転生したらプリキュアだった件 ~助けてくれた女神様の世界をプリキュアになって守りたいと思います!~   作:Yuukiaway

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377 憩いの夜が始まる! 風妖精(エルフ)の里の大宴会!! その⑧

結局のところ、蛍とリズハは十分以上もの間(リルアの話題を中心に)話し込んだ。特に関わり合いを避けていた訳では無かった二人だが、これが初めて二人で話す時という事もあって互いに持ち合わせていた話題を繰り出し合った。

特に蛍が挙げたリルアが現役の魔王だった時期の話題が二人の話に花を咲かせた。

 

「へー、じゃあリルアちゃんのおかげでその国の人達は助かったんだね?」

「そうなんだよ! お姉ちゃんが機転を利かせたおかげで軽く数百人の人達が飢えて死なずに済んだんだから!」

 

リズハの口から語られたのはその昔、魔王だったリルアが手腕を発揮し凶作により飢饉に陥った国を救った逸話だ。リズハはその手の逸話を何百何千と持ち合わせている。それを全て話し終えるだけで人間一人が寿命を迎えるだろうと彼女は考えている。

 

「……………そっか。リルアちゃんって本当にすごい人なんだね。」

なんだね(・・・・) か。今もそうだと思ってくれるのは嬉しいよ。」

「そりゃそうだよ。さっきも言ったけど戦ウ乙女(プリキュア)のリルアちゃんは本当に頼もしかったから!」

「う~~ん。 私がどうかしたか~~?」

『!』

 

蛍とリルアが話している最中、休憩室の扉を開けてリルアが姿を現した。先程より多少顔の紅潮は引いてはいるものの眠そうな顔で頭を押さえている。誰が見てもまだ酒が抜けていない事は明々白々だ。

 

「おん? ここは風呂場か。確か私はシャルディアが振る舞った酒を飲んで、その後━━━━」

「そこまで分かってるなら簡単でしょ! 私とカイさんがお姉ちゃんをここに連れて来たんだよ! まさか覚えてないの?」

「カイ? あいつもここに来たのか。悪いな殆ど覚えていない。

━━━ヒック。 あーダメだ、頭が痛い。」

『…………………………』

 

蛍は実際に見た経験は無いが、もし中年男性が酒に酔ったならばそれはきっと目の前のリルアのようなのだろうと考えた。そこに魔王の威厳はまるで無く、先程の談義は何だったのかと先刻の自分に聞きたくなる衝動に二人は駆られた。

 

「……………ねぇホタルちゃん、さっきのお姉ちゃんが凄かった云々の話、撤回する?」

「いや別に。リルアちゃんがこんな風に抜けてるのは知ってるから。」

「おいおい二人で何を話しているんだ。私に隠し事か?」

「んな訳無いでしょ。お姉ちゃんが抜けてたりしっかりしてたりするって話してたの。」

 

リズハの発言に偽りは無い。リルアは全盛の頃から政治から一歩離れれば食欲に忠実な一人の少女でしかなかった。有能な魔王としての側面と素の差が評価され、だからこそ彼女は魔王として人気と尊敬を集めたと言える。

 

「まぁ風呂場に居るなら丁度良い。今から一っ風呂浴びて来るとするか。」

「えっ!? いやいやまだダメに決まってるでしょ!! そんなフラフラな状態でお風呂入ったら溺れるよ!!?」

「えー そうかー? 風呂で身体を温めて熱と一緒に酒を抜くのが一番気持ちいんだがな。」

「それでもダメなものはダメ! 少なくとも後一時間はゆっくり休んでないと!」

 

リズハはリルアの反論を悉く否定して抑え込む。その二人の様子は紛れもない《姉妹》だった。しかしそれは蛍が経験してきたものとは少々異なっていた。

 

(妹の方がしっかりしててお姉ちゃんが怒られてる。あんな姉妹の姿もあるんだな。

……………姫乃は全然そんな事無かったな。いっつもいっつも私に勉強教えてってせがんできて…………………………。

皆、今頃どうしてるかな……………。きっと私の事心配してるだろうな……………。

 

うん。絶対皆にまた会わなきゃ。その為にはギリスと一緒にヴェルダーズ達に勝たないと!!!)

 

リルアとリズハの姉妹が元の世界に残してきた妹と被り、あまり考えないようにしていた家族の事が思い起こされる。考えないようにした理由は目下のヴェルダーズ達との戦いに集中する為だ。しかし蛍は心の中でいつか必ず元の世界に帰り家族と再会する事を固く心に誓っていた。

 

「━━━━うん、リルアちゃんも起きた事だし私は部屋に戻って寝る準備するよ。」

「ああそうだね。お姉ちゃんは当分部屋に戻れないだろうから。」

 

入浴による身体の熱も殆ど抜け、蛍はようやく風呂場を後にした。風妖精(エルフ)の里での長い初日は既に佳境を迎えている。

 

 

 

***

 

 

風妖精(エルフ)の里での夜は蛍達の誰にとっても憩いの時間だった。それを邪魔する者が居るなど誰も考えず、実際にそれが邪魔される事は無かった。しかしその様子を遠めから監視している者達が居た。彼等は明日の作戦の準備を煮詰めると同時にそれを行っていた。

 

「……………オオガイさん。向こうの準備は一通り終わりましたよ。 ってあれ、さっきまでの馬鹿騒ぎはもう終わったんですか。」

「どうやらその様だ。後は風呂に入って寝るだけだろう。」

「そうですか。 で、どうするんです。寝込みを襲って勇者か魔王の首を取りますか。」

 

「それもありだとは思うが奴等は言い訳が上手い。予定は変えず仕掛けるのは明日、奴等が万全の時を狙ってだ。そこを完膚なきまでに叩き潰し、奴等のつまらん自尊心を完全に粉々にするのだ。」

「……………成程ね。分かりましたよ。」

「なら今日は早く休め。明日は決戦になるからな……………。」

 

風妖精(エルフ)の里の森の中、オオガイは明日自分達が戦ウ乙女(プリキュア)や妖精族に勝利する姿を思い浮かべ歪に口角を上げた。

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