛作戦!! 森林の女帝 シャルディア!!! (後編)

豊穣之神(フレイヤ)

北欧神系 究極贈物(アルティメットギフト)

能力:自分の周囲の植物を成長させ、自在に操る。

 

*

 

植物を成長させるという能力をシャルディアはトレントに対して使用した。蛍は一目見ただけでシャルディアの力量の程、そしてこれからどのような事が起こるのかを理解した。

森に発生する一魔物でしかないトレントが今 相対しているのはこの場において周囲の植物を支配する能力を持つシャルディアだ。両者の間には決して覆す事の出来ない格差が存在している。しかしトレントには退くという選択肢は無かった。

 

「グギャアアアアアア!!!」

「!!!」

「やはり退く気は無いか。貴様のような魔物には蛮勇という概念を教えてやらねばならないようだな!!」

 

シャルディアに対してトレントが取った行動は頭部(?)に生えた木の葉を一斉に放出する攻撃だった。当時の蛍は知らない事だが、トレントから生える木の葉は金属にも匹敵する硬度を誇り、それが高速で飛来する状態で直撃すると腕利きの冒険者でも無視できない傷を負う。

しかし今、それを目の当たりにしているシャルディアはその限りではない。

 

「《豊穣之神(フレイヤ)》!!!」

『!!?』

 

刃と化した木の葉が直撃する直前、シャルディアは再び《豊穣之神(フレイヤ)》を発動させた。その効果を受けた木の葉の付け根から太く長い蔓が伸び、トレントの身体()に巻き付いた。

 

『………………………!!』

「魔物、最後に一つだけ言っておく。我々妖精族の安寧を脅かしたくば贈物(ギフト)の一つでも引っ提げて来るのだな!!!」

「!!!!」

 

それは、シャルディアがトレントに対して取った唯一最後の攻撃だった。

豊穣之神(フレイヤ)の能力を駆使し木の葉の刃から伸びた蔓を操り、トレントの身体を、特に顔面に相当する部分を切り付ける。切る音とトレントの金切り声と共にくすんだ茶色の木の皮が周囲に舞った。

 

「ウウウウウギャアアア~~~~~!!!」

「……………!!!」

 

顔面に無数の傷を付けられたトレントは人間でいう所の泣き叫ぶような声を上げながら踵を返して逃げ帰った。こうしてシャルディアはたった数分で全く被害を出さずにトレントという魔物の襲撃を鎮圧して見せた。

 

「……………

とまぁ少々気取ってしまったが、これで私の力は分かってもらえたかな?」

 

シャルディアは明るい声で話し掛けたが、蛍は何も言えず、唯々圧倒されていた。彼女の究極贈物(アルティメットギフト)の、特に圧倒的な規模に言葉を失った。

 

(じ、自分の周りの環境をまとめて変えて武器にしちゃうなんて……………!!! こんな贈物(ギフト)、見た事も無い……………!!!)

 

蛍が今まで見た、特に今の自分に備わっている究極贈物(アルティメットギフト)は自分の身体に効果を与える程度の規模だった。しかしシャルディアが使って見せた《豊穣之神(フレイヤ)》はその例から漏れ、自分以外にも効果を及ぼしている。これがシャルディアという妖精族という一つの種族の頂点に立つ人間の実力なのだと理解させられた。

 

「━━━━さぁ、里の皆が心配しない内に早く戻ろう。事後処理も必要だしな。

? どうかしたか?」

「え? あぁいや、なんでもないです。急ぎましょうか。

(━━━━うん。誰にも見られてないね。この前はこのタイミングでチョーマジンが襲ってきてバタバタしちゃったけど………。大丈夫そうだね。うん。)」

 

蛍はこの状況に既視感を覚え、不意に警戒した。

彼女が(心の中で)言った『この前』とは魔法警備団本部にて警備団長オルドーラの魔法の実力を見せつけられ事が解決した後の事だ。

オルドーラが魔物を討伐した直後、ベヒーモスを素体としたチョーマジンが奇襲を掛けてきた。程無くして解呪(ヒーリング)に成功したが、またその時のような事が起こるかもしれないと蛍は警戒したが、直ぐに杞憂だと認識を改めた。

 

(━━━━何も来ないのは当たり前だよね。そもそも私達がここに居る事すらヴェルダーズ達が知らない可能性だってあるんだから。それに妖精族を襲う理由も無いし。うんうん。大丈夫大丈夫。)

「すみません。ちょっと考え事してました。早く帰りましょう。」

「分かった。では行こう。帰りはおんぶと抱っこ、どっちが良い?」

「あー、じゃあおんぶで。」

「分かった。」

 

蛍に促されるようにシャルディアは背を向けて屈んだ。再びシャルディアに(お姫様(・・・))抱っこされる事は今の蛍にとってはかなり心臓に悪かった。

 

 

***

 

 

蛍の予測は不完全ではあるが当たっていた。確かにシャルディアがトレントを撃退する場面を厄災之使徒(ヴェルソルジャー)達は見ていなかった。しかし、その場面を目撃していた人物が一人居た。

その人物は黒髪黒づくめの影妖精(スプリガン)だった。その人物の唇からは一筋の血が垂れていた。自らの感情の激昂を抑え込む為には血管が切れる程に唇を噛み締めるしか無かった。

 

シャルディアが蛍と共にその場を離れた後、その人物は拳を握り締めながら一人呟いた。

 

「━━━━贈物(ギフト)の一つでも引っ提げて来いだと……………!!? だったらお前ら全員血祭りに上げてやる…………………………!!!!

天が私に与えてくれたこの、《冥暗之神(エレボス)》で…………………………!!!!!」

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