転生したらプリキュアだった件 ~助けてくれた女神様の世界をプリキュアになって守りたいと思います!~   作:Yuukiaway

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384 自分の気持ちに正直に! ニトル・フリーマの決意!! (中編)

ニトル・フリーマは明確に震えて(・・・)いた。

辛うじて救出に成功したものの自分の目の前で蛍の命が奪われそうになった事、自分が今既に戦場の渦中に居るという認識、確かに聞こえた怨敵であり自分の命を徒に狙った悪漢フォラスの姿と声。一瞬にして脳内に叩き込まれた様々な情報が彼の心を凍り付かせた。

そしてそれは蛍達の変身の言葉によって辛うじて氷解される。ニトルの耳にはその言葉が開戦の合図にも聞こえた。

 

*

 

厄災に受けた雪辱を晴らさんとする魔王、その魔王と同じ時を過ごした友、厄災との戦いに飛び込む事を決意した者達。彼等は耳にする。奇しくもそれが五人の戦ウ乙女(プリキュア)が一堂に会して変身する最初の時となった。

 

『みなぎる勇者の力 《キュアブレイブ》!!!!!』

『燃え上がる 魔王の力 《キュアグラトニー》!!!!!』

『雄叫び上げる ケモノの本能 《キュアレオーナ》!!!!!』

『猛り狂う ドラゴンの力 《キュアフォース》!!!!!』

『顕現する精霊の加護 《キュアカーベル》!!!!!』

 

今ここに、五人の戦ウ乙女(プリキュア)がその姿を現した。彼女達を包み込んでいた桃色、赤、黄色、緑、紫の五つの光は既にそこには無かった。しかしその場に居た誰もが彼女達の背後に確かにその光を見た。

ギリス達も星聖騎士団(クルセイダーズ)も妖精族も、そしてオオガイ達厄災之使徒(ヴェルソルジャー)も全く同じ感情を抱いていた。特に彼女達の目の前に居たダクリュールとダルーバは図らずも圧倒されていた。

 

(……………なんて生意気な面してやがる。ガミラを破って吹っ切れやがったか?)

(……………やっぱり光に包まれて一瞬で変身してる。ガスロドの仮説は正しかったか…………。

で、どうする? ここで一戦やるか、オオガイさんの所に戻るか……………。)

 

ダクリュールとダルーバは目の前の戦ウ乙女(プリキュア)達という窮地を如何にして突破するか、その策を練っていた。しかし、その思考にはある可能性(・・・・・)が欠落していた。そしてブレイブ達は奇しくもその可能性を選択していた。

 

『………皆、良く聞いて。今この里に来ている中で一番強いのはあのオオガイっていう巨人(だと思う)。だから!!!』

「行くよ!!!!!」

『おう!!!!!』

 

そのブレイブの一言と共に五人は一斉に跳び上がり、ダクリュール達の真上(・・)を通過した。そのブレイブ達の行動に二人は完全に面を食らった。彼女達が自分を攻撃しに来ると信じて疑わなかったからだ。

 

「な、なにぃッ!!!?」

(しまった!! あいつら、先にオオガイさんを!!!)

 

今度は戦ウ乙女(プリキュア)達がオオガイに一直線に奇襲を掛けた。彼女達とオオガイとの距離は少なからず離れているが、戦ウ乙女(プリキュア)の脚力はそれを一気に詰められるだけの爆発力がある。誰もがその奇襲の成功を信じて疑わなかった。

 

たった一人を除いては。

 

 

 

***

 

 

蛍達五人が一斉に変身し、そしてオオガイに向けて一直線に強襲を掛ける。それまでに掛かった時間はほんの数秒程である。ニトルの目が五人の変身を認識した時にはブレイブ達は既に地面を蹴っていた。

そして今、ニトルは困惑していた。何故彼女達は一切臆する事無く敵の懐へ飛び込む事が出来るのか、その理由はこれがヴェルダーズ達との初陣であり尚且つつい先日まで一般人だったニトルの感性には理解し難いものだった。

 

(━━━━なんでだ…………!!? 何で少しもためらわずにあんな事が出来る!!?

止めろよ!! 俺の前でそんな事!!! そんな真似されたら俺は、俺はお前らの事━━━━)

「!!!!

ブレイブ!!! まずい!!! 止まれ!!!!」

「!!!」

 

それはギリスの声だった。ニトルだけでなくその場に居た全員が彼の言葉の根拠を理解出来ずにいた。しかしギリスの目は確かに見た。オオガイがブレイブ達の強襲に反応し笑み(・・)を浮かべた事を。ギリスはその笑みにブレイブ達がオオガイの拳に一網打尽にされる憂い未来を見た。

その言葉を聞いた瞬間、ニトルは脳内での独白を完了させていた。

 

(なんだ!? このままじゃあいつら死ぬのか!!?

クソッたれ!!! 俺の前でそんな真似されたら、死なないで欲しい(・・・・・・・・)って思っちまうじゃねぇかよ!!! 俺の大切な奴(・・・・)にならないでくれよ!!! これ以上俺に失う辛さを味わわせないでくれよ!!!

 

━━━━━━━━!!!)

 

瞬間、ニトルの脳裏に二つの言葉(・・・・・)が過った。

一つは嘗て実父に言われた一言。『これから出来る大切な人を守れるような人になれ』と、彼はそう言い残してこの世を去った。そしてもう一つは先日のマキの一言。彼女は『自分が正しいと思った事に正直に動けば上手く行く』と言った。その二つの言葉がニトルの心に一つの感情を芽生えさせた。それは確かな《勇気》だった。

 

*

 

オオガイの目は自分の方向に向かって飛んでくる戦ウ乙女(プリキュア)達の姿を明確に捕らえ、その上で彼女達を自分が無傷で叩き伏せる姿を思い浮かべていた。自分には戦ウ乙女(プリキュア)五人以上の実力があると信じて疑わなかった。

そして程無くしてその時は来る。オオガイが手の動きだけで他の者に下がっているように指示し、徐に拳を構えた。

 

 

━━━━しかし、オオガイの身体に直撃したのは戦ウ乙女(プリキュア)の攻撃では無かった。

 

『━━━━ボゴゴゴゴゴォン!!!!!』

「ッッッ!!!!?」

 

それは巨大な五つの爆発だった。一発一発が建物一棟を破壊してしまえるような爆発がオオガイの眼前(・・)で炸裂した。オオガイ本人も他の敵達も、そして他でも無い戦ウ乙女(プリキュア)達も何が起こったのか理解出来なかった。しかしブレイブは何が起こったのかを察知した。目の前にニトルが立っていたからだ。

 

「ニ、ニ、ニトルさん!!!? まさか今のって━━━━!!!」

「………ホタル、いや、今はキュアブレイブって呼ぶべきか。

もう俺は誰も憎まねぇ。ただ、俺に居場所をくれた大切な奴等(お前等)を死なせない為に、この力を使ってやる!!!!!」

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