転生したらプリキュアだった件 ~助けてくれた女神様の世界をプリキュアになって守りたいと思います!~   作:Yuukiaway

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373 憩いの夜が始まる! 風妖精(エルフ)の里の大宴会!! その④

リナ達の卓を離れた後、蛍は数十分の間様々な料理を食べて回った。特に卵料理は積極的に見て回り、程無くして満腹具合は九割という所まで来た。そして残り一割を何処で満たすかを考えていた。

 

(…………うん。やっぱりあそこしかないよね。)

 

この宴の締めをという大役をどの料理に任せようか蛍はしばらく考えたが、締めは料理ではなく人で決めようと思い直した。卓を人で選ぶ場合、最適解は言うまでも無く決まっている。

 

「……おうホタル。やっぱ戻って来たか。腹はもう埋まったか?」

 

蛍が最後の場所として選んだのは最初の卓だった。近付いた時には既にそこにリナの姿を認めていた。

 

「うん。後一割くらいだからここで終わらせようと思ってね。

ってあれ? ニトルさんは?」

「ああ、あの人なら少し酔いを醒ますってさっき言って外に出たよ。」

「! ハニさん! もう大丈夫なんですか?」

「うん。 私、お酒が回るの早い分抜けるのも早いから。」

 

ハニの顔は依然として赤が刺していたが、つい先程までと比較すれば幾分か紅潮が引いていた。こうして会話が交わせるだけでも大分ましになったと蛍は自分に言い聞かせる。

 

「ってかそんなとこで突っ立ってねぇで早く座れよ。お前が帰って来ても良いようにお前が食いそうなもん残してやってるからよ。」

「ホントだ! じゃあ遠慮なく━━━━」

 

そう言葉を紡ぎながら蛍は開いている席に座った。席に着くや否や料理の一つを口に運びグラスの中の飲み物で流す。因みに再びこの卓に着くまでにグラスの中身が二回変わった。

口の中が粗方片付いた所で蛍はリナに向けて口を開く。話の内容はこれから活動する上で最も重要な事だった。

 

「…………で、ニトルさんはずっとこのテーブルに居たの?」

「あ? 何でいきなりあいつの名前が出てくんだよ。ちっとも動こうとしなかったな。酒も三杯は飲んでやがった。」

「そっか。じゃあニトルさんと少しは話せた?」

「何言ってんだ。何で俺があいつと駄弁らなきゃなんねぇんだよ。あの野郎と話す事なんざある訳ねぇだろうがよ!!」

「!!」

 

ニトルの名前を出すだけでリナの機嫌は著しく損なわれる。自分達にとって良くない状態にあると蛍は感じた。

 

「……………ねぇ、なんでニトルさんの事そんなに嫌がるの?」

「嫌がる? 俺がそんな幼稚な事してるように見えたかよ。俺はただあの野郎が信用ならねぇだけだ。」

「信じられない? なんで?」

「何でだ? 決まってんだろ。良いか。俺等ァ守りたいものがあるからギリスマスターに付いて来てんだ。お前もそうだろ?」

「まぁ、それはそうだけど。」

「だろ? その点あいつはどうだ? そんな根っこなんか持ち合わせちゃいねぇ。あるっつったらあのスライムとのいざこざだけだ。そんな薄っぺらなやつがこの先命賭けてまで戦ってくれる保証なんてどこにもねぇだろ。

多分、我が身可愛さに逃げ出すのがオチだぜ。」

「……………そう考えるんだ……………。」

 

蛍はこれまでの戦いの中で《逃走》という選択肢を取る事は無かった。しかし他の物はその限りではないという事をリナは言った。

 

「で? どうなんだよ。お前はあいつがそうじゃねぇって言い切れんのか? そもそも、俺もお前もあいつの事なんかほとんど知らねぇだろ?」

「……………そうかもしれないけど、それなら大丈夫じゃない?」

「あ? 大丈夫だ?」

「だってそうでしょ? もしそうなったらその時はリナちゃんの好きにすればいいんだよ。ま、私はそうはならないって思ってるけどね。」

「俺が括入れりゃ良いって思ってんのか。ってかお前のその根拠の無い自信は何なんだよ。

まさかお前も酔っぱらってんじゃねぇだろうな?」

 

 

***

 

 

蛍とリナがニトルの話題に耽っている頃、当の本人は拠点の建物からしばらく離れた森を散策していた。夜の森の冷たく新鮮な空気が酔いを醒ましてくれると考えたが、彼が期待しているほどの効果は得られなかった。

酒に含まれるアルコールが横隔膜を刺激しニトルの口からしゃっくりを発生させる。その声だけが森の中に微かに響いていた。

 

『━━━━ヒック。

(あ~ 情けねぇ。少し飲みすぎちまった。しっかし信じらんねぇな。俺があんな豪勢な会場に誘われてただ酒まで飲まして貰えるなんてよ。ついこの前の俺が聞いても信じねぇだろうな。)

━━━━ヒック。

(………俺、これからあいつらと一緒にやっていけんのか? またあのクソッたれのスライムにやられた時みたいになったら、俺は逃げ出さずにいられんのか? あいつに報いる事が出来んのか━━━━)』

『━━━━ガサガサッ』

「おん?

誰だ? そこで何やってんだ?」

 

ニトルの耳は森の奥で木の葉が微かに揺れる音を聞いた。ニトルは怪訝さと好奇心でその音の方へと歩を進める。その行為が風妖精(エルフ)の里を救う事になる事を彼はまだ知らない。

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