転生したらプリキュアだった件 ~助けてくれた女神様の世界をプリキュアになって守りたいと思います!~   作:Yuukiaway

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385 自分の気持ちに正直に! ニトル・フリーマの決意!! (後編)

「…………こいつが俺の爆弾か?」

「はい。つい昨日貴方が見せていただいた爆弾を改良したものになります。」

 

時は再び蛍達が風妖精(エルフ)の里へ向かう旅路の時へと遡る。ニトルはその日の夕方、特訓後にエミレに話があると言って呼び出された。そしてその話というのが彼が持っている爆弾である。

彼の手の中には数個の手の平に収まる大きさの爆弾が握られていた。奇しくもそれは彼がツーベルクの教会に仕掛けたものと酷似していた。

 

「………こんなもんを一日足らずで作れんのか。俺は改良に一ヶ月は掛かったってのによ。」

「私の贈物(ギフト)で精製や組み立ての過程を大幅に短縮した結果です。そうでなければ私でも一週間程度は掛かった事でしょう。

かなり良質なものでした。とても素人同然の貴方が作ったものとは思えません。」

「……………」

 

ニトルはエミレの称賛の意味合いが込められている筈の言葉を真っ向から受け止める事が出来なかった。彼女の無表情さも相まってか沈黙の中に『貴方は使い方を間違えたようですが』というような非難の言葉が聞こえたような気がした。

 

「話を戻しますが、その爆弾は貴方の贈物(ギフト)との相性を考えた改良を施してあります。具体的に言うと、その爆弾は貴方の身体から十メートル以上離れる(・・・・・・・・・・)と爆発するように設計してあります。

後は威力の方も以前のものと遜色ないように火薬の量や魔力の回路を構築してあります。ですから間違っても一般人に向けて使うような真似はしないようにお願いします。」

「へいへい。」

 

エミレの話を聞きながらニトルはこの爆弾を用いた戦闘法を脳内で構築していた。そして現在、その戦法は現実に反映される。

 

それはオオガイ達にも、そして戦ウ乙女(プリキュア)達にも予測出来なかったニトルだけの奇策。

オオガイの眼前で五つ(・・)の爆弾が炸裂した。

 

 

 

***

 

 

その時の戦ウ乙女(プリキュア)五人の感情を一言で表現するならば《驚愕》が相応しい。自分達の視界がオオガイの顔面から一瞬にして変わったのだ。しかしブレイブは辛うじてその現象の原因を察知した。そしてそれは当たっている。

ニトルは自分の前に五つの爆弾を放り、《転換之王(ベリアル)》の能力で戦ウ乙女(プリキュア)と爆弾の位置を入れ替えた。そうする事で戦ウ乙女(プリキュア)を危険から救うと同時にオオガイに攻撃を加える事に成功したのだ。

 

しかしそこまでの事を知らないブレイブはニトルへ詰め寄る。勝手な事をされたと考えたからだ。

 

「!!」

「な、何やってるのニトルさん!! 今私達があのオオガイって人と戦おうとしてるの見てたでしょ!!? なのに何で邪魔するような事━━━━」

「止めろブレイブ。ニトルの判断が正しい。寧ろ良くやったと言ってやるべきだ。」

「えっ!?」

 

ギリスは半ば興奮状態のブレイブの肩を掴んで制止し、オオガイがブレイブ達の急襲に反応し反撃しようとしていた事を手短に説明した。

 

「そ、そうなんだ………! ゴメン、私、そんな事も知らずに━━━━!」

「気にすんな。ただお前を死なせたくなくてやった事だ。ま、こんなんで恩が返せりゃ誰も苦労しねぇだろうがな。」

「……………………!」

 

ニトルは不貞腐れたような表情でそう言ったが、ブレイブはその表情に確かな希望を見た。ニトル・フリーマという男が自分達の仲間として認められる希望をだ。

そのブレイブの胸中を知ってか知らずか、マキやカイまでもニトルの下へ駆け寄った。

 

「それよりニトルさん、さっきの言葉聞きましたよ! やっと自分の気持ちに正直になってくれたんですね!! それで良いです! その気持ちさえあればきっと大丈夫ですよ!!」

「しかしだ、私も見ていたがあんなもの、一発限りの大技だぞ。私達も誰も予測出来なかったから決まったようなものだ。二度とは通用しないぞ。」

 

自分だけでなくマキやカイとニトルとの関係も改善されている。その事実で一層ブレイブの胸中は晴れやかなものとなった。しかしそれにも例外はあった。

 

(…………もしかしたらニトルさんが皆と馴染める日もそう遠くないかも━━━━)

「…………おい、」

(!? フォース!?)

「あ? 何だよ。」

 

その例外とはキュアフォースことリナである。ブレイブが理解し切れない程に彼女はニトルの事を嫌っている。そして今回の彼女の表情もまた決して友好的なものとは言えなかった。

 

「お前、あんなモンを教会でぶっ放そうとしてたのかよ。やっぱクソだなお前。」

「!!!!」

「あぁ!? 今なんつった!? クソ共にとってのクソは正義だろうがよ!!

そもそもお前らを助けようとしてやった事だろうが!! それに例の一言も言えねぇお前の方がよっぽどのクソだろうがよ!!!」

「恩着せがましい事言ってんじゃねぇ!! もしマスターの言う通りだったとしてもなァ、俺はテメェ一人の力でどうとでも出来たんだよ!!! お前の汚い手なんざ借りなくてもなァ!!!」

「や、止めてよフォース!! ダメだよこんな所でケンカなんて!!

(あ~、まだまだニトルさんが馴染むのは時間が掛かりそうだな……………。)」

 

ブレイブはフォースの身体を抱え込んで二人の衝突を止めた。二人の関係性は今に始まった事では無いが、今はそんな事に時間を割いている余裕はない。

そう、今は戦闘中(・・・)なのだ。

 

 

「━━━━いやぁ、こりゃ完全にしてやられたなァ。」

『!!!』

「だがまぁ気持ちの良い花火だった。お陰で首の凝りが取れたぜ。」

 

煙の中からそう言って姿を現したのはオオガイだった。ニトルの爆弾の直撃を顔面に食らったにも関わらず、彼の顔には多少の汚れしか付いていなかった。その事実がブレイブ達の精神を一気に締め上げた。

ニトルの起点により最初の窮地は脱した。しかし根本的な状況は何も変わっていない。風妖精(エルフ)の里を守る戦いは始まったばかりである。

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