転生したらプリキュアだった件 ~助けてくれた女神様の世界をプリキュアになって守りたいと思います!~   作:Yuukiaway

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379 憩いの夜が始まる! 風妖精(エルフ)の里の大宴会!! その⑩

戦ウ乙女(プリキュア) 夢崎蛍にとって同じ戦ウ乙女(プリキュア)であるミーア・クロムウェル・レオアプスは今蛍が一番知らなければならない人間である。何故なら二人は未だに共に戦った事が無いからだ。

蛍はミーアと話す前に先ずその事実に目を向けた。故に自分はミーアを知らなければならないのだと自分に言い聞かせる。

 

「━━━━自分が戦ウ乙女(プリキュア)になった時の事っスか? そうっスね、何から話せばいいっスかね……………。マスターのギルドに入りたいって思ったのは完全に偶然っスし……………。

あ、自分が戦ウ乙女(プリキュア)になる直前の事(・・・・)ならしっかり覚えてるっスよ!」

 

ミーアが言った当時の事の情報自体(・・・・)は蛍もギリスの話を聞いて知っている。ギリスとグラトニー(リルア)がハジョウと彼が召喚したチョーマジン達と交戦中、ミーアが横からハジョウに攻撃を加えたというのが蛍の知る当時の事だ。

それでも蛍はミーアの話を聞く事に決めた。同じ事や情報でも語る人間が変わる事で得られるものも変わる。

 

「……………確かギリスを助けようとして、その、矢を撃ったんだよね? その時ミーアちゃんはどんな気持ちだったの?」

「ああいや、気持ちなんてそんな大げさなモンじゃないんすよ。ただ必死で、このままじゃマスターやリルアが死んじゃうかもって思ったら、身体が勝手に……………。

で、気付いたら女神だっていう人が目の前に居て、それで自分は戦ウ乙女(プリキュア)に……………。」

「……ラジェルさんの事だね。」

「そうっス! で、あの人って何モンなんスか? ギリスマスターと関係があるとか言ってたっスけど……。」

「実は私もあんまり知らないんだよね。そもそも私も何回かしか会った事無いし……………。」

「あのバカは人間のくせして女神を自称する痛い奴とでも考えておけば良い。」

『!』

 

蛍とミーアが話している途中にギリスが姿を現した。頬が少しばかり紅潮し手にはグラスが握られている。蛍が風呂に入っている間も酒を飲んでいたのだ。

 

「あぁ済まない、立ち聞きする気なんて無かったんだがな。つい気になる話が聞こえてしまった。」

「ギリス! まだ起きてたんだ。」

「それはそうだろ。こんな時間に寝る奴なんてお前みたいな子供か分別を弁えずに大酒を食らったバカくらいだ。」

「! た、確かにリルアちゃんなら寝てるけどそんな言い方……………」

「いやそれよりなんスかさっきの! あの女神サマが痛い奴なんてそんな━━━━」

「いや、それは本当だ。女神なんて御大層な肩書きを名乗って入るがあいつはれっきとした人間(・・)だ。」

 

ギリスが開示した情報は蛍やミーアが知り得ないものだった。それはラジェルはかつては《天人族》としてギリス達と同じ地上で生活していたという事実だ。加えてギリスは過去にはラジェル以外にも多数の天人族が居た(・・)事を知っている。それを知った蛍とミーアは少なからず驚愕の念を見せた。

 

「━━━━って事はつまりラジェルさんの《女神》ってギリスの魔王と同じくらいの二つ名って事……………!!?」

「そう思ってもらって構わない。尤も女神なんて称号はあいつが勝手に作ったものだがな。」

「それにマスター、今女神サマの他にもその天人族が居たって言ったっスよね!? じゃあ他にはどんな人が居たんスか!?」

「それは挙げ始めたら切りがない。今はラジェル以外にも俺達と親交のあった奴が居たとだけ認識していてくれればそれで良い。」

 

ギリスは懐かしさと寂しさが入り混じったような表情で当時の様子を回帰する。その時代は彼にとって既に奪われ(・・・)、二度と戻って来ない掛け替えのない思い出だ。そして蛍はそれを知らない。完全な部外者だ。

故に蛍は一息ついてギリスに問い掛ける。それはギリスの一番の思い出に土足で踏み込むような質問だ。

 

「……………それで、天人族は皆ヴェルダーズに、その、やられちゃったんだよね?」

『!!!!』

 

蛍のその問いは紛れもない事実であり、ギリスの関係者ならば誰もが周知の事だ。他でも無いギリス自身が幾度もその事実を口にしている。謂わばそれはギリスにとっての行動源と言える。

 

「ちょっとホタル何聞いてんスか!!! そんな身も蓋も無い言い方━━━━」

「いや良いんだ。事実だからな。

……………その問いには『そうだ』と答えるしかない。俺も長い間独自に探し続けたが生き残りは見つけられなかった。違う次元に逃げ込んだあいつを除いてはまず全滅だろう。

それに何処かに生き残りが居るかもなんて薄い期待にしがみ付く様な真似をする気は無い。だからこそ俺は歩みを止めてはならないんだ。必ずやヴェルダーズと奴に遜る馬鹿共を倒し、この世界を救う。そうでなければ死んでいった天人族達に向ける顔が無い。」

『…………………………』

 

ギリスは今、力を失い蛍やミーアよりも小柄な少年の姿となっている。しかし二人はギリスを見上げるかのような錯覚に襲われた。それ程までに魔王《ギリス=オブリゴード=クリムゾン》が大きな存在に思えたのだ。

 

「マスター、強いっスね。」

「そうだね。だからみんな、私もミーアちゃんも付いて行くんだよ。」

「こんな様になってもお前らの上に立てる存在でいられるなら光栄だ。

さぁ、そろそろ部屋に戻って休め。明日も忙しくなるぞ。」

 

ギリスの言葉に従うように蛍とミーアは立ち上がり部屋へ戻っていった。それからしばらく経ち、起きて酒に舌鼓を打っていた者達も床について行く。こうして風妖精(エルフ)の里での長い一日は終わりを迎えた。

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